表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/275

勇者の証7

 あのあと、邪魔だと思っていたチェットのベタ褒め攻撃で戦いは終止符を打たれた。


 何を思ってかは知らないがチェットが何度も煽てたおかげで浮かれやすいウェットンに大きなスキを作ることに成功し、そこを逃さず放たれたサボッチャの一撃でウェットンの剣を払い落とした。


「お前のねちゅい(熱意)には参った……。はにゃし(話)を聞こう……」

 ウェットンはニヤケ顔で言った。

 剣振り落とされているけどな。……まあ、わかってくれてよかったよ。


 結局、サボッチャは具体的におかしいところは言えなかったが女王は魔物だったということをチェットが割り込んで強気で説明していくとどうやらウェットンにも思い当たることがあったのか最終的に納得した。ウェットンは必死に汗を拭いている。

 チェットが力説としているとき、サボッチャはチェットを睨んでいるようにも見えたが……、チェットは現場で実際に見たんだから知ってるのはしょうがないだろう。


 まぁでも、一連の事件もこれで無事解決!

 やっと……、やっと飯が食える。


「あー、あれ!」

とサボッチャは突然大きな声を出した。

「急にどうした?」

ウェットンに対して驚いた表情で告げる。

「それじゃあ、本物の女王はどこいったんでしょうかね!?」


 ……面倒くさい展開の予感。最初からいなかったんじゃね?最初から魔物だったんじゃね?言っとくが俺は別に探さないからな!飯食うのに忙しいし!


「女王の子である前王サブロ様がいらしたことを考えると女王が出産されたときは人間だったはず。なぜなら魔物が人間の子を産めるわけがないから!その時点では確かに人間だった!」

 言われてみれば……。というかなんでそこは気づけるんだよ!なんでそこは鋭いんだよ!余計なことだけは欠かさず言いやがって……。


 ウェットンが頷きながら答える。

「確かに言われてみればそうだな。いつ入れ替わったのかも見当がつかない。女王は常に我々近衛兵がお守りしている。女王が王宮に来てからお一人になられた時などなかったはずだ。我々がいて魔物が入れ替われる隙があるはずがない!」

 いやいや、そんなことないでしょ。俺がお前らに囲まれたときも簡単に抜け出せたよ。そういう意味なら確かにいつ入れ替わったか見当がつかないわ!どこから来るんだ、その自信!


「それにもうすぐ始まる勇者の証の試練の時に王がいないのでは他国に舐められる恐れがある。試練には世界中の猛者が集まるだけではなく、当然それに紛れて他国のスパイなんかもいるだろう。王がいないということは国政が乱れていると見られ、他国に侵略される原因にもなりかねない……」

となぜかチェットが答える。

 お前はいったいどの立場にいる人なんだ?お前はその試練の心配をしろよ!お前のいいところではあるけれども……。


 ウェットンはチェットノ言葉に頷く。

「確かに……。勇者の証の試練が終わるまでは王は必要だ。本人が今もどこかにいればいいのだが……。最悪の場合は代役を立てなくてはならない。なんにせよ、早急に手を打たなくては……」

 今、腹が減っていてうまく頭が回らないんだけど……、この展開……。もしかして、俺、巻き込まれてない?


 ウェットンは続けて言う。

「今このことを知っているのはこの場にいる4人だけ。あまり大勢に知られると情報漏洩につながる可能性がある。我々、4人でなんとかしよう!絶対に他人に話しちゃダメだぞ!」

「わかった」

 なぜかチェットが即答する。

 やっぱり巻き込まれてた。


 ……というかウェットンすごいな。顔だけ団長なんて言われていたがしっかりとしたリーダーシップが取れている。

 ……だが甘い!情報漏洩は絶対に避けられない。なぜならこの中におしゃべりが2人もいる!俺自身この国がどうなろうと知ったことではないので別に構わんが心配ならしっかり釘を刺しておきな!


「あの偽物が魔物であったということを考えると本物はもう……。いやいや今は考えても仕方ない。4人で女王様を探し出すぞ!私とアイットバスで女王様が消えた手がかりになりそうなものを調べてみる。この王宮を自由に動ける我々が調べやすいからな。」

 おうおう、なんか知らんがどんどん決まっていく。あと、なんでサボッチャはアイットバスって呼ばれているんだ?あだ名?変なの?


「君たち二人はとりあえず街に出て女王様に特徴が似ている人を見つけておいてくれ!最悪の時の代役にある程度の目星が必要だからな。女王様は王族の血筋ではないから王族に似た人はいないのが残念だが……。よし、2時間後にここに集合し、各々の報告をしよう!では、解散!」

「お待ちください!」

 サボッチャがさっと部屋を出ようとしたウェットンを制止する。

「あの壁の傷……。このままにしておくのは危険です!誰が見てもなにか問題があったことは一目瞭然!誰かあれを修理する人が必要です!」

 そうだな。というかサボッチャ、その鋭さどうした、急に!?


「……確かに。だが我々の調べ物は一人でやるには多いし……。悪いが君たちのどっちか、残って修理してくれないか?」

 ウェットンがそう言ってきた。その役は必要だ。頼む!チェットやってくれ!俺は真剣に女王の代役探しをやりたいんだ!人が集まる所、飲食店とかに行って聞き込みとか……、したいんだ!


「俺やるよ。昔からそういうことやってたから」

 俺の思いが通じたのか、チェットはそう言った。

 こういう俺のやりたいことを妨害する系のことは毎回俺に回ってくるから今回もてっきりと思っていたが、サンキュー、チェット!


 さて、それじゃあ、俺は街に出て、頑張って仕事しないとな!

 飯を食いに!

 ……じゃなくて女王に似た人を探すために!


 だがその前にこの手錠を何とかしないと……。人を探すどころか警察に捜されることになる。

 この手錠を外せる人といえば……、サボッチャはチェットと何やら話している。話が終わるまで待つしかないと思っていたら俺の困った状態に気づいたのかサボッチャが急にこっちに来る。

「手錠な!鍵、下だから取ってくるわ!」

と言い残すと勢いよく部屋を飛び出していった。


 突然察しが良くなったのは嬉しいんだけど実は牢屋に入ったときに持ちものとは言っても金だけだけど回収されたから一回、牢屋には立ち寄らなくちゃならないんだよな……。なんでだろう。どうして俺の周りにはこう善意が裏目に出るやつ多いんだろう……。

 というかチェットと何の話していたんだろう。まあ、何でもいいか。

 

 息切らして戻ってきたサボッチャに手錠を外してもらう。さすがに持ち物のことまでは気が回らなかったようだ。手始めに牢屋に向かって歩き出した。完全に2度手間だ。


 腹が減った……。何か気を紛らわしたい。そうだ女王はいつ入れ替わったんだろう?俺なりに少し考えてみよう!

 そういえばサボッチャの話じゃ、偽物事件があったらしいが、だったら単純に考えてその時偽物とされた方が本物だったんじゃないの?


 ……いや、それはないか。子供の名前が答えられないってなんだ?一人息子だろ。……流石にそれはないか。特別な事情、例えば『はい』と『いいえ』しかしゃべれないとかじゃない限りはな。


 ……ん!?もしかして女王って、……俺?いやいやいや、もっとないな。第一、俺、男だしさ……。この国に来た記憶もない……。いや、俺もともと過去の記憶がないから完全には否定できない。……いやいやいやいや。

 毎日、あの近衛兵が見張ってたんならいくらでも入れ替わるチャンスはある。偽物事件ももしかしたらはじめからどっちも偽物だったのかもしれないし、犯行はいつでも可能だから考えればいくらでもでてくるはずだ。

 きっと腹減ってるせいだ、うまく頭が回らないのは……。


 違うことを考えよう……。しかし、ウェットンはなんで4人でやろうとしたんだ?

情報漏えいは確かに困るが大きくならない程度に信頼できる人に手伝ってもらえば……。4人じゃ少ないだろ。しかもそのうち2人は部外者だし……。

 あっ!そういえばウェットンのやつは周りから煙たがれているんだったか。

 それにしてもなんでサボッチャはそこを追求しなかったんだ?どう考えても手がかり探しなんかは大勢でやったほうがいい。今日のサボッチャならそのくらいの気が……。

 あっ!そういえばサボッチャ、友達いな……。


 なんだろう、あいつらのこと考えると元気出てきた!人の不幸は蜜の味ってことか。

 空腹の中頑張って歩いてやっと牢屋を目の前にしたとき、一番大事なことにようやく気がついた。


 どうやって金返してもらおう……。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ