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敵よりもミカタがやっかい!  作者: 気分屋
因縁と魔法バトル
118/275

バトル25

「それではいきましょう!」

 実況が声を張り上げる。

 その元気さときたら……。いいよな、お前は昼寝できたからさ。俺も寝よう思えば寝れるけど起きられないからさ。

「はい!張り切っていきましょう!」

 すでに張り切ってるよ、俺の脳の血管は何本か……。


「まずはNONAMEから~アイボーです!」

 やっと名前を呼ばれた。本名ではないけどな。というかさっきの質問を元に紹介文を作っているなら、本人次第でいくらでも嘘付けるし、なんなら俺の場合、100%捏造だし……。絶対意味ないよな。

 ただでさえダラダラとした進行なんだから余計な部分は省いた方がいいんじゃないか?


「情報によると一回戦では言わずと知れた点滅魔法を使って相手を翻弄しました」

 ああ、あの子の創作話だけじゃないのね。ただそんな魔法は使ってねーし、翻弄したのは相手じゃなくて審判だったけどな……。

「ところでこの点滅魔法とは何ですか?解説のカヅワさん」

 全然言わずと知れてねーじゃん。さっき説明してたのに……。そういや、審判がその説明してたとき寝てやがったな!

「点滅魔法というのは……、うーん、特殊系魔法はあまり詳しくないんですよね~。名前から察するに規模が大きく複数の敵が相手でも倒せる魔法なのではないでしょうか?」

 何を言ってんだ、解説のやつ。……ああっ、たぶんそれは殲滅魔法じゃね?

 というかお前も資料もらってただろ!ちゃんと読めよ!

「なるほどー、大規模魔法ですか……。でも大規模魔法で翻弄というのが引っ掛かりますね――」

 何でもかんでも鵜呑みにしていたのに寝たおかげでちょっと成長したのかもしれない。

 ただ後でやれ。

「――ですがカヅワさんがそういうのならそういうことなのでしょう」

 いや、ダメだった。まあ、その話はどうでもいいし次にいってくれ。


「たしかにそうですね。キュネさんの言う通りおかしいですね」

 解説が少し謙虚になった……。

「ですが先ほども言いましたが特殊系魔法は専門外でなんとも……、あっ!そうだ!確か今審判やられているフォルゼさんは確かバイシュテン魔法学院の先生でしたよね。聞いてみましょう!」

 さっきその人が説明してたよ!いい迷惑だな!

「フォルゼさん。殲滅魔法ってどんな魔法ですか?」

 審判は実況席を向き直る。

 言いたくなかったら言わなくてもいいんだぞ!あいつらに付き合う必要なんかないんだぞ!

「殲滅魔法ですか?」

 ……やっぱり殲滅魔法の話になってるし。

「殲滅魔法は特殊系ではなく規模と破壊力ですね。最上級の魔法であるアスタリスクの規模と破壊力を持った魔法を殲滅魔法と呼ぶ専門家もいます」

 アスタリスクって前にクレサから聞いたことがあるような……。なんか凄いんじゃなかったか?

「最上級!?アスタリスクの規模と破壊力って相当ですよ!ダッシュクラスでもここら一帯に効果があるというのに……」

「私、魔法に関してはそんなに詳しくないんですがそのアスタリスクってそんなにすごいんですか?」

「それを使えるのは100年に1人いるかいないかですよ!」

「ええっ!100年に1人いるかいないかですか!?」

 俺も魔法のことはまったくわからんからな。クレサはさらっと言ってたけどすごいんだね。

「これはとんでもないものが見れますよ!」

 ……あれ?ちょっと待って。それ、俺の話をしてんだよね?出来ねーから!魔法の魔の字も使えないから!


「いやー、楽しみですね。次読んでいきますね。先ほどの戦いでは点滅魔法を逆手に取り、ダブルエフを宣告されました。……えっ?ダブルエフ?」

 そうなるよね。えっ?ってなるよね!言っておくがお前らが勝手に盛り上がったんだからな!

「キュネさん、事実だけをとらえていてはその裏にある真実を見逃すことになりますよ。犯行自体に目を向ければその人は悪い人ですが、動機に目を向ければ見え方が変わってくることもあるんです」

 なんの例え?

「大事なのは表面的なことではないです。よく考えてください。起こったことをそのまま言葉にするだけでお金がもらえるような仕事がありますか?」

 実況ってそういう仕事じゃないの?視覚からだけじゃなくて聴覚からも情報を得られるから情報量が増えたり、場合によっては観戦者の感情を盛り上げたりいろいろ大切な役割があると思うんだけども……。

「その通りですね。そんな仕事はないです。大事なのは中身……」

 肯定しちゃった……。確かにそんな仕事はしてないけども……。

「私の解説と言う仕事は起こったことに対して私の経験と勘からその意味を見出しそれを説明しています」

 言うほどのことをやってるか?というか大事なのは中身とか言っておいて意味を勘から見出してんじゃん。それはいいの?


「ではカヅワさん、このダブルエフっていうのは一体どういうことなんですか?」

「ダブルエフはダブルエフです。ただ最上級魔法を使いこなすほどの魔法使いが負けるというのは考えにくい。となるとこれは戦略的ダブルエフと言うことが考えられます」

 戦略的ダブルエフ?点滅魔法とやらで相手を翻弄しておいて?

「戦略的ダブルエフ……。考えたこともなかったですが、確かに言われてみれば納得です」

 どこに納得したの?全然腑に落ちないんですけど。

「ダブルエフをした理由とかはどうでもいいんです。私が言いたいのは要するに裏を返すと現時点でもっともダブルエフを使いこなしていると言えると言うことです」

 結果的にチームは勝ったからそうとらえられなくもないけども……。

 あと、散々言っておいてお前も結局表面的なこと言ってるからな!

「なるほど、その発想はありませんでした。新ルールにも関わらずそれを使いこなしていることから彼は適応能力が高い人物と言えますね。100年に一度も伊達ではないということですね」


「そう言うことです。前の試合で温存しておいた魔力があるでしょうからそれをこの試合で使うことは大いにあり得ます。これは期待が持てますねー」

 ポジティブにとらえんなよ! それ以上俺の評判をあげるのはやめて!俺が戦略的ダブルエフをやるのは今回だから!


 というか俺の話はもういいから相手の話をサッとやってサッと始めろ!

「そんな彼ですが事前に行ったインタビューによると好きな食べ物はパンらしいです」

 今度はまた何の話だ?

 ……ああ、あの女が勝手に作った話か。……というかほかに何か言うことはなかったのか?なんだその話は、センスねーな。

「パン好きとはさすがですねー」

「本当ですねー」

「それで?」

「それだけです。次に行きますか」

 ……何がさすがなのかはわからんがリアクションに困るよなー。言うことないよなー。話題の振り方が下手糞だよな。

 だが今回はその下手糞さがすごくいい!

 

 でも、これでまだ自己紹介の続きがあるのかよ……。相手のこともサクッと紹介してサクッと始めてくれ!

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