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春風
ことしも吹く風 三月初め
私は雨と雪に濡れた
ぐじゃぐじゃの地面を散歩しながら思う
目の前を流れる川が涼しい風を巻き上げながら体をゆすいだ
フキノトウが顔を出し始めようとした堤防沿いから国道を進む
家に入ってからからやっと強風がやんだ
暖かく 冷たく うねる波が
外の戸をガタガタと揺らす
暗い部屋に僅かな期待と不安をいくら抱いても
春風が窓の隙間から
私を揺さぶり
思考を浮き飛ばし
有も無も忘れさせる
ただただ子供のころのような
希望が私を外へ向けた