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融合した世界  作者: 安藤ふじやす
2.避難拠点での生活と冒険者
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2-10.

 前話あらすじ

 六花と紫苑に起こされた彰弘は朝食を食べた後、冒険者になるために職業斡旋所へ向かう。

 そこにはすでに冒険者登録を終えた瑞穂と香澄がいるのだった。

 職業斡旋所で六花と紫苑の冒険者ギルドへの登録を終えた彰弘は、その少女二人と少し前に登録を完了させていた瑞穂と香澄を伴って、北門近くにあるという訓練場へと向かっていた。

 訓練場へ向かう理由は彰弘がギルドへ登録するのに必要な試験を受けるためだ。

 香澄が話していた通り、成人である彰弘は冒険者としてやっていける最低限の力を示す必要があったのだ。

 ちなみに、瑞穂と香澄の両親は斡旋所に残って学園の説明を受けている。少女二人の弟も両親と一緒だ。

 彰弘も訓練所へ向かう前に学園の説明を聞こうと思っていたのだが、瑞穂と香澄の両親から「ここは私達が説明を受けておきますから」と言われたので、ありがたくその言葉を受け取り職業斡旋所を少女達と後にしたのである。


 余談ではあるが、冒険者ギルドが斡旋所という場所にも関わらず登録行為が許可されているのには訳がある。

 十平方キロメートル以上の広さを持つ避難拠点は、今後、南に位置するグラスウェルの街と統合することとなっていた。そうなると避難拠点と街とを繋ぐ新たな外壁を建造しなければならない。そしてその建造に使用する資材で足りない分は壁の外から調達するしかないのである。当然、壁の外での活動は魔物からの襲撃を警戒しながら行わなければならない。そのため、護衛戦力となる冒険者の増加は必須であった。だからこそ、僅かであろうと時間節約のために斡旋所で登録までを行えるよう許可が出たのである。

 なお、実際に外壁を建造する土木作業者も避難拠点の内外を守る兵士の数も明らかに足りていない。そのため、その両者も斡旋所で登録などの初期段階の手続きを行う許可が下りていた。

 もっとも、足りないからといって、斡旋所で登録して即正式採用となるわけではない。兵士や土木関係などは仮就職の期間が設けられており、その期間で適正を判断された上で正式採用となるのである。特に兵士に関してはその職務の性質上、適正は厳しく判断されることとなる。

 なお、冒険者については他の職とはその性質が違うため、ここでは割愛する。


 ともかく、彰弘達は訓練所へと向かっていた。

 この訓練所は兵士が日頃の訓練をするために用意された場所である。

 何故そこへ? という疑問が浮かぶが、その訓練所は今避難拠点にいる兵士の数に対しては過剰と言えるほど広かった。最終的にはちょうど良い広さとなる見込みではあるが、世界の融合から間もないこともあり、今はまだ、その訓練場を使用する兵士の数は少ない。そのため、冒険者ギルドへの登録をするための試験場、またそれを受ける前の訓練の場としても用いられていた。

 一応、避難拠点に仮設置されている冒険者ギルドにも訓練場は併設されているのだが、今回のような状況は一時的であると考えられていたため、数十人程度規模の広さしか持っていない。そのため、兵士用の訓練場を間借りする形を取っているのである。









 訓練場に着き、その場を見た彰弘達は軽く感嘆の声を上げた。

 そこには気合の入った声を上げ、木製の剣や槍などで真剣に打ち合う人達の姿が見て取れた。

「っと、関心してばかりもいられないな。どこへ行けばいいのやら……」

 彰弘は気を取り直して訓練場を見回す。

 どうやら奥の方が兵士達で手前側がそれ以外のようだった。手前側の人達の動きは、そのほとんどが鈍かったからだ。

 そんな風に訓練場を見ていた彰弘は訓練を行う人達の中に見知った顔を見つけた。

 それは小学校で出会った山田と宮川であった。

「誠司さーん! がんばってー!」

 突然、訓練場の端の方からどこかで聞いたことのある少女の声がした。

 山田を見ていた彰弘は思わずその方向を見る。

 すると同時に、六花が「美弥ちゃ〜ん!」と大声を出し、両腕を上げて左右に振り始めた。

 美弥はその六花に気が付き、彰弘達の方を見ると手を振り返す。そして、こっちこっちというように手招きをした。


 美弥の傍まで近づいた彰弘達は、その場にいた美弥とその両親に挨拶をした。

 そして会話をしていると訓練をしていた山田と宮川が訓練を切り上げ近づいてきた。

「彰弘さん。無事に退院できたようで何よりです」

「いや〜、本当っすよ。心配したんすよ?」

 自分の知り合いが無事だったことに山田と宮川の二人は安堵の表情を浮かべ、そう彰弘に声をかけた。

「お陰さまでな。脂肪もなくなって気絶前より体調は良いくらいだ」

 そう言う彰弘に二人は確かにと頷く。

 そして美弥が差し出したタオルで流れる汗を拭った。


 それから暫く二人との会話を楽しんでいた彰弘だったが、当初の目的を思い出し、またいくつかの疑問が浮かんだため、そのことを口にした。

「ところでいくつか聞きたいことがあるんだが、いいかな?」

 彰弘のその言葉に二人は「どうぞ」と頷く。

 それを見た彰弘は口を開いた。

「まず、どうして名前呼びなんだ?」

 実のところ、彰弘は目覚めてから気になっていたことだが、そのことを周りに聞くのを忘れていた。

「なんか、それがデフォ見たいっすよ。貴族がどうとかって説明されたっすけど、ともかく、苗字では普通呼ばないらしいっす。あ、ちなみに僕の名前は康人やすひとっす」

 彰弘の疑問に宮川――康人――が答える。

 それに続くように康人の隣に立つ山田も「私は誠司せいじです」を自分の名前を明かした。

「ああ、なるほどよく分からないがそういうもんなんだな。ありがとう。ところで山田先生……じゃなかった誠司先生か? 個人的に少し確認したいことがあるんだが……」

「先生はいりませんよ、もう先生ではありませんから。で、何ですか?」

 その誠司の言葉に、名前に関する疑問の解消と同時にほぼ確証に変わった考えを彰弘は口にした。

「さっき美弥ちゃんが呼んでた誠司はあなたのことで?」

「ええ、そうです」

「どのようなご関係で?」

「恋人同士です。美弥のご両親公認ですよ。清い交際ですから今なら問題ありません」

 何故か丁寧になっていく彰弘の問いに一瞬の躊躇いもなく答える誠司。

 彰弘がちらりと六花達と話をしている美弥を見ると、こちらの会話が聞こえてたのだろう、その顔を赤くして恥ずかしげにしていた。

 聞いたのは自分だが、返ってきた答えにどうすべきか彰弘は空を見上げる。そして独りごちる。「聞くべきじゃなかったかなぁ」と。

「まあ、彰弘さん。気にしても仕方ないっす。それにこうして彰弘さん達を見ていると、誠司さん達と違いが分からないっす」

 そんな康人の声が耳に届いた彰弘は、その言葉を聞いて嬉しそうにする六花達を横目に空を見上げたままのその顔を手で覆った。


 数分の間、空を見上げていた彰弘だったが諦めたように顔を戻し口を開く。

「とりあえず、目下の問題を解決することにした」

 彰弘は先ほどまでのことを棚に置いてそう宣言する。

 僅か数分だがが思考を巡らせた彰弘は、結局のところ何も言葉が出てこず棚上げするのが今は最善との結論に達した。

 この結果がどうなるかは神のみぞ知るというやつである。

「で、目下の問題とは何です?」

 いろいろ諦めたかのような彰弘に誠司がそう問う。

「ああ、冒険者になるための試験場所が分からない。この訓練所で間違いはないはずなんだが」

 そう言って彰弘は多くの人が訓練するその場へと目を向ける。

「彰弘さんは冒険者になるんすね。小説のような冒険者とここでの冒険者が同じか分からないっすけど、何となく納得っす」

「デスクワークは十年以上やってきたし、もう十分だしな。後、ある程度は自由に過ごしたい。となると冒険者が最適だったということさ」

 納得の言葉を出す康人、それに頷く誠司を見て彰弘は自分の考えを口にした。

「で、どこか知らないか?」

「そうですね、多分、あの一角ですよ」

 彰弘の問いに誠司が指し示したのは今いるところから少し離れたところで、十代と思しき男女が木剣を掛け声と共に振っている場所だった。

 ちなみに誠司と康人が木剣を振るっていた場所は自由に使ってよいと言われている場所であった。

「なるほど、あそこか。昼前には終わらせたいから、さっさと行くか」

 そう言葉にした彰弘は一緒に来た少女達に声をかける。

 そして誠司に言われたその場所へと歩みを進めた。









 職業斡旋所から一緒に来た少女四人と折角だから見学するという誠司達五人を冒険者ギルド登録試験場の端に待たせて、彰弘は一人で試験官と思える人物へと近づいた。

「すみません。冒険者ギルド登録の試験はここですか?」

 それまで木剣を振るう男女を見ていたその人物は彰弘の声に振り向いた。

 その人物は彰弘より少し低いくらいの背丈をした細身の身体をした男だった。

「ええ、そうですが……もしかして、あなたが試験を?」

 彰弘の周囲を見回し、他に人がいないことを確認した男はそう疑問を口にした。

 試験官である男が疑問を持ったのも無理はない。彰弘ほどの年齢の者が融合後にギルドへ登録したとは聞いたことがなかった。試験を受けに来たことすらないはずだ。

 元の世界なら退役兵士が登録することがあるため、珍しいとまではいかないが、今、この場にいるということは元日本人のはずで退役兵士のわけがない。

 つまり試験官は、戦闘に関して素人同然の中年が試験を受けに来るとは思っていなかったのだ。

「私のような中年が受けに来たことに疑問を持つのは分かりますが、とりあえず受けさせてもらえませんか? 駄目だっただ駄目で、その時は諦めますから」

 試験官の顔から何を考えているのかを読み取った彰弘はそう自分の試験を行うように促す。

 それを受けた試験官は試験を受けさせるか一瞬考えたが、試験を拒む理由は特にない。そのため、彰弘の提案を受け入れた。


 試験官に試験で使う武器のあるところに案内された彰弘は一本一本そこにある木製の武器を手に取り馴染み具合を確かめていた。

 片手剣に両手剣、槍に斧、他にもあらゆる種類があった。そんな中で彰弘が選んだのは少し短めの片手剣二本だった。

 試しに剣を片手だけに持って振ってみたのだが、何となく違和感を感じた。だから彰弘はゴブリンと戦ったときと同様に両手に武器を持つことにしたのだ。

 試験官は彰弘が武器を選び終わったのを見届けると「少し待っててください」と近くで指導にあたっている人物の下へと近づいていった。

 一言二言その人物と会話した後、試験官は彰弘のところに戻り「それでは試験を行いますので付いてきてください」と言って、自分が元いた場所へと向かった。


 試験官と始めに話した場所まで戻った彰弘は試験相手が来るまで身体を解すように柔軟を行っていた。

 治療院で目覚めてから多少は身体を動かしてはいたが戦闘というほどの激しい動きはしていない。今の自分がどれだけ身体を動かせるかは正直分からなかった。

 普通なら自分の身体がどんな状態かを確かめて置くべきなのだが、すっかりと忘れていたのである。

 ともかく、彰弘は可能な限り動けるようにと柔軟で身体を解していた。

 そんな彰弘へと声をかける人物がいた。

「お待たせしました」

 声をかけてきたのは彰弘の試験相手を務める中肉中背の男だった。

 彰弘とその試験相手はお互いに挨拶を交わしてから試験官である男を見る。

「では、早速はじめましょう」

 彰弘とその試験相手から顔を向けられた試験官はそう言うと顔を真剣なものに変えた。









 試験相手と向き合う彰弘を見ていた六花の小さな口から声が零れる。

「彰弘さん、だいじょぶかな〜?」

 心配そうな六花の声は、無言で状況を見守る紫苑、それに瑞穂と香澄の思いを代弁していた。

 彰弘の試験相手は素人目に見ても強そうであったからだ。

 しかしそんな六花達に誠司が言葉を返す。

「六花さん大丈夫ですよ。万が一にも不合格はありえません」

 自信満々にそう言う誠司に六花は目を向ける。

 そんな六花に軽く笑いを返すと誠司は言葉を続けた。

「彰弘さんのあの試験相手ですが、数日前に訓練の相手をしてもらったことがあります。そのときにあの方から『兵士や冒険者でもやっていける』と言われました。お世辞が入っているかもしれませんが、あのときの様子を見るに嘘は言っていなかったと思います。まあ、何を言いたいかと言うと、そのようなことを言われた私より彰弘さんはずっと強いのです。ですから不合格はありえません、てことです」

「そうっすね、もし彰弘さんの実力があって不合格だというなら、冒険者のハードルはめちゃ高いっす。ゴブリン数十匹を一人で倒せるのに駄目とかありえないっすもん」

 誠司の言葉に康人がそう付け加えた。

 実際のところ、この冒険者登録の試験はゴブリンと対峙して正面から倒せるかどうかが見極めどころであった。

 そのため、試験する者の相手となるのはゴブリンとの戦闘を多く経験する現役の冒険者達である。彰弘の試験相手もそんな冒険者の一人であった。

「ともかく、心配はいりませんよ。何だったら大きな声で応援してあげれば彰弘さんもいつも以上の力が出るかもしれません」

 美弥を見ながら誠司はそんなアドバイスを六花達に伝える。美弥は美弥で六花へと「そうだよ、六花ちゃん。応援だよ」などと言葉をかけた。

 それを受けた少女達は当然のように彰弘へと声援を送ることになる。

 そんな声援にある色をのせている少女達を見ながら、子供は好きだが極一般的な恋愛感覚を持つ康人は「彰弘さん、どつぼっすね」と心の中で思うのである。

 ちなみに美弥の両親は年齢は気にしない性質らしく、少女達の声援ににこにことしていた。









 試験相手と対峙し、開始の合図を待っていた彰弘は少女達の声援を耳にした。

「なるほど、闇雲に「頑張れ」と言われるのは好きじゃないが、こういうのは悪くない」

 緊張感で少々強張っていた身体が解れるのを感じながら、彰弘はそう呟く。

「おや、娘さんですか? 可愛らしいですね」

 彰弘の口が動いたのを見た試験相手は少し離れたところで声を出す少女達を目にしそう彰弘に語りかけた。

 若干、試験相手の声に娘がいるのに何故? という疑念の色が混じっている。

「はは、可愛いらしいというのには同意します。ですが、私の娘ではありません。今回、保護者にはなりましたけどね」

 その彰弘の言葉の意味に試験相手と試験官は思い当たり表情を暗くする。

 そしてその表情のまま試験官が声を出した。

「あなたは何故冒険者になろうと思ったのですか?」

 試験官の疑問は当然であった。

 冒険者というのは死亡率が非常に高い。だから娘を持つ親が冒険者となることに賛成はできない。ましてや親ではなく今回保護者になったということでは尚更であった。

 親ではなく保護者ということは、必然的に少女達には実の親がいないか何らかの理由で親と離れているということになるが、今回保護者になったということだから、あそこにいる子供達は親と離れているという訳ではなく、融合の折に実の親を亡くした可能性が高い。つまりもし彰弘が亡くなると少女達は再び親を亡くした悲しみを経験することになるのだ。

「理由はいろいろあるんですけどね。とにかく、強くなる必要があるんです。あの子達のためにもね」

 そう言うと彰弘は目を僅かに細め両の手に持つ二本の木剣を右半身で構えた。

 彰弘のその言葉だけで全てを察したわけではないだろうが、試験相手は一度頭を左右に振ると右の木剣を前に出し左の小型盾を身体の直前に構える。

「試験官、もう始めましょう。恐らく何を言っても意味がないでしょう。どうやら決定事項のようです」

 試験官はその言葉に諦めたように右手を上げた。

 そして「始め!」と短く言うと、上げた手を振り下ろした。

「いつでもどうぞ。但し、全力で来なければ意味がありませんよ」

 試験相手はそう口にし、左腕に装着した小型の盾を前面に出し攻撃を受け止める構えに変えた。


 本来、この試験ではどの程度の力があれば合格となるかを試験者に伝えてから試験が開始される。

 しかし彰弘の場合、直前のやり取りがあったために試験官が安全な職を選ばせようと、わざと合格基準を伝えなかった。つまり合格基準を通常よりも引き上げたのだ。

 試験相手も試験官のその意図に気付いたため、不正ともいえるその行為に何も言わなかった。


 盾を前面に出して待ち構える試験相手に彰弘はどうするかを考える。

 その結論はすぐに出た。元々、剣技などは無いのだ。今は相手の言うように全力でぶつかるだけであった。

 そうと決まれば後は早い。彰弘はそのための動作に移った。

 まず彰弘は力を溜めるように身体全体を僅かに沈めた。そして治療院でサティから言われたことを思い出しながら、身体全体に魔力を行き渡らせるように意識する。

 ただ、残念なことに彰弘はまだ魔力の感覚というものを掴んでいなかった。だからあくまで行き渡るイメージを頭の中に描く。

 そして、そのイメージが完成したら最後の段階へ移る。踏み切り踏み込むための脚と足、両手に持つ木剣を振る腕とそれを握る手に魔力が通うように重点的に意識を持っていく。当然、身体中を強化するイメージは継続してだ。

 彰弘が集中してから一分、攻撃の準備が整った。


 試験官と試験相手は、彰弘が僅かに身体を沈め動きを止めたことを訝しげに見ていた。

 何をしているのかが分からない。まさか諦めたということはないだろう。そんなことを考えているときだった。

 彰弘の身体がさらに下へと動いたと二人が認識した瞬間、その身体があった地面が鈍い音を出した。

 踏み切りで地面を僅かに凹ませた彰弘は、融合初日の最後のゴブリン戦と同様に低い軌道で試験相手へと肉薄する。そして踏み込みと同時に右の木剣を試験相手へと叩きつけた。

 試験相手も伊達に試験の相手をしているわけではなかった。

 彰弘の動きに一瞬だけ反応が遅れたが左腕の盾でその斬撃を受け止めたのだ。

 しかし、それまでであった。

 斬撃を受け止め木剣で彰弘に反撃しようとした試験相手だったが、彰弘の斬撃を受けた際に僅かに体勢が崩れた。そのため、試験相手の木剣は彰弘の左手にある木剣により弾き飛ばされたのである。

 相手に武器を手放させた彰弘だったが、試験の合格基準が不明だったため、念のために試験相手の喉元に木剣を突きつけた。そして「終わりでいいかな?」と試験相手から目を離さずに声を出した。

 ほんの数秒の攻防で勝敗が決したことに呆然としていた試験官は二度目の彰弘の声で我に返った。そして一言「合格です」と彰弘に告げた。


 その後、試験官から合格証明の紙を受け取った彰弘は二人に礼を言い、喜ぶ少女達の下へ戻った。そして昼食を食べに行くという誠司達とも一緒に皆で訓練場を後にしたのだった。

お読みいただきありがとうございます。


登録試験までで終わってしまいました。

次回は間違いなく冒険者ギルドと武器屋です。

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