表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
融合した世界  作者: 安藤ふじやす
1.異変から避難
9/265

1-8.

 前話あらすじ

 タバコを吸うため、屋上へ向かった彰弘はそこで黒髪の少女――紫苑――の一端を知る。

 その後、議論の結果をもとに今後の予定を彰弘は鷲塚と話し合った。

 小学校の校庭は未だ厳しい日差しが照りつけていた。

 九月となり吹き抜ける風は若干涼しくなっているのだが、校庭でそして校舎内で作業している人達にとっては焼け石に水だった。


 小学校に避難してきた人達は、校庭に建てられた倉庫から非常食や飲み水を校舎内へと運び込む作業を行っていた。

 校庭で汗水垂らして作業を行っているのは皆が成人した男性だ。外での作業はゴブリンなどに襲われる可能性を考慮して、もし何かあっても独力で逃げるなどの対処ができるであろう者が行っている。

 一方、女性や児童それに老人は校舎内で作業をしていた。バケツリレーの要領で外から運び込まれた物を順次校舎の四階へと上げている。

 この運び込み作業は、水入りのペットボトルのケースなどの重い物が後回しにしていたため、今のところは順調だった。


 彰弘はペットボトルの水で咽喉を潤し、額に浮かぶ汗をシャツの袖で拭った。それから塩分を含んだ飴玉を口に入れた。

 熱中症対策として配られた飴玉を口の中で転がしながら、彰弘は荷運びをしている避難者達を横目で見た。

 視線の先では鷲塚の指揮のもと作業を行っている人達が見えた。

 倉庫から出した荷物をリヤカーに積み込み、荷が満載となるとリヤカーを昇降口へと移動させる。そしてそこで荷を降ろし、また倉庫前へと戻る。そんな作業が繰り返し行われていた。

 リヤカーのおかげで作業は日没を待たずに終わりそうな気配だった。


 作業をしている人達を横目で見ていた彰弘に隣から声がかかる。

「校舎への荷運びも順調のようですね。このまま何もなく終わって欲しいものです」

 緊張を含んだ声の主は、この小学校で五年二組の担任である山田だ。


 彰弘と山田は荷運びの作業には加わらず、昇降口と校門の間――やや昇降口に近い位置――で校門方向の見張りを行っていた。

 二人の他にも校庭では四人、校舎の屋上で八人が見張りに就いている。

 校庭では彰弘と山田が校門前を、残りの四人は屋上からは死角となる校庭に建つ建物の間、その二ヵ所を二人一組で見張っている。

 屋上の八人は敷地への出入り口である校門を含む三ヵ所を、常に複数人で監視しできる体制をとっていた。


 荷運びの様子を見ていた彰弘も見張り役を忘れていたわけではない。横目で作業を見ながらも視界から校門は一時たりとも外していなかった。


 彰弘は作業している人達へ向けていた分の意識を山田へと向ける。

「山田先生、そういうのをフラグって言うんだ」

「フラグですか?」

「漫画とか読まないか? 『何かこの先、幽霊が出そう』とか言うと、実際に出てくるっていう、あれさ。もしくは噂をすれば影、か?」

 外に出てからそこそこ時間が過ぎたが、未だ緊張が解れていない山田へと彰弘は冗談めかして説明する。

 だらけるのは良くないが、緊張しすぎも良くない。

「ああ、あれですか……って、榊さん、嫌なことを言わないでくださいよ」

「ははは、まぁ、山田先生は緊張しすぎだからな。ちょっとほぐそうとしただけさ」

 彰弘は笑って山田の肩を叩いた。

 そんな彰弘に山田が文句を言おうと口を開きかけたときだった。屋上から危機を知らせる叫びが響いた。

「校門方向! 人以外の生物! 数は四! 後、人が追われています!」

 彰弘はその声に山田へ向けていた意識を校門へと集中させた。

 山田も開きかけていた口を閉じて校門を見据える。


 彰弘と山田の耳には作業者へと避難するよう指示を飛ばす鷲塚の声が聞こえていた。その声に作業をしていた人達は荷物をその場に置き、慌てて校舎へと駆け出していた。


 彰弘は滑り止めの付いたグローブを着けながら、手短に山田へと指示を出す。

「山田先生。打ち合わせでも説明したが、ゴブリンはおそらく今追いかけている人以外は目に入っていない。だからまず俺が先行してできる限り奴らの注意を自分に引き付ける。だから、もし俺の横を抜ける奴がいたら攻撃して足を止めてくれ。倒せるようなら倒してしまって構わない」

「わかりました」

 山田は彰弘の指示に緊張しながら頷いた。

 ゴブリンとそれに追われる人は、彰弘と山田の目にはまだ映らない。

 おそらく校門から続く壁の向こうを、移動しているのだろうと彰弘は予想をつけた。

 事実その通りだった。ほどなくして再度屋上から声が響いた。

「来ます!」

 その声と同時に、まず二人の人影が姿を現し、続いて生物――ゴブリン――が姿を現した。


 彰弘は腰にゴム紐で止めていた二本のマチェットを取り外し両手に持った。避難所に来るまで着けるけていた鞘は戦闘の邪魔になると今は腰から外していた。

 緊張の面持ちをした山田が足元から肩口に届くくらいの木の棒を握り締めている。この棒は農具倉庫にあったくわの刃を切り落とした物だ。刃の部分は当たれば大きなダメージを与えることができるであろうが、扱うのが難しくなる。そのため、取り扱いやすさを重視したのだ。

 地上で見張りに就いている残りの四人も同じように棒を身に着けている。


 山田は二人の人影を視認すると声を張り上げた。

「二人とも後少しだ! 昇降口まで頑張るんだ!」

 彰弘は一言「行って来る」と山田に告げる。「わかりました」と山田からの返事を背中で受けてゴブリンへ向けて走り出した。









 彰弘はゴブリンに追われている少年と少女へとすれ違いざまに「急げ」と声をかけ、自分はさらにゴブリンへと接近した。

 そして残り数メートルというところで右の足裏をブレーキにするように地面に押し付け、そして地面を一メートルほど滑り身体が止まったところで、右手のマチェットを横薙ぎに一閃した。

 その一閃は向かって来ていた先頭のゴブリンの首を斬り裂く。

 彰弘は自身が斬り裂いたゴブリンには目もくれず、次の標的へと左のマチェットを突き刺した。

 その合間に一体のゴブリンが彰弘の横を通り抜ける。

「先生! 一体そっちに行った!」

 舌打ちをした彰弘はゴブリンに突き刺したマチェットを引き抜きながら、後ろに控える山田へと注意の声を上げた。

 一体だけなら大丈夫だと思うが、と考えつつ体勢を戻した彰弘に、最後のゴブリンが襲い掛かった。

 マチェットに貫かれ倒れ伏した仲間の上を跳躍してきたゴブリンは、落下の勢いそのままに、その手にした棍棒を彰弘に振り下ろす。

 彰弘はその攻撃を右に跳んで避けると、体勢を崩したゴブリンの首筋へとマチェットを叩きつける。だが斬り付けが浅かったのかゴブリンは立ち上がろうとしていた。そのゴブリンに彰弘は容赦ない二撃目を振るった。

 最後のゴブリンを打ち倒した彰弘は自分が相手をした三体のゴブリンを素早く見渡した。そして全てが死んでいることを確認し山田の方へと顔を向けた。

 そこには山田が振るう棒の一撃を頭部に受けたゴブリンが倒れていくさまが映し出されていた。

 とりあえず危機は去ったかと彰弘は山田の方へ向けて歩き出した。









 山田は肩で息をしながら、自身が打ち倒したゴブリンを見据えていた。

 その顔は忌避や嫌悪、安堵など様々な感情が浮かんでおり複雑な表情をしている。

「どうやら無事のようだな」

 山田の無事を確認した彰弘は安心したように声を出した。

 その声に山田は驚いたように顔を上げる。今までゴブリンに集中し彰弘が接近してくるのに気がついていなかったのだ。

 返り血を浴びた彰弘に一瞬言葉が出なかった山田だが、それ以外に変わったところが見受けられないことから安堵の息を吐いた。

「ええ、怪我もしていません。逃げてきた子供達も無事のようです。榊さんこそ怪我などはしていませんか?」

 昇降口を見た後、再度自分の方を向いた山田のその言葉に彰弘も安堵した。

「まぁ、何とかな。子供達も無事なのは何よりだ。それじゃ、後始末をしようか」

 彰弘は赤黒い塊を身体の上に浮かべているゴブリンを見下ろしながら、山田へと声をかけた。

 そしてそれに山田が答えようとしたとき、昇降口の方向から大きな声が届いた。

「彰弘さ〜ん! だいじょぶですか〜!」

 ゴブリンの死体を挟んで相対する二人は同時に昇降口へ顔を向けた。

 そこには、まさに全力疾走という言葉が相応しい六花と、その後ろからそれを追いかけるように小走りで続く鷲塚と紫苑の姿があった。

 彰弘は軽く笑いながら大丈夫だと示すように片腕を上げた。

 ほどなくして彰弘のもとに到着した六花は滝のような汗を流していた。

 そしてその汗を拭うこともせず「だいじょぶですか?」と心配そうな顔で彰弘を見上げた。

「ああ大丈夫だ。山田先生も俺も傷一つないよ。それよりこんな暑い日にあんなに走るもんじゃないぞ、六花。倒れたらどうする。まぁ、とりあえず汗を拭け」

 九月になって風は涼しくなっているが、まだ陽の照りつけは厳しい。

 六花の身を案じつつ、彰弘は自分のベルトに挟んであったタオルを六花に差し出した。

 六花は安心したように笑顔を浮かべ「だいじょぶですよ〜」と彰弘に返し、受け取ったタオルを顔にあてた。


 そんなやりとりをしている間に、鷲塚と紫苑も彰弘達のもとにたどり着いた。

「お二人とも大丈夫ですか?」

 到着するやいなや、鷲塚は彰弘と山田へとそう問いかけた。

 山田は兎も角、彰弘の身体にはゴブリンの返り血が付いていた。そのため二人の様子から問題ないとは思った鷲塚だが確認のための問いを口に出したのだった。

「傷一つないですよ、鷲塚教頭」

 彰弘はそう言い山田へ視線を送る。その視線を受けた山田も鷲塚へ問題ない旨を伝えた。

「そうですか、それは良かった。お疲れさまです」

 鷲塚は二人からの言葉にそう言うと胸をなで下ろした。

「さて、鷲塚教頭が安心したところで後始末をしてしまおう」

 彰弘はそう言いながら、両の手に持ったマチェットをそれぞれ一振りして付いた血を振り落とす。そしてポケットから取り出した布で残り血を拭き取ると腰に戻した。

「これがゴブリンですか。確かに榊さんや皆が言っていた特徴と一致しますね」

 鷲塚は仰向けに倒れ死んでいるゴブリンを興味深そうに眺める。

「そうですね強さも榊さんが言っていた通りでした。一体ならば私でも倒せるくらいの強さです。油断しなければ他の大人の人でも十分相手をできると思います」

 鷲塚へ向けて山田が自分が戦った感想を述べた。

 その言葉に鷲塚は複雑そうな顔をした。

「あまり強くないというのは朗報ですが、そうなると移動を主張していた人達が騒ぎそうですね。そうなるとやっかいになります」

「いくらなんでも、それはないだろう」

「そうとも言えませんよ。何せゴブリンみたいな生物がいると知っていても、逃げ切れると言い移動を主張していた人達です。相手が強くないと知ったら再び移動を主張してくる可能性は否定できません。実際、榊さんが僅かな間で倒してしまっていますからね」

 鷲塚の言葉に彰弘は顔をしかめる。

「確かに俺は三体倒したが、それはこいつらが俺を見ていなかったのが大きい。もし最初から俺が狙われていたとしたら、あの短時間で倒す事はできないと思うぞ。それどころか無事に倒せたかも分からない」


 先ほどもそうだし、桜井を追いかけていたゴブリンのときもそうだった。彰弘は二回ほど三体のゴブリンと交戦したが、その両方を無傷で切り抜けている。しかしそのどちらも最初の標的とはなっていなかったのだ。

 実際問題として最初から狙われていた場合、彰弘自身が言うとおりどうなっていたかは分からない。彰弘は戦闘の訓練を受けていたわけでも、格闘技を身に付けているわけでもない、極普通の一般人なのだ。


「あの人達が榊さんみたいに考えてくれれば良いのですけどね……その可能性は低いと考えざるを得ません」

 鷲塚はそう言うと押し黙った。

 それに釣られるように彰弘も難しい顔をして沈黙する。

 少しの間の沈黙後、彰弘と鷲塚の会話に加わらなかった山田が声を出した。

「教頭先生に榊さん、今それを言っても始まりません。それよりも今はこのゴブリンを始末してしまいましょう」

 その言葉で二人は我に返る。

「そうでしたね。今はやるべきことがありました」

「まったくだ。考えなきゃいけないことではあるが、それは今じゃなかったな」

 彰弘と鷲塚の二人は山田に謝罪すると、お互い顔を見合わせ同時に苦笑の表情を浮かべた。

 二人から謝罪を受けて焦る山田を横目に見やり、今日は苦笑ばかりだなと彰弘は頭を振った。


 彰弘は目の前で死んでいるゴブリンを指さして後始末の手順を説明する。

「先の打ち合わせでも言ったが難しいことはない。ゴブリンの上に浮いている塊を取り除いて火を点けるだけだ。そうすれば数分でこいつらは灰も残さず消え去る。ま、実際に見た方が早いな」

 鷲塚と山田が頷いたのを確認した彰弘は早速実践しようとしたが、そこである疑問を思い出しその動きを止めた。

 それは桜井を追っていたゴブリンの後始末をした後に六花と話した『塊が浮かんだままゴブリンを動かしたらどうなるか?』ということだ。

 幸い今この場に近づいて来ているゴブリンはいないようだ。もし近づいて来ていたら屋上から警告の声が上がるだろう。

 そんな状況もあって彰弘は疑問の内容を試そうと、提案という形で口を開いた。

「そうだ、一体一体燃やすのも面倒だ。向こうのゴブリンと一緒にこいつを燃やすことにしたいが、いいか?」

 動きを止めた彰弘に疑問を感じていた鷲塚と山田だが、その言葉に納得したような顔になり肯定の意を口にした。

 それを受け彰弘はゴブリンの足を掴んで持ち上げた。


 ゴブリンを引きずって歩きだそうとしたところで、二人の少女が近くにいないことに彰弘は気づく。

「ん? そういえば六花と紫苑は?」

 彰弘はそう言うと、ゴブリンの足を持ったまま辺りを見回した。

 二人はすぐに見つかった。彰弘から見て丁度鷲塚の身体に隠れる位置で二人は何やら笑顔で話し合っていた。少し距離が離れているため話の内容はわからない。

「榊さん、大変だと思いますけど頑張ってくださいね」

 唐突に山田が悟りきった顔で声を出した。

 彰弘と鷲塚はその山田の言葉に少女達へと向けていた視線を山田へと転じた。

「山田先生? それはいったいどういう意味で?」

 意味が分からず、彰弘はそう山田へと言葉を返した。

 鷲塚も不思議そうな顔で山田の顔を見ている。

「え? ああ、いえ。なんでもないです。なんでも。あはははは」

 おそらく独り言のつもりだったのだろう、彰弘と鷲塚の反応に山田は慌てて誤魔化すようにそう言った。

「それよりも今は後始末です。いつまでもここで話している場合ではありません」

 さらに露骨な話題転換を山田は行う。

 疑惑を深める彰弘と鷲塚だったが山田の言うことももっともだった。早急にゴブリンを焼却し荷運びを再開しなければならない。

「なんか凄く気になるんだが仕方ない。今はやることをやるか」

 納得いかないながらも彰弘はそう口に出し、続けて談笑している二人の少女に声をかけた。

 彰弘の声が聞こえた六花と紫苑は談笑をやめ、大人三人のもとへと歩み寄った。


 笑顔を浮かべる二人に変わったところはない。唯一気になるといえば、彰弘が六花に汗を拭くようにと渡したタオルを、何故か汗一つかいていない紫苑が胸に抱いていることくらいだった。

 確認したい気持ちが持ち上がる彰弘だったが、確認してはいけないんじゃないかという何とも妙な感覚に声を出せないでいた。

 鷲塚も話すきっかけが掴めないのか黙しており、山田は山田で先ほどの発言のせいか沈黙を守っていた。


 そんな中、透明度のある声が彰弘の耳に届いた。

「彰弘さん、タオルは洗ってお返ししますね」

 声は紫苑のもので笑顔を彰弘へと向けていた。

 その隣では六花もにこにこと笑顔を浮かべているのだった。









 彰弘達はゴブリンの後始末を行っていた。

 もっとも実際にその作業をしたのは彰弘と六花の二人だけだった。

 彰弘がゴブリンを一ヵ所に集め、六花が塊を取り除く。そして最後に彰弘が火を点けた。

 残りの三人が何をしていたのかというと、初めての斬殺死体にその場を動けないでいた。

 事前に彰弘は六花以外の三人に――六花が大丈夫なのは分かっていた――自身が殺したゴブリンの状態を伝えていた。特に紫苑には無理して見るものではないことも伝えていた。

 しかし事前に聞かされていたとしても、三人の目に実際に映った現場は想像以上だったようだ。

 鷲塚と山田は呆然と立ち尽くし、紫苑はかわいそうになるくらい顔を青ざめさせていた。

 仕方なしに彰弘は六花と二人で作業を終わらせたのであった。


 ゴブリンの焼却を終わらせた、彰弘達五人は昇降口へ向かい歩いていた。

 彰弘は自分の少し前を歩く四人を見ながら最後尾を歩いていた。

 鷲塚と山田は無言で歩いていた。

 六花は心配そうな顔で紫苑に「だいじょぶ?」と声をかけながら、未だ顔が青い紫苑の隣を歩いている。

 紫苑はそんな六花に弱々しい笑みを返していた。

 そういえば、と彰弘は思い返す。

 何故紫苑はあれほどまでにゴブリンの死体を視ることにこだわったのだろうか? 見なくてもいいと言う彰弘に紫苑は頑なに首を振っていた。さらに言えば倒れるのではないかというほどに顔を青ざめさせていても、決してゴブリンの死体から目を離してはいなかった。

 ゴブリンの死体といえば、自分や六花が何故忌避感も何も覚えずにいられるのかも疑問だった。

 紫苑のこと、六花のこと、そして自分のこと。どれも考えて分かることではなかったが、どうしても考えずにはいられなかった。

 結局、昇降口に着くまでの間に彰弘の疑問は解消するには至らなかった。

 唯一ゴブリンから発生した赤黒い塊の移動については判明したが、今の彰弘にとっては、すでにどうでもいいことであった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ