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融合した世界  作者: 安藤ふじやす
1.異変から避難
13/265

1-12.

 前話あらすじ

 十人の大人が避難所を去った。そのせいで急遽バリケードを設置する。

 作業が粗方終わった頃、彰弘達は屋上に上がり見張りを引き継ぐ。

 そこで彰弘と用務員の宮川は昨日から今日にかけて、疑問に思ったことを考察していく。

 三階のトイレで用を足し終え手を洗っているとき、彰弘は上の階が騒がしいことに気がついた。何かあったかと急いでそこから出ると、緊迫した雰囲気の桜井が階段を降りてきているところだった。

 彰弘を見つけた桜井は一瞬安堵の表情を浮かべ、すぐにその顔を険しく引き締めた。

「榊さん、大変です!」

「何があった!?」

 ただ事じゃないと感じた彰弘は桜井に事情の説明を促す。

「ゴブリンに追われた人がこちらに向かって来ていて、それを助けるために山田先生達が外に行きました! 逃げて来る人達が三十名ほど、ゴブリンは百体ほどです」

 彰弘は絶句し、慌てて窓から校庭の様子を窺った。


 まだゴブリンの姿は見えないが、山田を含む十人の男が昇降口から十メートルほど進んだ位置に武器を構え陣取っていた。その中には先ほどまで彰弘と屋上で話をしていた宮川の姿もあった。

 持っている武器は棒の先端に急造で作り上げられた刃が取り付けられ槍のようになっている。昨日、屋上の小屋を作り上げた人達が余った時間を利用して作成したものだ。斬ることも突き刺すこともできるようになったそれは、純粋な戦闘用とは呼べないが、それでもゴブリンが相手ならば十分に効果を発揮するであろう完成度を持っていた。


 彰弘は焦る気持ちを無理矢理抑えつけた。屋上で宮川と話した内容が正しければ致命的なミスを犯すかもしれないからだ。

「何故、外へ出た?」

 桜井が言うとおりのゴブリンの数なら山田達十人だけでは自殺行為でしかなかった。

 本来ならこの様な場合、昇降口で迎え撃ちながら逃げて来る人達を招き入れ、徐々に四階へと後退する予定であった。

「逃げて来る人の中に、ここにいる児童の親がいたのです」

 彰弘は舌打ちをし、ジャージのポケットから取り出したグローブを取り出す。そしてそれを手に着けながら桜井に指示を出す。

「桜井先生、あなたは四階に戻りいつでも防火扉を閉めれるようにしておいてくれ。俺は下に行く」

「分かりました。気をつけてください」

 この避難所で戦闘の要となっていた彰弘の指示に桜井は素直に返事をし、そして階段を昇っていった。彰弘はもう一度窓の外に目をやり、そして一階へ向かい駆け降りた。


 彰弘の目には、校門を通り一人また一人と校庭へ入ってくる人の姿が映っていた。









「鷲塚教頭! そんなところで何をしている!」

 一階に到着した彰弘は、昇降口で校庭の様子を見る鷲塚にそう言葉を叩きつけた。

 その声に振り向いた鷲塚に階段を降りた勢いのまま彰弘は近づく。

「いいか。子供達を死なせたくなかったら、俺がここを出たら昇降口を閉めて鍵をかけろ。そしてあなたは四階に戻れ。桜井先生にいつでも防火扉を閉めれるように言ってある」

 鷲塚の横に並んだ彰弘は腰から外した二本の剣を両の手に持ち、外を見据える。

 その目には校門を通り次々と校庭に侵入してくるゴブリンとそれから逃げる人々の姿が映っていた。


 厳しい顔をして外を睨む彰弘に鷲塚が声を返そうとしたそのとき、突如、校門の近くに二つの火球が現れた。

 その光景に彰弘がまさかと思った瞬間、火球は逃げる人達へと襲いかかった。


 火球の威力は不明だ。彰弘は昨日ダメージをほとんど受けなかった。だからと言って安心はできない。昨日の彰弘に放たれた火球と今逃げている人達に放たれた火球の威力が同じとは限らないのだ。現に今、彰弘達の前では火球の直撃を受けた二人が地面に倒れたからだ。

 倒れた二人はそのまま倒れたままでいる。死んでいるのか気絶しているのかは分からない。しかし校庭の中央辺りで倒れたということは、例え死んでいなくともすぐゴブリンに蹂躙されることは目に見えていた。


 顔を青くする鷲塚に彰弘は子供を守れと再度促す。

「鷲塚教頭、このままだと冗談じゃなく全滅するぞ。外は俺らで何とかする。いいな、校舎にいる子供達を優先しろ」

 その言葉を最後に彰弘は校庭へと踏み出した。

 彰弘の耳に了承と謝罪の言葉が届く。そしてすぐ扉が閉まる音がし、続いて鍵をかける音も聞こえた。


 すでに校庭の中ほどまでゴブリンの集団は迫っていた。


 桜井の言葉は嘘ではなかったかと彰弘は顔をしかめた。そしてどうすべきか思考を回転させた。

 百という数は脅威だ。加えて離れたところから攻撃してくる個体もいる。では、どうする? 

 数は逃げて来た連中を利用するしかない。融合から二日目にあの数の集団で逃げて来たのだ。つまり一度避難所に入っていながら再度外に出てきたとしか考えられない。ならこの避難所を危険に晒した責を少しでもあがなってもらう。

 火球を放つ奴は一気に接近して殺すしかない。今の自分ならそれができる可能性がある。

 正直どちらも賭に近いが、この避難所にいた人達の被害を可能な限り減らす方法は他になかった。


 彰弘はその場で息を吸い込み、そして叫んだ。

「貴様ら子供を殺す気か! 逃げてんじゃねぇ、戦え!」

 校庭中に響き渡るその声は敵味方関係なく動きを止めさせた。

 山田達は武器を構えたまま驚いたように彰弘に目を向ける。逃げて来た人達も思わずその場で足を止め、さらにすでに逃げていた人達に攻撃を加えていたゴブリンさえもその手を止めていた。

 全ての動きが止まっていた時間は僅かであったが、彰弘が驚く山田達に接近するには十分の時間であった。

「いろいろ言いたいことはあるが、それは後だ」

 山田とその隣にいた宮川の間に入った彰弘はそう切り出した。

「言うまでもないが圧倒的にこちらが不利だ。だからゴブリンへと逃げて来た連中をけしかける必要がある。俺の言葉の後だ。多少耳に良い言葉をかければ従う確率が高い。騙すようだが割り切るしかない。でなきゃ全滅する。それと連中を無理に助けようとするなよ。まずは自分達の近くの敵からだ。後、昇降口は閉じて鍵もかかっている。そう簡単に破られはしない」

 彰弘は早口で戦闘指針を示す。その声は避難所から出てきた人達だけに聞こえる声量だった。

「榊さんはどうするのです?」

 山田が彰弘に倣うように自分達だけに聞こえる声でそう問う。

「山田先生がけしかける声を出すまでは、ゴブリンの注意を引きつける。今の俺なら普通の奴相手なら十分それができるはずだ。その後はさっき火球を放った奴らとその周りを潰す。いいな、できる限り囲まれないように、囲まれそうだったらお互い背中合わせで死角をなくせ」

 動き出したゴブリンを見据えた彰弘は「俺のことは気にするなよ」とそう言い、その場からゴブリンの集団へと飛び込んだ。









 彰弘はゴブリン達の合間を縫うように駆け、時折剣を振っていた。山田に言った通りわざと集団の中でゴブリンの気を引くように動いている。

 どれだけゴブリンが最初の標的に固執する性質だったとしても、そんな彰弘を何もせず見逃すはずはなかった。ゴブリンはその手に持つ棍棒で殴りかかろうとしたり彰弘の進路を塞ごうと動いていた。

 しかしゴブリンのその行動は何の意味もなさない。彰弘の動きは普通のゴブリンを軽く凌駕しているのだ。ゴブリンが動いたときには、彰弘の姿は別の位置に移動していた。


 思わず彰弘の動きを呆然と見ていた山田だがハッとして我に返った。いくら彰弘本人が大丈夫と言っても、無限に動けるわけではない。事は急ぐ必要があった。

「皆さん協力してください! 今、避難所にいるのはほとんどが児童です。このままでは児童も含めて全滅するのは時間の問題です! ですからお願いです。児童達を守るために協力してください!」

 その言葉が合図だったように山田達とゴブリンの戦いが始まった。

 最初に行動したのは警察官の脇谷だった。僅かに腰を落とした半身の構えから、急造の槍を鋭く突き出し、そして素早く引き戻した。目の前に来ていたゴブリンはその切っ先を胸に受け倒れる。

 続いて山田が一歩踏み出し槍を横に一閃した。運のないゴブリンはその一撃で首を斬り裂かれその場に崩れ落ちる。

 山田が槍を振り身体が開いたところを狙ったゴブリンは宮川の突きを受けて負傷し後ろ向きに倒れた。

 三人の動きを期に避難所から出てきた男達は手に持つ槍で攻撃を始めた。突き、払い、殴りつける。一撃で殺すことはできないまでも少しずつ傷を与えゴブリンの数を減らしていった。


 逃げて来た人達は山田の言葉とその行動に今までと動きを変えた。一部は昇降口へと走り逃げるが、ほとんどの人は山田達から少し離れたところで一塊になり、ゴブリンに向けて対峙する形をとった。男が前面に立ち迫り来るゴブリンに蹴りや拳で応戦する。その必死な応戦はゴブリンの勢いを少しだけ弱める効果があった。


 山田はゴブリンに突き刺した槍頭を引き抜きながら、逃げて来た人達が戦い始めたのを見て取った。

「こちらが終わったら、すぐ援護に向かいます! それまで何としても耐えてください!」

 そう言うと再度槍をゴブリンへと突き入れた。


 ゴブリンの総数はおよそ百体。ゴブリンの集団の少し離れた後方に七体、彰弘を追っているのが数体。そして山田達と戦闘しているのが二十体ほどで、残りが逃げて来た人達に向かっていた。


 山田は彰弘のことを心配しないと決めた。心配したところで今すぐ助けにいける状況でないのは分かっている。だから今は目の前の敵をできる限り早く倒し、逃げて来た人達の援護に向かうのが最善だった。

 く心を強引に捻じ伏せ、山田は目の前のゴブリンへと槍を突き出した。









 山田の声を聞いた彰弘はおとりとなるのをやめ、自らの目標へと進路を取った。


 彰弘が目指す先には七体のゴブリンがいた。普通のゴブリン二体を前衛に、その少し後ろに弓を持つゴブリンが同じく二体。さらに後ろには黒い刀身の長剣を持つ二メートル近い背に発達した筋肉が見て取れるゴブリン。そしてその両脇を固めるように杖を持つゴブリンが立っていた。


 集団を抜け出した彰弘は数メートル進んだところで自分の後ろを一瞥する。そこには数体のゴブリンが追ってくる姿が見えた。

 彰弘は「そう上手くはいかないか」と心中で愚痴り、まず追ってきたゴブリンを始末することに決めた。初めて見るタイプのゴブリンもいる状況で、数体とはいえ囲まれる可能性が高くなるのは避けたかったのだ。

 倒すと決めた彰弘は標的としていた七体のゴブリン、その手前数メートルで急反転し状況を確認した。山田達や逃げてきた人達と相対しているゴブリンはこちらの動きを気にする様子はない。追ってきたゴブリンは全部で五体。前に三体、その後方に二体。前後の間隔は狭い。

 彰弘は状況を確認し終わると一気に追ってきた五体のゴブリンの背後へ回り込んだ。そして慌てて振り向くゴブリンへと、左右の手に持つ武器で攻撃を仕掛けた。その攻撃は武器の間合いに入っていたゴブリン二体の首を斬り裂き、その身体を地へと崩れ落ちさせる。

 残り三体のゴブリンはその光景に一瞬動きを止めた。彰弘はそんなゴブリンへと間を置かずに攻撃を繰り出す。前に一歩踏み出しながら小剣で突きを放ち、そしてそれを引き戻しながらマチェットを横に一閃する。まるで決められていたように突きは心臓を貫き、一閃は首筋を断った。


 彰弘を追いかけてきていたゴブリンが残り一体になったところで、それまで動きを見せていなかった長剣を持つゴブリンが声を上げた。

 その声が合図だったのだろう、同じく動きを見せていなかった残り六体のゴブリンが動き出した。前衛の二体は彰弘に向かって走り出し、その後ろにいたゴブリンが弓を構える。そして残りの二体は杖を振り上げ何やら呟き始めた。


 ゴブリンの動きを目にした彰弘は舌打ちをする。

 接近戦をしている時に離れたところからの攻撃はどう見ても厄介だった。とは言え迫ってくるゴブリンの相手をしないわけにはいかない。自分より大きいゴブリンがその場を動いていない以上、先に弓と杖のゴブリンを攻撃するのは下策に思えた。

 救いであったのは、残った一体と、棍棒を振り上げ迫って来ている二体は動きを見る限り普通のゴブリンらしいことだった。


 まずは近い奴らから潰す。そう決めた彰弘は一番手前のゴブリンに斬りかかった。

 弓と杖のゴブリンを視界から外さないようにしたため、首筋を狙った右斜め上からの斬撃は僅かに狙いが逸れるもマチェットの切っ先がゴブリンの頚動脈を捉え、そこから大量の血を噴出させる。それを横目で見ながら迫ってくる内の一体に、手首を返したマチェットで牽制の逆袈裟を放つ。その斬撃は外れるが一時そのゴブリンの動きを止めることに成功する。しかしもう一体は動きを止めることなく、彰弘へと棍棒を振り下ろそうとしていた。

 彰弘は振り下ろされる棍棒を回避できないと判断し、左手に持つ小剣で受け止める。すると驚くことに振り下ろされた棍棒は小剣の刃が当たったところから切断された。

 想定していなかった事態に彰弘の行動が一瞬止まる。しかしそれは棍棒を振り下ろしたゴブリンも、それを見ていた他のゴブリンも同じだった。

 真っ先に我に返ったのは彰弘だった。彰弘は未だ半分の長さになった棍棒を見つめているゴブリンの心臓をその原因となった小剣で突き刺した。

 彰弘のその動きで他のゴブリンも我に返り動き出した。長剣ゴブリンが叫び声を上げ、杖ゴブリンが再び呟き始める。彰弘に一番近いゴブリンは彰弘に襲い掛かろうと棍棒を振り上げ、弓ゴブリンは彰弘へと矢を放った。

 突き刺した小剣を引き抜いた彰弘は棍棒を振り上げたゴブリンに攻撃をせず、その場から素早く横に跳ぶ。二本の矢が迫ってきていたからだ。

 矢を躱した彰弘は、攻撃対象である彰弘を見失い棍棒を振り上げたままのゴブリンへ一閃を振るう。無防備だった棍棒のゴブリンはその斬撃をまともに受け地面に倒れ伏した。


 彰弘はほんの僅かだがゴブリンより先に我に返れた自分に感謝した。何故ならその時間があったから棍棒のゴブリン二体をこうも簡単に仕留めることができた。それに弓ゴブリンが矢を放つタイミングをずらすことができたようだ。長剣ゴブリンが弓ゴブリンに何事か怒っているのが見て取れる。


 マチェットと小剣を構え直し、残った五体のゴブリンを彰弘は睨みつけた。

 すると今度は二本の矢だけでなく二つの火球も一緒に襲い掛かってきた。しかしその全てが同じタイミングで同じ場所へと仕掛けられた。つまり彰弘が立つその位置一点にだ。彰弘は難なくその攻撃を躱すことに成功する。

 攻撃を躱されたゴブリン四体は悔しがり、そんなゴブリンへと長剣ゴブリンが怒声を浴びせる。慌てたように弓と火球を放ったゴブリンは怒声の方を向き頭を下げた。

 彰弘にとっては攻撃する絶好の機会だった。

 馬鹿で助かると心の中で思い、背中を向けた弓ゴブリンに一気に肉薄する。長剣ゴブリンが何やら喚くがその時にはもう彰弘は両の手の武器を振るった後だった。

 彰弘は弓を持った二体のゴブリンが倒れるのを横目で見ながら、右斜め前で慌てて火球を放つ準備をする杖ゴブリンへと素早く接近する。そして右手のマチェットを一閃しその首筋を斬り裂いた。

 しかし彰弘のその攻撃は長剣ゴブリンへと背中を向けてしまうという隙を作った。当然、長剣ゴブリンがその隙を逃すはずもない。彰弘の背中に黒い刀身が襲いかかった。

 だが彰弘も予想はしていた。だからマチェットを振るった後、すぐさま前転しその場を離れた。

 彰弘の行動は正解だった。長剣ゴブリンの一撃は地面へと半ば喰い込んでいた。いくら土でできた校庭とはいえ、刀身が半ばまで喰い込むなど普通ではない。もし当たっていたら致命傷となることは明白だった。

 素早く立ち上がった彰弘は長剣ゴブリンの膂力りょりょくに背筋を嫌な汗が流れるのを感じた。


 地面から刀身を引き抜いた長剣ゴブリンは叫びながら彰弘へと襲いかかってきた。

 彰弘は襲いくるその威圧感に肝を冷やしながらも、その攻撃を誘うように待ち構えた。そして、長剣ゴブリンが剣を振り下ろした瞬間に横へ跳びそれを回避し、そのままの長剣ゴブリンの横を通り過ぎた。


 彰弘の狙いは離れたところから攻撃をしてくる杖ゴブリンだった。

 正直、彰弘は今の自分が長剣ゴブリンより強いとは思えなかった。そんな中でさらに不利となる要素を残しておくわけにはいかなかった。だからまず杖のゴブリンを潰す。そして一対一で長剣ゴブリンと対峙する。それが彰弘にとって長剣ゴブリンを倒しうる最低条件だった。


 彰弘が自分に来ることを予想していなかったのか、杖ゴブリンはいつの間にか創り上げた火球を杖の頂点に浮かべたまま動きを止めていた。

 それを見た彰弘は、そのままでいろよと思いつつ足を動かす。

 しかしそう甘くはなかった。長剣ゴブリンの声で杖ゴブリンが杖を振り下ろした。

 剣の間合いまで後一歩というところで杖が振り下ろされ、それに伴い火球が彰弘に迫る。既に避けることができる距離ではなかった。だから彰弘は眼前に迫る火球に対して顔の前で両腕を交差させ弾き飛ばす選択をした。


 一瞬、ほんの少し前にこの避難所に逃げて来た人達が倒れるて動かなくなった光景が頭に浮かんだ彰弘だが、意を決して火球が当たる部分に意識を集中させた。そして着弾に合わせてその腕を振り切った。

 火球は彰弘の腕に当たると派手に火の欠片を撒き散らし、一瞬だけその場にいるものの目を暗ませた。


 長剣ゴブリンは杖ゴブリンが攻撃を直撃させたことで、顔に余裕の表情を浮かべ動きを止めていた。何しろ昨日から襲う人間全てが火球の一撃を受けて倒れ伏してきていたからだ。それ故の表情であり行動であった。

二〇一四年一〇月一二日も一話投稿します(時間は未定)

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