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冷泉院1


〇タイトル「老いたる源氏」


〇タイトルバック

 (冬枯れの林と畑と野辺の嵯峨野。

 小さな藁ぶき屋根の庵が見える)


ナレーション「今は昔平安のころ、年老いた源氏は従者惟光とともに

この地に移り住みます。老いたる源氏は毎日法華経を唱え

方便品も寿量品もそらんじています。

目はもうほとんど見えません」


〇庵の正面、雲隠庵とある

 (惟光が薪を割っている)


ナレーション「耳を澄ますと

聞こえてきます。年は老いても声は昔とちっとも変りません、

つやのある若々しい声です」


〇庵の中、土間

 (中央に源氏窓。板張り、床敷き数枚。上がり石、

 土間、格子窓、水瓶、流し、おくどさん。

 藁葺引き戸入口)


〇庵の仏間、

(釈迦像の前にて作務衣姿の老いたる源氏が端座して読経している)


源氏「妙法蓮華経方便品第二 爾時世尊 従三昧 安詳而起

告舎利弗 諸佛智慧 甚深無量 其智慧門 難解難入

一切声聞 僻支佛 所不能知 所以者何 佛曾親近

百千萬億 無数諸佛 儘行諸佛 無量道法 勇猛精進

名稍普門 成就甚深 未曽有法 隋宜諸説 意趣難解

舎利弗 吾従成仏己來 ・・・・・・」


〇源氏の顔


〇庵の正面

 惟光、すっと立ち上がり遠くを見つめる。


〇きらびやか牛車

 従者十数名の行列。


〇牛車の中

 冷泉院と秋好む中宮が乗っている。


〇庵の中

 (ト惟光が駆け込んできて、)

惟光「どなたかこちらにお見えのようです。あの牛車は

冷泉院と思われます」


〇仏間

 (ト源氏は読経をやめて声の方を振り向き、)

源氏「ふむ、息子か。今まではこうして気楽には会えなかったものな。

十日とあけずにやってくる」


 (惟光は冷泉院を迎えに行く)

〇居間、寝の間


 (まかないの老婆が源氏の手を取り仏壇前から居間の

 板の間を越えて寝の間にはいります。老婆は源氏を立たせた

 まま作務衣を直綴に着替えさせます)


源氏「そこもとは名を何と申す?いつもああとかおおとかでは呼びつらいよの」

お市「おいちともうします」

源氏「おいち?のちの世にどこかで聞いたような名じゃのう」


 (お市は手際よく作務衣を脱がせて練生絹ねりすずし直綴じきとつに着替えさせます)

源氏「朝の若竹はうまかった、あれは?」

お市「朝掘りの筍で地中深くこの辺りでとれたもののようです」


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