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融合した世界  作者: 安藤ふじやす
2.避難拠点での生活と冒険者
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2-8.

 前話あらすじ

 支部長との話を終えた彰弘達はその場で住民登録を行う。

 そんな中、自分の身分証に表示された称号に彰弘はため息をつくのだった。

 彰弘達がいる避難拠点は外敵を防ぐための壁で周りを囲っており、北と南に一つずつ中と外を繋ぐ門が設置されていた。

 しかし現状この門を通るのは兵士と冒険者、そして避難拠点の外で運良く生き延びていた人達くらいであった。

 世界融合の直後から元自衛官と冒険者混成の救出部隊は各指定避難所を廻りながら人々を避難拠点まで護送していた。数日間その任務を続けた救出部隊だったが、全ての指定避難所を廻り終えたところで一旦その任務は終了する。そして救出部隊の任務は避難拠点周辺の安全確保へと移された。それからさらに数日が経ち、周辺には避難拠点の壁を越えれるような魔物がいないと確認されると、再び生存者の捜索が開始された。

 もっとも治安維持や外敵の襲来に備えて大多数の兵士は避難拠点に残らざるをえなかった。そのため、外の捜索は極一部の兵士と救出部隊のときと同様に冒険者が指名依頼という形で行っていた。









 北門で哨戒任務に就いていた兵士は視線の先に人影らしきものが動くのを捉え、隣で同じ任に就く兵士へと声をかけた。

「ノブ。二時方向、距離は……三百ほど、人影だ」

 ノブと呼ばれた兵士はかけられた声に、示された方向へ視線を向けるがそこに動くものを見つけることはできなかった。


 避難拠点は元々街中に建造されていた。そのため周囲には普通に住宅などが建っており、視界は良くない。

 一応、建物などは撤去している最中なのだが、今現在の段階で撤去できているのは避難拠点の壁から測り百メートルほど先までであった。この建物の撤去はもう少し事態が落ち着いたところで本格的に開始される予定である。

 なお、この撤去に要する年月は数年かかると試算されていた。


 少しの間、示された方向を注視していたノブだったが動きが見えないために声を出した。

「見えないな、建物の陰に入ったか?」

「ああ、マンションの陰に入ったな。……と出てきた。冒険者四、大人四、子供二、だな。あの両刃斧を見る限り竜の翼か。また見つけてきてくれたようだ」

「そのようだな。俺は受け入れを頼んでくる。少しの間、ここは頼むぞ、ケイ」

「了解だ」

 初めに人影を見つけたケイと最低限の言葉を交わしたノブは、生存者が来たことを告げるために門に隣接する兵士の詰め所へと向かった。

 一方のノブは避難拠点へと向かってくる十名を視界に入れつつ周囲の警戒を続けた。


 ノブが受け入れの人員を伴ってケイの下へ戻ってから数分後、『竜の翼』と呼ばれる冒険者パーティーと生存者六名は避難拠点の北門へと辿り着いていた。

「生存者六名だ、受け入れを頼む」

 集団の先頭を歩いていた、両刃斧を背負った男がケイへと向かって声を出した。


 男は竜の翼のリーダーで名をセイルという。パーティー名の由来となっている身の丈ほどもある両刃斧を扱う戦士だ。このパーティーはセイルの他に槍使いの女戦士であるディアに男魔法使いのライ、そして女司祭のミリアという四人で構成されていた。

 竜の翼という大仰なパーティー名は彼らが自称しているものではない。

 元々の彼らのパーティー名は『ファイター』であった。パーティー結成当時はセイルとディアの二人だけであり、その二人ともパーティー名などどうでも良かった。そのため特に何も考えず『ファイター』という名前で冒険者ギルドへとパーティー申請を行い、ギルドもそれを受理した。

 暫くしてライとミリアがパーティーに加わり、ほぼ同時期にセイルが今持つ両刃斧を手に入れる。そして数年が経ち、セイルが持つ両刃斧を誰かが「竜の翼みたいだ」と言い始めた。その後、セイル達の実力もありいつの間にか両刃斧を指していた竜の翼はセイル達パーティーを指す言葉へと変わっていった。

 こうして竜の翼と呼ばれ続けた四人は、そのままの名を称号として獲得することなる。そうなると冒険者ギルドへと登録されているパーティー名は相応しくないものと見なされ強制的に変更されることになるのである。

 なお、このパーティーのように良い方向に変更される――本人達の意見は別として――場合もあれば、当然ではあるが悪い方向に変更される場合もあるということを追記しておく。


 セイルの言葉に頷いたケイは受け入れ要員へと顔を向けた。

 すると心得たとばかりに歩み出た受け入れ要員は生存者へと優しく声をかけてから、セイル達に頭を下げる。そして生存者と一緒に避難拠点の中へと戻っていった。

 セイル達への感謝の言葉を後に避難拠点へと入っていく生存者を見送ったケイは一言「感謝します」言い頭を下げる。隣にいるノブも同じ様に感謝を表していた。

「そう毎回頭を下げなくてもいいぜ。同郷というわけじゃないが、今は同じ国の国民だ……。ああ、まぁ、気にするな。それより入街手続きを頼む」

 言葉の途中で恥ずかしくなったのかセイルは頭をかきながらそう言い、自らの身分証を差し出した。

 毎度の態度にケイとノブは顔を見合わせ笑みを浮かべる。

 見るとセイルの後ろに控えていたパーティーメンバーの残り三名も顔に笑いを浮かべていた。

 自分以外が笑っていることに若干不機嫌になったセイルから身分証を受け取ったケイは手のひら程度の大きさの魔導具にその身分証をかざす。そして魔導具の発光部が青を示すのを確認してから身分証をセイルに返した。

 残りの三名にも同様のことを行い問題ないことを確認したケイは改めて姿勢を正し声を出す。

「全員問題ありません。どうぞお通りください」

 その声を聞いたセイルを除く三人は、未だ不機嫌さを表すセイルの背中を押して避難拠点内部へと歩みを進めた。

 そんな四人をお礼の意味を込めて軽く頭を下げて見送ったケイとノブは、再び自らの任務である周囲の警戒を再開した。


 この避難拠点へと避難して来た人数は生存者の捜索を再び開始してからおよそ五千人ほど増加している。今回のように冒険者などに保護されて連れて来られたり、自力で辿り着いたりしてである。

 これは世界の融合直後に何らかの理由により指定避難所へと辿り着けなかった人達がまだ多く生存している可能性を示していた。

 本来ならばそのような人々を大規模に捜索し保護する必要があった。しかし絶対的な人員不足によりそれができない現状は、事態を把握する者達にとって歯痒いものがあった。









 今、彰弘達は仮設住宅がある区画へと続く道を足早に歩いていた。目的は言わずもがなで彰弘の寝床の確保である。


 仮設住宅と聞くと避難者の数に対して戸数が足りないのではないかと考えがちだ。しかし想定より避難拠点周囲の地球側の土地が狭かったことなど複数の要因により、この避難拠点にいる避難者の数は未だ想定の五分の一ほどだ。そのため融合から十日以上経った今でも、余裕で仮設住宅へと入居できる状態であった。


 それはそうと、足早に歩いているのには訳がある。

 身分証を受け取りその説明を聞いた彰弘達は一階に降りそこで生活支援金を受け取った。そしてこれから生活していくための説明と注意事項を受けていたのだが、その説明などが予想以上に長く、日が傾き始めるまで続いたのだ。

 もっとも、それらは実際に今いる避難拠点でどのように生きていくべきか。また今後のことを見越してどのように行動していくべきかなどで、これからの生活には必要なことであった。

 説明や注意事項の内容については日本人であったならば基本普通に生きていれば問題ないものがほとんどなので、それについてここで記すのは省略する。


 特筆すべきは次のようなものだ。

 ・生活支援金は月に一度受け取れること、その期間は融合から一年間。

 ・避難拠点やこの国の街中での移動は基本徒歩か獣車。

 ・犯罪者に対する扱い。

 ・種族について。


 このようなものの中で特に彰弘が驚いたのは種族についてだった。

 ややこしい話ではあるが、例外を除いて人型の生物は人と呼ばれるタイプと魔物と呼ばれるタイプの二種類が存在する。

 つまり彰弘達を襲ってきたゴブリンは魔物で人と敵対する種だが、同じゴブリンでも人と共存する種も存在することになる。

 もっともその見分け方は簡単で、人と共存する種は人語を話しその容姿も魔物種と似てはいるが区別できるという話であった。


 ともかく、このような説明などにより気が付けば日が傾き始めていたのである。

「ここまで時間がかかるとは思わなかったな」

 少女達の歩く速度に自分の歩く速さを合わせながら彰弘が呟く。

「説明自体はあたし達のときと同じくらいだったよ」

「そうですね〜。やっぱ称号のことが長引いた原因ですね」

 前を行く彰弘の呟きに瑞穂と香澄が答えを返した。

 彰弘達が一階で説明を受けていたときは総合管理庁支部庁舎には職員しかいなかった。単純にタイミングのためだったが、そのせいでその場にいるほぼ全ての職員が話に加わってきた。職員としてその行動はどうなのかというところだが、ともかく称号の話で大いに盛り上がってしまった。その結果、通常一時間程度で終わる説明が倍の二時間もかかってしまったのだ。

「今はそんな話をしている場合ではありません。急がないと受付時間が過ぎてしまいます」

「そうだよ彰弘さん。このままじゃ野宿だよ!」

 彰弘の前を行く六花と紫苑がちらりと振り返り後ろの三人を急かす。

 実のところ、六花の言うような野宿とはならない。仮設住宅への入居受付時間を過ぎた場合は、一晩を集会場のような建物で過ごし翌日改めて受け付けをする流れになっているのである。

「わかったわかった。もう無駄口は叩かないから案内をよろしく頼む」

 彰弘は軽く笑いそう返すと、今にも駆け出しそうな六花と紫苑の後を追う。

 瑞穂と香澄も顔を見合わせ笑みを浮かべ前の三人に遅れないように付いていくのだった。









 仮設住宅が建つ区画の入り口にある受付場に彰弘達が着いたのは夕方といえる時間に差し掛かった時だった。


 仮設住宅が立ち並ぶこの区画は総合管理庁支部庁舎からおよそ歩きで三十分ほどの距離にある。

 建っている全ての建物は二階建ての集合住宅である。どの部屋にも台所とトイレが付いていて、単身者用は他に四畳半ほどの部屋が一部屋、家族用は六畳ほどの部屋と四畳半ほどの二部屋という間取りになっている。

 ちなみに、風呂場は住宅には用意されてはいないが、それに関しては数棟に一つ大浴場が用意されており、そこで夕方の鐘がなった直後から夜の鐘がなるまでのおよそ二時間の間、入浴が可能となっている。なお、男女別々の浴場なのは言うまでもない。


「思ったよりも距離があったな」

 少女達の息が整うのを待って彰弘が口を開いた。

 ここまで彰弘にとっては少しだけ速いと感じる速度で歩いて来た。でもそれは少女達にとって息を乱すほどの速度であった。

 これは何も彰弘が急いだわけではなく、少女達――特に六花と紫苑が――がそのペースを上げたせいであった。

「ぐぬぬ。彰弘さんとの差を見せつけられました」

 悔しそうに唸る六花に彰弘は困ったような笑みを浮かべる。

「六花さん、それはおいおい解決していきましょう。今は折角間に合ったのです。受付をすませてしまいましょう」

 紫苑はそう言うと率先して受付へと歩き出した。

 それを見た六花は拳を握って「頑張る」と一言呟き、瑞穂と香澄もお互い頷き合う。そして三人は紫苑の後に続く。

 そんな少女達を見た彰弘は「どうなることやら」と内心で呟き、先行く少女達に遅れないように自身も歩みを進めた。









 称号のことやら保護者のことやらで多少の時間を取られたが彰弘は無事に仮設住宅へと入居することができた。

 彰弘が入居することになったのは家族用の棟の一階にある部屋だ。二人の少女の保護者となった関係上、家族用の部屋となったのである。

 狭い台所は板張りで最低限の調理器具が備え付けられている。数組の食器に魔石で動くコンロなどである。残りの二間は畳敷きだ。家具は六畳間にちゃぶ台が一つあるのみで、他には何もない。

 寝具や着替えなどは入居を受理された際に渡されたそれを、借りたリヤカーに載せ彰弘が運んできた。今は六畳間の隅に彰弘の荷物と一緒に置いてある。

 そんな何とも殺風景な部屋で、彰弘は窓を開け一服していた。

「さて、明日からどうするかね」

 紫煙を吐き出しながら思わずそんな言葉が漏れる。

 とりあえず冒険者になるということは決定ではある。数年後には家族を探しに旅に出るつもりなので誰かに雇われるという選択肢は存在しない。もっとも、そうでなくても日本で普通の会社員をずっとやってきたのだ。もうそういうのはいいだろうという気持ちがあった。

 それはそれとして彰弘は肝心なことを忘れていた。

 この融合した世界の冒険者は何でも屋といえるらしいから必要ではないのかもしれない。しかしこの避難拠点で冒険者をやるとなると、おそらく外へ出る必要があるのだろう。となると、どうしても必要な物があった。それは何か? 悩むまでもなく答えは出る。彰弘は武器と呼べるようなものを今は持っていなかったのだ。

「迂闊だった……」

 二本目の煙草に火をつけどうするかを考える。

 せめて折れてはいても自分の部屋から持ち出したマチェットがあればまだ何とかなった。あんな物でもゴブリン相手なら十分であると彰弘は感じていた。

 勿論、一体や二体であれば無手でも対処できるとは思っている。しかし流石に囲まれるほどとなると無手では厳しく感じる。

 最悪、どこかで木の棒でも拾って使うしかないかと半ば諦めの気持ちでその思考を止め、短くなった煙草を灰皿へと押し付けた。

「流石に吸いすぎか?」

 自問の言葉を出した彰弘だったが、まぁいいかと三本目となる煙草に火をつけた。


 彰弘が吸っている煙草は元は自分が吸っていた銘柄で、今は融合の折にその性質変化と不可思議な現象によりメアルリア銘柄となった物である。

 この煙草は融合前のものとは少々異なっている。違いはその性質だ。融合前と違い人体に与える害は皆無といっていい。仮に一日中吸っていたとしても身体には何ら異常を及ぼさない。喫煙による害を出すには口一杯に煙草を咥えそれを延々続ける必要があるほどだ。

 そんな害のない煙草には驚くことに僅かながら魔力を回復する効果もある。もっとも、煙草一本で回復する魔力は最低ランクの魔力回復薬の百分の一以下であり、魔力回復のために煙草を吸う者は皆無である。

 こんな基本良い事尽くめの煙草だが問題もある。それは値段だ。何と一本で百ゴルド、日本円に換算すると千円もする。

 ただこれにはそれなりの理由がある。煙草の生産は各教団が行っている。当然、信徒がその生産を請け負っているわけだが、その生産の段階で煙草一本一本に教団ごと特殊な魔導回路を組み込んでいるのである。この魔導回路はフィルターと葉を巻いている魔石の粉を混ぜた紙へと一緒に刻み込まれており、煙草に火がつくとその機能を活性化させる。そのため、前述した害の超軽減と僅かながらの魔力回復という効果を持つに至るのである。


 そんな効果を持つ煙草を吸いながら、このペースだと持ってきた二カートンすぐなくなるな、と彰弘が考えているとドアをノックする音が聞こえてきた。

 六花と紫苑が来たかな? と思い灰皿に煙草を押し付け火を消すと彰弘はドアへと向かった。

「どちら様ですか?」

 彰弘はドアの前で声を出し誰が来たのかを問う。この仮設住宅にはドアスコープは付いていなかったからだ。

「彰弘さんですか? 自分は避難拠点第一部隊所属、ショウヤ・ホンゴウと申します。部隊長であるアキラからの伝言と預かり物を届けにまいりました」

 返ってきた声は彰弘の知らないものだった。

 ただ、その内容は気になり、害もないだろうと彰弘は静かに玄関ドアを開け、ショウヤと名乗る男を部屋へと招きいれた。

 ショウヤは聞いていた特長と彰弘を見比べてから、頭を下げ「失礼します」と言い玄関に入り、そこで香るバニラの匂いに疑問を浮かべた。

「これは、バニラ?」

 そんなショウヤに彰弘は声をかける。

「とりあえず、上がってください。この部屋の玄関は狭いですからね」

「あ、いえ、用件はすぐに終わりますので……」

 彰弘の言葉にそう返したショウヤはまず手に持っていた二つの袋を床に置いた。

「唐突で申し訳ありませんが身分証を確認させていただいてもよろしいですか? アキラから聞いていた特長との確認はできましたが念のためにお願いします」

 いまいち意味が分からなかった彰弘だが、本人確認を断る理由もなかったために素直に身分証を差し出した。

 ショウヤは街の出入りのときにも使用される魔導具で彰弘の身分証を確認した後、「ありがとうございます」と身分証を彰弘へと返却した。

「で、どのような用件ですか?」

 身分証を支給された専用ケースに仕舞うと彰弘はそう口にした。

「はい。まずこの二つですが、これは彰弘さんが討伐したゴブリンの討伐証明である角とその魔石です」

 そう言うとショウヤは床に置いた二つの袋を指し示した。

「ああ、これは私が貰っていい物なのか?」

「はい。問題ありません。一部はあなたと同じ避難所の方が倒した分も含まれているそうですが、それに関してはアキラの方で確認を取っているとのことです」

 彰弘の疑問にショウヤはそう説明する。


 通常、魔物を倒した後で自分かその仲間が手に入れないと討伐証明や魔石は所有権を主張することはできない。しかし今回は通常ではない事情があったため、彰弘の物となることに問題はなかったのである。


「そうですか、それではありがたく受け取っておきます」

 彰弘が受け取る意思を示したところでショウヤは次のことを口にする。

「次ですが、あなたが使っていた剣とゴブリン・リーダーが持っていた剣は武器屋に預けてあります。明日以降のあまり遅くならないうちに取りにいってください。武器屋の位置はこの区画の受付や職業斡旋所などにある地図をご確認いただければすぐに分かります。後、一応の注意事項ですが、街中での武器の携帯は特定の職業でないと逮捕の対象となります。そのあたりは十分に注意してください」

 武器に関してもアキラが気を回してくれたのだと考え、彰弘はショウヤの言葉に了承の意を伝えた。


 ちなみにショウヤが言う特定の職業とは兵士関係と冒険者のことである。例外として貴族階級にある者はその職業でなくとも護身の意味もあるので見逃されることが多い。

 もっとも帯剣が許されているからといって、意味もなく街中で抜剣した場合は例え誰であろうと逮捕の対象となる。

 なお、一般人が外へ出るからと武器を運ぶ場合はすぐにその武器を使えないような状態で運べば問題はない。このあたりの運用は日本の銃刀法に似ているといえなくもない。


 彰弘に必要なこと全てを伝え終わったショウヤは一礼して帰っていった。

 ショウヤは帰り道であのバニラの匂いは何だったのだろうと暫く疑問に思うのだが、後日彰弘が外で煙草を吸っているところに通りかかり「なるほど」と匂いの元を特定するのである。


 ともかく、この出来事により彰弘の懸念であった武器の調達は解消されたのであった。









 ショウヤが帰ってからさらに数分が経ち、六花と紫苑が今まで寝ていた場所から自分の荷物を持って引っ越してきた。

 玄関ドアを開けた彰弘を見るや否や少女二人は笑顔で「よろしくお願いします」と頭を下げる。そんな二人に彰弘も笑顔で「こちらこそ」と返したのだった。

お読みいただきありがとうございます。


遅くなりました。

十九時くらいを目標としていますが中々思うようにはいきません。

では、また来週です。失礼します。


二〇一四年十二月八日 二十三時四十分

 彰弘が入居した部屋の描写を追加(話の流れには何の関係もありません)

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