試練5
「わしの名はブラウザ。その昔大臣をして国を支えていたこともある。今回はお主を手伝うことになったもんじゃ。詳しくはこれを読め」
そう言ってブラウザと名乗るじいさんは手紙を差し出す……。中を開くと……、そこには……読めん……。単純に字が読めん。
「まあ、そう言うわけじゃ!宜しくな!」
……どういうわけだか知らんがなんだかんだ話を聞いていると手伝ってくれるっぽい。じいさんで物知りそうだし、黒いローブもなんか頭良さそうだし経歴も申し分ない!
……そういえばサボッチャが試練の最中にいいことがあるって言ってたような。まさかこのことか!?指輪をつけているといいことがあるってそういうことか!このじいさんが偽物と区別するためにか!知能テストが苦手と知っていたわけとかじゃないだろうけどこういう配慮してくれたんだね。これが恩返しか。王宮で働いていれば卑怯な手を使えば試練の内容が分かることくらいたやすい。かなりアンフェアな感じだけどサボッチャ、そして王宮勤めのみんな、本当にありがとう!絶対に俺が勇者の証を手に入れてみせるからな!
メイクが試練の進行をする。左手には小さい箱を抱えている。
「知能テストのルールをご説明させていただきます。この箱に入っている紙を私が一枚引きます。そこに書かれている問題を読み上げます。答えは全て、二択の○×問題です。答えが○だと思ったらあなたから見てステージの左側へ、答えが×だと思ったらあなたから見てステージの右側へ移動してください」
……あれ!?思ってたのと違う!その解答形式じゃカンニングし放題じゃねぇか!いいのか!?そんなんで!?
元大臣いらなかったかも……。いや、それはいたほうが心強いか。
「制限時間は問題を読み上げてから5分間です。5分以内にどちらかに移動してください。不正解だった場合はその場で脱落です。5分後、どっちつかずの半端な位置にいた場合は早く決めてください」
○×クイズで制限時間が5分って……。
「簡単ですがこれでルール説明は終わります。何かご不明な点がある場合は王宮入口付近にある目安箱に投書してください!」
それじゃあ、いま対応できないだろうが!
「それでは始めるぜェェエエエエ!」
もういいわ。勝ち残ればいいんだよ!なんだって。
「準備はいいかァァアアアア!」
だからもういいっつうの!
「第一問はこれだァァアアアア!」
そして、急に声色が変わる。
「第一問、現在使われている美しさの中に強さ、広大でいて優雅である我らロクルルエント王国の王宮の名前はオオキナ宮殿もしくはヒロイ宮殿である。○か×か」
言うほど素晴らしくないぞ!簡単に侵入できるしな!
それは置いといて……、なんで二択の中に二択があるんだよ!しかもどっちもダサい!いや、二択ではなくて昔はオオキナで今はヒロイなのかもしれない……。それでもそんな名前のものが実在するとは考えられない!
俺の常識で言えば考えるまでもなく×だ!ただ俺の判断で勝手に答えを出すのはよくない。この世界にきて俺の常識が通用したためしがないもんな。
周りはどうなのか……、聞き耳を立ててみる。これができる時点で知能テストとして方法がカスだよな。
「オオキナ宮殿って確かアルカジア王国の宮殿だよな!」
「そうそう、ってことはあの宮殿はヒロイなのかどうなのかっていうのが問題だな……」
「うむ、難問かつ良問だな!」
「1問目から変化球とは……、今俺たちはまさにふるいにかけられている」
後半は納得しかねるが、やっぱり知ってる人はいるのか!なぜ他の国の宮殿の名前しか知らないのは知らないけど、あいつらが他の国から来ただけかもしれない。なんにせよ、問題形式に問題があったのはほんと助かる。
というか片方は実在する宮殿の名前だったのね。
「お悩みのようですな!バフモッティ殿!」
ブラウザが得意げに話しかけてきた。……そういえばブラウザってこの国で昔大臣やってたんだっけ。なら簡単じゃん!昔の職場の名前だもん。
「ならば仕方ない。教えて差し上げよう。この問題の答えは○じゃよ」
へぇ、あそこってヒロイ宮殿って言うんだ。どっちもダサいとは思っていたけどまさかどっちも使われているとはね。
「こんな問題、わしにとっては簡単じゃ!」
マジ助かります!まさかこんなに頼りになる人材を送り込んでくれるなんて……。あいつらちょっと見直した!
そのままブラウザは得意げに語る。
「ロクルルエント王国の宮殿の名前がオオキナ宮殿である場合は○。ロクルルエント王国の宮殿の名前がヒロイ宮殿である場合も○。ロクルルエント王国の宮殿の名前がオオキナ宮殿とヒロイ宮殿の両方である場合も○。ロクルルエント王国の宮殿の名前がオオキナ宮殿でもヒロイ宮殿でもない場合だけが×。つまり75%の確率で答えは○じゃ!」
……って確率論かよ!お前、なんで知らねぇんだよ!しかもその理論は穴だらけだしよ!このどちらもでもない場合がどれほどあると思ってるんだ!既にオオキナは違うからそのクソみたいな確率論で当てはめても結局50%だしさ。
こんなのが大臣だったら確かに魔物も乗っ取りたくなるわ!
ダメだこいつ全然当てにならない。どうしよう……。落ち着け……。いや落ち着いても知らないものは知らない……。
いや、わかるぞ!さっきのは他国人だったかもしれないがここにいる人はこの国の人が多いはずだ。そうじゃなくてもある程度は勉強してるはず!
ほかの人の解答を見れば……。幸いこの試験の解答方式がカスだからカンニングは超簡単……。
ええっと、明らか右側、×が多いな……。×にしよう。知らないから何とも言えないけどこれは単純に知識を聞いているだけで引っ掛け問題のたぐいではないだろうしね。
「さーて、5分経ちました」
メイクの声が会場中に響き渡る。実際多数意見に流されただけだからな……。絶対の保証はない。あとは天に祈るのみ。祈りを捧げる。しかし、MPは回復しなかった。
って違う!
「それでは答えを発表させていただきます!答えはドゥルルルルル!」
メイク、まさかの口でのドラムロール……。
正解はどっちだ!?




