表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
敵よりもミカタがやっかい!  作者: 気分屋
勇者の試練編
25/275

試練8

 メイクの手がマイクをさらに強く握りしめる。

「それでは発表です。正解はどちらですか?」

「正解は〇です。つかんだのは僕の右手でした」

 今まで俺の答えはカンニングありきだけど、要するに正解すれば何でもいい。


「はい、ということで今回の正解は〇だァァァァ。」

 やっぱりガッツポーズ付きで喜ぶブラウザ……。

 お前の確率論一つも当たってないんだけど……。

 この人一体なんなの?びっくりするぐらい役に立ってないんですけど!まあいい。役に立たないということだけ頭に入れておけばそれでいい。

 これで残りは20人ぐらいか。これで最後までやるのかはわからないが、とりあえずこの形式であるうちは何とかなりそうな気がする。

 だって知能とか全く関係ないし!周りの人は黙ってられないし!問題とは関係ないところで判断材料が多いし!


「いやー、手に汗握る戦いが続きますね~!」

 手に汗握る?まあ、そういえなくもないがもう少し手に汗握っているがゆえのストレスを楽しみたいわ!余計なところに気が散ってしょうがない!


「さて次に行きましょう!それでは第4問!……おっと、これもゲストからの問題です。どうぞ!」

 メイクがそう言うと壇上に男が上がってくる。

 さっきのパターンか……。

 今回はだいぶ若い。元いた世界でいうところの入学したての中学生か、小学校高学年くらいだろうか?その表情はどこか女の子のような、いや、幼さゆえのかわいらしさもなくはない。これといって印象に残る顔でもないし、特徴的な体型をしているわけでもない。


 だがここで一番大事なのは油断してはならないということだ。これが唯一にして絶対の真理。

 さっきの出題者はいきなりコインを投げた。それを考えると彼もきっと何か突拍子もないことをするに違いない。つまり、一挙手一投足見逃すわけにはいかない。何が起こっても冷静でいられるように彼の行動に解釈を入れない。起こっていることをそのままとらえるんだ。

 壇上に上るために上った階段は右足から登る。額に溜まった汗の粒を払ったのは右腕。

 服装は半そで短パンで体に適したサイズだ。コインくらいならわからないがポケットにも服の中にも何かを隠している用には見えない。警戒は解かないけども……。

 顔はかなり強張っている。目もさっきからキョロキョロしていて落ち着きがない。握りしめているこぶしは少し震えている。この雰囲気を演技には見えないがなにか一発芸を仕込んでいるとは思えない。さっきのような一発勝負の何かをするとは到底考えられない。

 ここまで特に目立った動きはないし目立った特徴もない。


 ここまで見た感じだとなんであいつ出てきたのか全く分からん。意味あるのか?


「さて、第4問です!この男の顔は父親か母親かで言ったら父親似である!○か×かァァアアアア!」

 ○か×かァァアアアア!じゃねーよ!わかるか!

 なんだその問題!誰が考えたんだよ!誰が知能テストって言ったんだ!


 ああ、もう!

 瞬きしないで目を見開き、些細な動きも逃さないように見ていたというのに……。目がかっさかさだよ!


 だいたいこれさ、最低でもあいつの父親か母親を知らなきゃわかんなくね?

 いや、というかこの問題の答えって完全に裁定者の主観の問題だろ!問題として成り立っているのか?


 ……そんなことを言っても始まらないか。

 まったく納得いってないけどどちらか答えを出さねばならない。


 と言っても考えても答えは出ないしな。

 とりあえず周りの話を聞いてみよう。

「あの顎は父親にじゃないか?」

「何言ってんだ!あの顎こそまさに母親譲りじゃないか!」

「お前適当なこと言うなよ。よく見ろ、あの顎は父親の遺伝だろ!」

「……そういや俺あいつの親見たことなかったな。」

「ごめん、実は俺も……」

「なんだかんだでこの問題も難問かつ良問だよな……。」


 なんで顎しか見てないんだよ!

 普通一番わかりやすいのは色だろ!髪とか瞳とかの!


 あと、今までためていたがここ問題に難問かつ良問なる受験生の模試みたいな問題は一つもないぞ!


 これはマジでわからん。

 仮に父親にも母親にも会ったことがあったとしても俺の出した答えが正解とは限らないのに、今日初めて会った人の見たこともない両親のどっちに似てるかなんてわかるわけがない。

 いや、よく考えろ!彼はまだ子供だ。普通に考えてこの会場に親がいて見守っているはずだ!ほかの脱落者たちはまずまだ生き残っている俺たちの動向を見ているはずだ。その中であの子を見ている人がいたらそれが親だ!時間は短いがやるしかない。


「皆さん、困っているようですね。では私からヒントです!」

 メイクが俺たちに動きがほとんどないのを見かねてそんなことを言い出した。2択問題でヒントってとも思ったが、数千人規模の中から該当する人物を見つけ出すのは難しく、すでに八方ふさがりに近い。この際、何でもいい!何か情報をくれ!

「えーっと、彼にはこの大会の出題者となったことで賞金が渡されています」

 あいつ、あそこに立っているだけだろ!その賞金はどこから出たんだ?

「その多額の賞金をもって父親は賭場へ、母親はブランド商品を買いに行かれています。なので探しても彼の両親はここにはいません」

 ……は?

「本当はここにいるはずだったんですけどね」

 いるはずだったんですけどねじゃねーよ!いろよ!

「私からのヒントは実際の目ではなく心の目で見比べた方が正解しやすいということです」

 見たことねー人を見比べんのは無理でしょ!心の目ってなんだ!


 メイクのヒントを受けて周りの連中がそわそわしだす。

「そうか!心の目か!」

「忘れてたけどその手があったな!」

 あるの、心の目?心の目に心当たりがないのは俺だけ?


 うーん、心の目ね……。俺の心の目はどっちにも似るなって言ってるけどな……。 


「フッフッフ、お悩みのようですな!バフモッティ殿!」

 ブラウザ、こいつなんでいつもドヤ顔できるんだ?

 こっちは困ってんのにほんと腹立つなー。


 ……いや、待て。

 こいつ、今まで2択問題だというのに一度も当ててなかった。つまり、今回もこいつが正解と思った方の反対を選べば当たるんじゃないか!?


 今まで役に立たないとか言ってごめんな!

 サボッチャほんとありがとう!ある意味でものすごく役に立った。

「ならば仕方ない。教えて差し上げよう。この問題の答えは50:50じゃな。どちらを選んでも同じじゃ」

 ……ごめん、やっぱり使えなかったわ。

 どちらを選んでも同じってことはないだろ!


「こんな問題、わしにとっては簡単じゃ!」

 フィフティフィフティという結論でいいならどんな○×問題も楽勝だよ!


「父親の遺伝子を使われるか母親の遺伝子が使われるかは1/2じゃ。つまりこの問題の答えも1/2じゃ」

 お前に言われるまでもなく、はじめから1/2なんだよ!

 何を得意げになってんだ!


 ……結局あてになんないのな。

 何かあるはずだ……。

 解決の糸口が……。

 今までもそうした細い糸を辿ってきたじゃないか!

 考えろ、俺!


「さーて、5分経ちました。」

 メイクの声が会場中に響き渡る。

 俺は今○サイドにいる。

 結局答えは出なかった。ただ何となく、男だったんで父親似ってことにした。

 というかここの回答者の中に自信もって選べた人がいるのか?

 その人の親を見て初めてどっちに似てるとか思うかもしれないというレベルだろ!

 その人の親に会ったこともないのにその人がどっち似かなんてわかるか!


「それでは答えを発表させていただきます!答えはドゥルルルルル!」

 口でのドラムロールには正直飽きたが、これで終わりにするわけにはいかない!


 もう今更文句を言っても始まらない。

 2度あることは3度ある。3度あることは4度ある。

 頼む!


ふと思い出して。完結するまで頑張ります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ