1/2
はじまりの出来事
いつものように学校へ行く。毎日同じことの繰り返しで飽きてくる。ただ、変わったことといえば・・・
「言いにくいことだが、みんなには言わなくてはいけないことがある。」
朝からなんだよ。早くつまらない授業でもやってくれよ、先生。
「先日、クラスメートの一ノ瀬が亡くなった。」
クラス中ざわめきが起こった。自分だってそんなこと、信じたくはなかった。一ノ瀬とは昔から親友だったからだ。
一ノ瀬 晴人。学力、身体能力ともに校内トップクラスで人からの信頼も厚い。
「崖から落ちて亡くなったそうだ。遺体は見つかっていない。ただ、近くにキーホルダーが落ちていた。」
「それ一ノ瀬君がいつも持ってたやつ・・・。」
女子がそう言うと、教室は深い沈黙が始まった。
あのキーホルダーは、俺とおそろいに晴人がくれたものだ。下校時刻と同時に、教室を飛び出し、崖のある場所まで向かった。
それが正解だったのか、間違っていたのか、今もわからない。