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【Code1 イーグル】04




まぁ、最初のSHRであんな事を考えるのはどうかと思うが。しかもあれ程の量を。


「いや、そりゃあ朝起きた時に考えたもんだ」


「………え?」


「SHRでは、『剛力』を使ってパンツ見る方法をひたすら考えていた!」


………ごめん、前言撤回。


こいつ馬鹿だ。


ただの馬鹿だ。


アレだけ語っておきながら言うのもなんだけど、やっぱこいつはただの馬鹿だっ!間違いないっ!!


「ったく、いつまでバカやってんのよ!あんた達は!」


先程まで黙っていた優香里だったが、呆れている様子から見て、会話に参加しないにしろずっとそばで聞いていたようだ。


「ってか、気になったんだけど、男ってそんなにパンツ見たいものなの?」


「見たいっ!!」


疑問、と言うよりは好奇心と言った所か。そんな表情を浮かべた優香里の質問に対して、即答で答える良平。「へー、そうなんだ」と素っ気の無い返事を良平に返した後、優香里は俺の方に顔を向けた。


「【イーグル】はどんなの?見たいの?」


「えっ、おれ?俺は………」


まさか自分にも話が振られるとは思っても無かったので、咄嗟に言葉を濁す。まぁ、見たいか見たくないかの二択だったら、そりゃあ俺だってそういった年頃だし見たいよ。と、頭の中で結論を導き出し、一瞬「いや、俺は………」と言いかけたが、何故か負けたような気分に陥り、ここは素直に「うん、見たい」と答えておいた。


「ふーん、そんなもんなんだぁ」


俺の答えを聞いた途端に急にどうでも良さそうな態度をとる。おそらく、こいつの中での興味対象が無失くなったのだろう。


「そいやぁ、何か周り静かじゃね?」


「ん、言われてみれば………」


今まで会話に集中していたから気づかなかったが、良平の言う通り周りから話し声どころか物音も聞こえてこない。と言うか、俺たち以外に人がいない。


「あれ?みんな、どこ行ったんだ?」


「一時限目って、移動教室だったか?教科はなんだ?」


「バカね、私達二年次生は一般教育はもう受けないでしょ。一年次の時に全て終わらせたんだから。良平が言う所の『教科』であるなら、体育よ」


「あっ、そっかぁ!いやぁ、忘れていたぜぇ」


「まったく………」


良平の発現に呆れる優香里。まぁ、実は俺も朝まで『普通』に授業があると思っていたから、良平を責める事は出来ないが。もしかしたら、優香里だってそうなんじゃないか。


「って、そんな事よりも時間は大丈夫なの?みんなはもういないんでしょ?急がないと………」


「そだなっ!なぁ【イーグル】、開始時間までは後何分だ?」


「えーと、ちょっと待ってろ。今確認する」


開始時間は確か8時55分からだったはずだ。俺は教室中央の黒板の上にある時計で時間を確認する。


今の時代、ほとんどの物が電子機器・電気の時代だ。携帯やミュージックプレイヤーもそのうちの一つだし、明かりや移動手段、料理や風呂沸かし、ありとあらゆる生活に置いて電子機器・電気の無い生活はもう存在しない。


勿論、時計だってその中に入る。


だが、世の中にはデジタルと言う便利性を求めている人だけではなく、アナログと言うレトロさを求めている人もまた数多く存在する。そのレトロさを求めた人に部類されるのかはさて置き、この学園は今時珍しいアナログ方式の時計を各教室に設置している。


そのアナログ時計を見て、俺は絶句した。


秒針を刻む細長い針の音が、やけに大きく聞こえた。


短い方の針は9にギリギリ差し掛かってないレベルの8を示している。そして、もう一つの長い方の針は11と12の間を指している。つまりだ………。


「【イーグル】………?」


「………二分前です」


「えっ?」


そう、つまりだ………。


「二分前に、始まりました………」


二年次初の授業による、初遅刻者確定のお知らせだ。





☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆





「これからお前達には、こちらに持っている一年前の個々のミディア詳細データと現在のお前達のミディアにどれ程の差が出ているのかテストしてもらうっ!」


そう力強く発言するのは、十河先生よりも更にデカイ、数値的には190cmを超えているんじゃないかと思わせる巨体と、顔と同じ太さの腕と足を持つ筋肉質な体の持ち主、酒松史郎さかまつしろう先生だ。………ん、教官というべきか。


この学園『PTC』は、一般授業は一年次にしか存在しない。その一年次も、授業時間の半分程度は今行っているミディライザー専用の訓練の時間に割り振られてるから、実際マトモに授業を受ける時間は三年間のうち六ヶ月もない。


そのため、二年次からは全ての時間が訓練となり、先生ではなく教官と呼ぶように義務づけられる。担任だけは例外で、先生と呼ぶことになっているのだが。


「今日行うテストの成績は一週間かけて行う大規模なものとなるっ!基本的に三年に上がるまでは、今日調べるテストの成績がそのまま使われるから、死ぬ気で挑めっ!分かったかっ!!??」


「「「「はっ、はいっ!!」」」」


まるで脅されているかのような威圧感を肌で感じた俺たちは、皆無意識に返事を返す。


「声がちいさぁあいっ!!!もう一度ぉおっ!!!!」


先程よりも強い威圧感、今度は殺気まで混じっているのでは?と思わせる程の気迫に、声を張り上げるだけ張り上げて返事を返す。「最初からそれをやれっ!」と投げやりに言葉を放つ酒松教官に、もう一度大きな返事を返す。


「よぉーしっ!いいかお前らっ、この学園を卒業したら直ぐに戦場に送り込まれるっ!!少しの判断の遅れが命取りになるような場所に、そんななよなよしい返事しか返せない奴らは戦場にいく資格はないっ!!!上位クラスに上がったからっていい気になっている奴がいたなら、俺が叩き落としてやるからなっ!!!」


それからも、酒松教官は俺達の不安を煽るような言葉や自信をなくすような言葉ばかりをあえて選択して俺達を揺さぶる。ここで少しでも弱いところを見せたら叩き落とされると、本能で直感している俺達は出来るだけ無表情でその場を乗り切ろうとする。何度か心が痛いものがあったが、何度か教官が言い終わるまで耐え切ることができた。


「………ふんっ!少しは根性が据わっているようだなっ!」


教官は、これが当たり前と言わんばかりに鼻を鳴らした。


「そんな毛程の根性しかないお前達が最初に受けるテストは、こいつだっ!!」


教官が示す方向にみんなの注目が集まる。そこにあったのは、全長2mほどのバルカン砲が三台とヘットギア、それに四つの小さなリングだ。それだけで、俺たちはこれから何をやるのか判断するには充分すぎた。それだけ、これには苦い思い出があるのだ。


「見て分かるようにっ、今日のテストは回避力調査だっ!!お前達チビ(ひよっこ)どもが最も苦手としているものの一つだっ!!」


このテストはいたって単純。三台のバルカン砲にはそれぞれ特殊なペイント弾が装填さへている。一台のバルカン砲に600発、計1800発のペイント弾が、連射速度0.5秒、時速250kmほどの速さで五分間発射し続ける。つまり、一秒間に約6発のペイント弾が自分に向って撃たれるのだ。このテストを受ける者にはヘットギアと、機械チックなリングを両手・両足首に着けて行う。何故そんな装備をつけるのか。勿論、防具の意味ではないちゃんとした理由がある。


それが、この訓練の最大の特徴『NIS』神経遮断機能だ。


ある一定の電気信号を着弾時に周りに放射するペイント弾。その電気信号を肌を通してそれぞれのリングに繋がり、繋がった瞬間今度はヘットギアに信号がいく。その信号を読みとったヘットギアは、どこから電気信号が送られてきたか直ぐに導き出す。そして、導き出した周辺の神経を完全に遮断する周波を脳に働きさせる。その周波を受けとった脳は、指示通りに周辺の神経を遮断する。これが『NIS』だ。


もっと簡潔的に述べてしまえば、右腕なら右腕、左足なら左足にペイント弾が着弾すれば、着弾した腕、足が動かなくなるということだ。


神経を完全に遮断してしまうこの機能は痛みを伴わないし、ペイント弾は非常に柔らかいため、怪我をする事もない。そういう意味では、とても安全な訓練の一つと言えるだろう。


だが、この訓練で殆どの者が苦い思い出がしか持っていない。


「勿論っ!!お前達が考えているようにっ、『あのルール』にのっとって行われるっ!!!」


やはりそうか………。この場所にいる全員の生徒がそう思ったであろう。


酒松教官が『あのルール』と称したものはいたって簡単なものだ。指定されたクリアラインに達さない者には罰ゲーム、通称『パーティー』を受けてもらう。


「ルールは前とまったく一緒だからっ、わざわざ説明することもないだろうっ!!」


この訓練のルールは、


一つ、訓練に参加したものは訓練途中での棄権は禁止とする。


一つ、訓練者とバルカン砲の距離は125mとする。


一つ、訓練を終了するには全ての弾丸を避けきるか、死亡と認定された時だけである。


一つ、死亡と認定される条件は主に二つ。両腕・両足共にペイント弾を受けた者。両腕・両足以外の場所、胴体・頭にペイント弾を受けた者。胴体・頭にペイント弾を受けた者は、どんな場所であろうと無条件で死亡とする。


一つ、この訓練はミディアの使用を許可する。ただし、防御系のミディアの使用(例えば、シールドなど)は禁止とする。


一つ、武器保持者の者は、武器によって弾丸を防ぐことを許可する。ただし、もともと攻撃を防ぐためのもの(例えば、盾など)は禁止とする。


一つ、指定されたエリアからの離脱(2m×2mの正方形)又は脱出は無条件で『パーティー』の参加を義務づけられる。


一つ、空中への回避(上空3m以上)は禁止とする。破った場合、無条件で『パーティー』の参加を義務づけられる。


一つ、『パーティー』参加条件は上記以外に、①2分以下の死亡者、②前回の記録未満の者である。


一つ、『パーティー』の内容は腹筋・背筋・腕立て・スクワットそれぞれ1000回である。


となっている。


はっきり言おう、この訓練は相当の実力者かミディアを持っていないと『パーティー』を免れる事は出来ない。二分以下というのは一見いけそうな感じはするのだが、実際数値化すると二分間の間に720発の弾丸を避け続けなくてはいけない。はたして、720発の弾丸を全て避けきることが余裕と抜かす者はこの中に何人いるのだろうか。


「早速訓練っ、回避力テストを始めるっ!!指名された者は前に、それ以外の者は呼ばれるまで待機だっ!!分かったかっ!!??」


「「「「はいっ!!!」」」


「いい返事だっ、ひよっこどもっ!!まずは神崎っ、お前からだっ!!」


「はっ、はいっ!!」


一番手となってしまった神崎くんは教官に怒鳴られながらも指定位置へと走って行った。それを、俺は遠目で追いかける。


「【イーグル】」


「ん………なんだ、良平か」


コードネームで俺を呼ぶ良平、又の名を【ファルコン】という男が何時の間にか俺の近くまでやってきていた。




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