2/5
夏風邪
私は気怠い思いで布団の中で項垂れていた
悲しくもなんともないのに涙が頬を伝う
暗い部屋を扇風機が生暖かくかき回す
ジィーーー ジ----ー ジクジクジクジク ジィ-- ジ-----」
子供の声が遠くで聞こえる
枕元の机にある教科書から目をそむけえ
薄手のタオルに顔をうずめるように隠た
ジー---- ジクジクジクジィーーーー ジ-- ジ-- ジクジク」
ふと遠くへ行く友達を思い出す
熱があるのに なぜ冴える目
私は襖の奥から聞こえる
テレビの野球中継の音に耳を澄ませた
ジージー-ジ----
思考が遠のく
気持ちがぐじゃぐじゃと渦巻く
悲しさが 熱で沸騰する
私は仰向けで暗い空を見た