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敵よりもミカタがやっかい!  作者: 気分屋
勇者の墓場編
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四神7

 最初の扉をくぐると今回は玄武が待っていた。

 俺が一人で来たときは最初朱雀だったけど順番はくじ引きとか言ってたもんな……。

 一つ目の扉の先の敵が違っていると本当にリセットされたんだなって思うよ。

 さらに俺一人なら一瞬で終わるのに、今回の俺は回復役だもんな……。


「よく来たな――。」

 玄武は相変わらず何かをしゃべっている。

 白虎以外は有益な情報をもたらさないからまったく聞く気はないけど……。

 本当ならすぐ戦闘開始でいいのになぜかチェットとクレサはたまに頷きながら聞いてる始末……。

 時間ないんじゃなかったのか?

 さっきまでものすごく焦ってただろ?

 ……もう、どうでもいいけど。


 さて、俺について考えなくてはな……。

 回復役に徹するとはいえ回復魔法も使えなければ使えば元気が出るようなアイテムも持ってない、そして、人の心を癒す素敵な歌声ももちろんない。

 初めから気づいてはいたけど……、俺は何すればいいんだ?


 考えろ。何かあるはずだ……。

 ……俺も必死になるベクトル間違えてる気がするがそのことは今は考えるな。


 回復担当として考えなくてはならないのはまずHPの概念がいまいち分かってないことだな。普通ならどんな屈強な奴でも心臓を一突きすれば死ぬし、腕が吹っ飛ぶような大ダメージを受けても生きてる人はいるからな。攻撃の威力も大事だが、一番大事なのは打ち所だと思うんだよね。

 そうなるとHPってなんだ?

 何を表す数字だ?


 ……いや待て、これは俺の価値観、俺の常識だ。

 必ずしもここで通用するとは限らない。

 そうだ、さっきチェットを葬った時だって俺が蹴ったのは脇腹の部分だ。

 そこに生存に重要な、必要不可欠な臓器はないと思うんだよね。

 詳しくは知らないけどそういう大事な臓器はきっとあばらの下だろう。

 そうなるとチェットはなにか生きるのに必要な何かが壊れたから死んだのではなく、ダメージが許容量を超えたから……、つまりHPが0を下回ったからだと考えられる。

 となるとHPという概念があるこの世界では打ち所よりもダメージの絶対量で生死を分けるということになると考えられる。

 きっとどんな攻撃を受けても頭がちょん切れたり、内臓が飛び出たりしない。

 ただ、許容量を越えたら死ぬ。

 要するに漫画とかアニメとかゲームとかそういう感じなんだな……。

 妖精とか魔王とか魔法とか何でもありだからなここは……。

 頭を切り替えていかないと……。


 そう言えば俺が王宮で入れられてた牢屋の前の人、大海賊バンジャローは舌を噛み切って死んだとか言ってたけど……、きっと頑張ったんだね。


 今どうでもいいか。さてと、本題に戻って回復方法の話だな……。

 MPの回復ならできるんだけどな、サボッチャたちからもらったあの指輪で……、ああ、あれはクレサに渡したままだった。

 一度でも回復しているところを見てればイメージもつきやすいんだけど、HPにせよ、MPにせよ、今まで回復魔法が必要な強敵に出会ったことないからな……。

 瞬殺しちゃうから敵が使ってるところも見たことないし……。

 指輪渡したときクレサが使ってくれたらまだ何とかイメージがついたんだが、何をとち狂ったか大事そうに抱え込みおってからに……。

 愚痴っても仕方ない、何とか模索しなければ……。


 ぱっと思いつく回復方法として

①回復魔法

②薬草などの回復アイテム

③安らぎの歌みたいな技

 ……どれも使えない。

 本当に何を見てチェットは俺に回復魔法が得意って言ったんだ?


 どう考えても俺が回復担当とか無理じゃね?

 いや待て、ダメージという言葉だからイメージがつかないのであって疲労という言葉に替えると何か見えてきそうだ。局部破壊による生存機能の停止がないのならこの世界で戦って死ぬ奴は全員過労死と仮定できる。


 疲労をとるためにすることって考えれば何か見えてくるかもしれない。

 何がある?

①寝る

 これは!一発目で革新的なアイデアが!

 って無理だ。俺にどうこうできるものではない……。

 これやってくれれば、誰も見てないすきにこの試練を終わらせてやんのに……。

②栄養のあるものをとる

 ……そう言えばここ食べ物なくね!あまり長居したら餓死すんじゃね?それ以前の問題じゃないか!

 とっとと終わらさないと!

③お風呂

 準備はクレサが氷魔法を使ってチェットが炎魔法でお湯にして……って俺何もしてないじゃんか!

 ただ回復とか関係なしに風呂に浸かりたいな……、やってくんないかな……。

 まあ、無理だな。あいつらが俺の望みを叶えてくれるところをまったく想像できない。


 手詰まりか……。

 いや待て、風呂じゃない、温泉とか銭湯とかならあるよなマッサージするところ……。

 そうだマッサージだ!

 肩もみとかその程度なら俺にもできるぞ。

 それで本当にHPが回復するかは知らんが可能性はある!


 それにさっきの考えが正しければ、例えば足に攻撃をくらった人の肩を揉んでも、その人のHPは回復する。

 つまり、回復は攻撃を受けた場所にじゃなくてもいいということだ!

 ……わけわからんのは今に始まったことじゃないとは言っても、これはひどい。

 しかし、回復役としてはいい情報だ。


 問題は力加減だが……、これは多分気持ちの問題だと思う。

 敵意をもった攻撃は死に至る可能性があるが、敵意のない攻撃はただ痛いだけで死ぬことはない。

 王宮でデブどもを持ち上げたときにあの二人が俺からダメージを負わなかったのは俺に傷つける意思がなかったから、チェットが吹っ飛んだのは俺に殺意はないにせよ悪意があったからだと考えられる。

 だから肩もみもコリをほぐすことだけを念頭に置いてやれば、間違ってもHPが削られるということはないはずだ。


 準備は整った!

 いつでも来い!


 臨戦態勢に入りゆっくりと玄武の動きに五感を傾ける。

「それでな!その時あいつなんて言ったと思う?」

「正解を狙いにいって悪いけど、『それを言うならそれを先に言え!』とかかな」

「違いますわ、チェットさん。きっと『この雑草がァ!』ですわ!」

「ブーッ。二人ともはずれ。正解は……『それはまるで出口のない迷路に迷い込んでしまった哀れな子羊みたいだ』でしたー」

 ……え~と、何の話?まったく想像つかないんだけど……。

 というかなんでそんなに盛り上がってんの?

 何で二人ともそんなに笑顔なの?

 この後そいつと戦うんだけど大丈夫?


 それから20分……。

「我、守を司りし水を操る神、玄武なり!いざ、参る。覚悟しろよ、雑魚ども!」

 ……それ毎回言うんだ。というか前ふり長いよ!

 俺だけの時はここまで長くはなかったのに。

 ……ああ、急いでいるってのに完全に自滅だな。


 玄武の口上を聞くと二人の顔が一変、キリっとした顔つきになる。

 その切り替えの早さが羨ましいよ……。

「お前が何者であろうとも俺たちの前に立ちふさがるなら神だろうと亀だろうと蹴散らしてやる。お前こそ覚悟しろ!」

「誰が雑魚だ!調子のってんじゃねぇぞ!」

 そう言って突撃していく二人……。クレサにいたっては感情が真逆になってるし……。


 ……ってちょっと待て!

 クレサは突っ込んでいかなくていいだろ!

 魔法攻撃担当じゃないのかよ!そんなに間合い詰めなくていいだろ!


「俺の体は4神の中で最も固い!その俺に接近戦で挑んで万に一つでも勝てると思ったか!」

 つっこんでくる二人を見て玄武は重心を低くして突撃体勢をとる。

 まあ、俺はそんなお前を瞬殺してやったけどな!

 それは置いておいて問題は俺の唯一の回復魔法、肩もみは二人同時に使えない。

 このままだと近すぎて玄武の一回の攻撃で二人ともダメージを負ってしまう……。

 なんとかしないと……。


 とは言っても声で指示とかできないし……。

 ってやばい!

 タイミング的に二人共を攻撃からかわすことは不可能な状況になってしまったので、玄武の体当たりを受ける直前に超ダッシュでクレサに追いつき、とりあえずクレサを抱えて攻撃を躱した。

 チェットは男だし大人だし鎧とか装備してるから、反射的に弱そうなクレサを……。

 別に女の子を抱きたかったわけじゃないんだからね。

 って自分に言い訳してる場合じゃない。

 玄武の攻撃を受け吹っ飛ぶチェット。

 そのまま地面にたたきつけられる。


 ここまでは必要悪。

 さてとここからが俺の仕事だな。

 クレサを玄武からなるべく遠いところに下ろして急いでチェットのところに向か……ん?

 起き上がれないチェットの周りに最近見たあの光が……ってあれ?。

 ……まさかね。

 近づいている途中でその光が一瞬眩く輝き視界が奪われる。


 視界が戻ってくるとそこはコントをやったり、じゃれあったりしたとても見覚えのある景色が広がっていた……。


 ……マジかよ、お前……、イチコロかよ……。


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