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敵よりもミカタがやっかい!  作者: 気分屋
魔の森と妖精編
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魔の森8

 実際に俺も魔法を使えれば考察しやすいのだが……、現状これはどうしようもない。なんか考察も遠ざかってる気がするし……。場所の特定方法と状態の確認だが、勇者としての特別な何かがあるはず……。あいつにある特別なものってなんだ?知性もなければ品性もない上に力もないくせに一度開いた口は塞がらない。

 そんなあいつにあるものと言ったらまあ必然的にあれだ……、勇者の証だ。というかそれがなければチェットはその辺にいる人と大して変わらない。その辺に人いないけど……。

 勇者の証の所有者を決めるクイズコンテストの司会者がトイレから出た後ぬれた手を拭くために使っていたあれ……。あれがGPSみたいに現在位置を知らせる機能や死亡の確認などを行っていると考えるしかない。

 確か奴の背中についているはずだが……、勇者の証を手に入れてから鎧を身にまとっているチェットの背中をみたことはない。光ってたり色が変わってたりすれば何らかの機能があるのはわかるのに……。

 でも、背中の確認は寒いふりしていれば勝手にパンツまで脱いでくれるから確かめることはそんなに難しいことじゃない。今は食事前だからチェットの体を見るのはあとにしよう。せっかくあくせく頑張って作っている料理に必要のない調味料をかけるのはシェフに失礼だしな。目玉焼きにソースをかけるようなものだ。やはり目玉焼きには……、何もかけないのがいい。


 クレサは俺自身の知識が乏しいから何と言っていいのかわからんが山菜というよりもレタスやほうれん草のような木からではなく地面に生えている草を集め出した。雰囲気的にサラダのようなものをつくるのだろうか?取れたて野菜を生で食べるのも健康的で素敵な感じでいいけど……、このあたりに水場とかないけど大丈夫?

 生野菜を食べることに抵抗はないけど、絶対土が付いてるじゃん……、地面から直接生えている草を洗わずに食べるのは別だよ。

「今から私が魔法で氷を出すので皆さん離れててください。まだ私には加減が難しいので近くにいると危ないですわ」

 ああ、そういうことね。魔法で水を……。

 いや、ここで魔法は使えないんだって!

「氷魔法?なんでまた?」

「氷魔法で氷を出して溶かすことでこの野菜を洗うことができるんですわ。だけどそれだけじゃないんですの。出した氷を鋭利に削ることで包丁の代わりになるんですの。こんな山の中でも素敵な料理がちゃんとできますわ」

「すごい素敵だね」

「じゃあ、行きますわよ。ザアイス!」

「……あっ!」

「……あっ!」

 ……アホか!

 まったくもう……なんで驚いてんの?

 ついさっきも同じくだりがあったじゃん!


 というかそこでやっちまった的な顔してるけど、洞窟に戻れば魔法使えるんじゃね?

 そこに扉があるわけだし……。どうやら料理の完成はまだ遠いようだ。

 概念を考察するための時間があるのはありがたいけど、俺も腹減ってるんだぜ!


 もういい。次に考えるべきはチェットが死んだときに俺達まで転送されることだな。確認したことはないがチェットが死んだときに転送されるときに俺たちも一緒に飛ばされるのはもしかして俺たちの背中にも何かついているんじゃないのか?

 頑張ってみたがそこまで首が回らない……。自分の背中に何かついているか確認することはできなかった。

 まあ、俺にあるか見なくてもクレサを脱がせれば確認できるんじゃないか?

 いや、世界の常識が捻じ曲がっているとはいえ、俺の中にある常識を失ってはいけない。最初に合意を得ないと……。

 じゃなくて、倫理観の問題だよな、こんな山奥で服を脱がせるなんて……。

 

 そうだ、今度一緒にお風呂に入ろう!


 じゃなくて!俺の意思とは関係なくこうラッキーな展開……。

 いや、待てよ……。

 どう考えてもあの祠に意思はないよな……。そもそも勇者の祠が転送しているのではなく勇者の祠を転送先として別の誰かが転送と蘇生を行っているという可能性もある。むしろ、勇者の祠がああなっても機能している以上そっちの方が妥当だと思われる。


 魔法なんて結局俺をおちょくるためだけの世界の悪戯に過ぎなかったんだ。やれ物理法則だ何だと考える俺をおちょくりたかっただけだ……。

 もうこの人生そのものが遊びみたいなもんじゃねぇーか!

 あーあー、そういうことなら俺も魔法に使われるんじゃなくて使ってみたかったわ。


 いや待てよ。魔法が空間の接続とは言ったが何も接続しているのはこの世界のこととは限らないんじゃ……。

 そう言えばこの世界と違う次元の存在があるには明白。俺の元いた世界だけじゃない。妖精の存在だ!

 妖精がそこにいるのに見えないし触れない。まあ、クレサ以外はだが……。

 妖精が言っていたというクレサの話ではそもそも妖精と俺たちは別次元に存在していて『幼力』なるわけのわからん力が高い人間にはつながりが見えるということらしい。

 それは特殊な例だとして、もしかしたら妖精がいる世界はどこもかしこも火の海だったり氷にに覆われた世界だったりするのかもしれない。

 まあ、それはないにしても魔法で呼び出しているものが妖精がいる次元とはさらにまた別次元に存在する物だとしても何らおかしくはないはず……。


 ということはつまりこの世界で魔法として生成される物は現在別次元に存在していて、この世界でいわゆる魔法と呼ばれるものはその次元とこの次元を繋げ召喚することだとしたら……。そして、その次元の中に俺が元いた世界が存在しているならば……。

 仮定に仮定を重ね、憶測に憶測を加えることでようやく導き出される結論にどれだけの信頼性があるのかと言われれば何も言い返せないが、もし魔法を何らかの方法で会得することができれば……、俺はもしかして……どこにいるかもわからない妖精王を探さなくても元の世界に戻れるんじゃないか!


 結局、勝手にファノラにこの世界に連れてこられたころと俺の目的は変わってないけど、あの日、チェットに示された俺自身のやりたいことってのが見えてきたんじゃないか?

 ようやく俺の人生が面白くなってきた!

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