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2ゆ
どこまでも降り注ぐ雨に
私は縁側から
本から目を背けて見た
ザ―-―
雨が縁側の石に当たり跳ねる
私は赤い背表紙の硬い本に目を戻した
ザ―――----
次第に意識が消え
本と私が消える
雨の降る家だけがそこに有る
雨だけが動く世界
私は無意識の中で本を読む
意識が雨のようになだれ込む
文字に濡れた私がいつの間にか目を覚ますと
外は薄ぼんやりと暗く
晴れた雲の隙間から
月に照らされた虹が見えた
私は雨戸を閉めながらくらい家の中に引っ込んだ
いつの間にか少し涼しい家の中で
台所だけ明かりがついていた
「母さん
私はそう言いながら薄手の硝子戸をあけると
豆腐が涼やかにテーブルぬ並べられていた
うっさぶ
私は暗い台所で思った