表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
敵よりもミカタがやっかい!  作者: 気分屋
海の覇者への挑戦編
77/275

大海9

 セカンドステージに移行するための受付で説明が続く。

「それではセカンドステージの内容を説明させていただきます。船酔いテストということでセカンドステージで求められるのは海の漢かどうか……、すなわち、船適性です。」

 船適性ってなんだそのダサい造語……。


「あの……」

 チェットが受付の人の言葉を遮る。あのチェットがツッコむのか?

「俺の場合、すでに漢なんですが……、参加してもいいんですか?」

 ……それは心配ないんじゃない?

「……たぶん、それはな……。参加していただいて大丈夫ですよ」

「よかった。俺、これだけが楽しみだったんだよね」

 良かったな!頭の中が……。


「あの……」

 今度はクレサが申し訳なさそうに口を挟む。

「すみません、私、女なので海の男にはなれませんが……、参加してもよろしいですか?」

 クレサ、そう言う意味じゃないから大丈夫だよ……。変なところで几帳面なんだよな……。

「海の漢とは言ってもここでいうところの漢とは勇猛さや豪快さ、そして、勇猛さを意味することで性別の男や女ということではないです」

 言いたいことはわかるけど勇猛さと船酔いするかは関係なくね?あと勇猛さ、2回言ったぞ。

「ですのでここでいう漢とは年齢も性別も関係なく人としての目指すべき尊敬できる心意気や美学を持つ者に与えられる称号みたいなものと言ったところでしょうか」

 勇猛さは?意味変わって来てんじゃん……。さっきの何だ?

「つまり、お嬢さんは参加できます」

 ……いや、今までのなんだ?それだけでよかったわ。


「あの……」

 今度は青龍が口を挟む。

「オラさ、性別上は男だけんども生物上はオスになるべ。そんなオラも参加してもいいべか?」

 青龍、お前は黙ってろ。クレサと大して変わらんだろ!

「海の漢とは言ってもここでいうところの漢とは勇猛さや豪胆さ、そして、勇猛さを意味することで性別の男女ということではないです」

 あんたも!それさっき聞いた!勇猛さ4回目だぞ!

「ですが船内へのペットの持ち込みは船上の洗浄の迷惑になりますのでご遠慮ください。」

 あっ、ダメなのね。言い回しはともかくそれだけ言えよ!


 と言った直後受付の人が今まで真顔だったのが急に狼狽し始める。

「あっ、今のはわざとではなく偶然ダジャレになってしまいましたが笑わそうとかそう言う意図はありません!我々スタッフ一同はスムーズな進行をモットーに端的でわかりやすい説明を常々心がけております。偶然そうなっただけで他意がないことだけはどうかご理解いただきたいです。皆様のご協力のもと本大会が成り立っていますことは我々も重々承知ですが、何卒よろしくお願いします」

 誰に対する何の言い訳だよ!すでに端的でわかりやすくはないしな!

 ……というか船って洗浄するもんなの?特に船上なら清掃じゃね?絶対わざとだろ……。


 受付の人は謎の言い訳を終えると真顔に戻り説明を続ける。

「さて、これからあなた方には船に乗っていただきます。最後まで下船して海に飛び込まなければ、次のステージに進出できます。万が一リタイアされたい方がおられましたら海に飛び込み、迎えの船が来るまで海に浸かってお待ちください」

 海に飛び込むのは船酔いの対処法として正しいの!?というか船酔いしたのに船で帰るのかよ!

「ルールに関して何か解せんという点はございますか?あっ、今のは船を降りる方の下船とかけたというわけではなくてですね。我々スタッフ一同はスムーズな進行をモットーに端的でわかりやすい説明を常々心がけております。偶然そうなっただけで他意がないことだけはどうかご理解いただきたいです。皆様のご協力のもと本大会が成り立っていますことは我々も重々承知ですが、何卒よろしくお願いします」

 それで端的でわかりやすい説明を心掛けているという点が一番解せんわ!わざと以外考えられないだろ!


「説明は以上です。それではご健闘をお祈りします」

 ……え~と、俺たちは何の説明を受けていたんだったか。ああ、そうだ。端的にいうとセカンドステージは最後まで船に乗っていろってことだよね……。

 端的に言えよ!


 細かいルールもなく、説明もシンプルということで、言葉をそのまま受け取れば酔わなければ楽しい遊覧船の旅ということになりそうだ。だけど普通に考えれば船に酔ったからといって船から飛び降りる奴ははいないだろう。リタイアするとしたらというのは船を降りるのではなく船から落ちる、いや、落とされる時だろう。つまり、これはさしずめ船を土俵に見立てた複数人の相撲……、要するにバトルロイヤルということだな。

 極端な話、突き落せるのは甲板の際にいる奴くらいだし、そう考えれば近づかないだろう。だから海に落とす前に命を絶つ、気絶させるなどの方法をとることが考えられる。これはクレサから目を離さないようにしなくては……。


 ……いや待て。

 本当にバトルロイヤルになるか……。

 なんか船楽しいで終わりそうな気が……。少なくともうちの連中を見る限りでは……。今もおやつ買うの忘れたとかのんきなこと言っているし……。

 いや、でもそしたらセカンドステージで落ちる奴いなくなるだろうから、試験としてやる意味なくなるよな……。


 全然わからない……。運営の意図がわからない。

 クレサを守るためだけに受付に言われるがまま、セカンドステージの戦場となる船に乗り込む。

 いや、この戦場は船上とかけたわけじゃ……、疲れが出てるのかな……、俺……。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ