優柔不断に中途半端な頑固者
最近、進路はどうするのって親に聞かれる。私はいつも、ちゃんと考えてるしか言わなかった。……ううん。言えなかった。
確かに考えているけど、迷ってる。やんなっちゃうくらい、優柔不断。
自分の好きなことを選ぶだけなのに、どっちにするか迷ってるの。
今もやってる創作と、ずっとやりたいと思ってた物作り。どっちをとるかの簡単な選択肢。なのに決められない。
だって、天秤はすでに傾いてるもの。重い方を取れば良いだけの簡単な選択肢でしょ?
でもね、重い方を取ると、軽かった方が急に重くなりだすの。天秤に戻すと、やっぱり寸分違わないのにね。
なんで? って、言いたくなるぐらいに選べない自分がいるの。
それが分かってるから、中途半端な答えしか返せなかった。中途半端な答えだから、親は何も考えないんだと思い込んで、また聞いてくるの。
その日はちょっと余裕があったから、思ってたことを、考えてたことを全部ぶちまけてみた。
スラスラと言葉が出るんだけど、言葉と一緒に雫も頬に線を描いた。何度も何度も曲線を描いた。
言葉を紡ぐたびに、何だかむなしくなって、みすぼらしい気持ちになった。
一番ビックリしたのは、出てきた本心に、私自身がそんなことを考えていたのかって驚いちゃったこと。私は私自身に対しても、心を開いてなかったんだねって悲しくなった。
進みたい道は自信がなきゃ、進むことができない道。才能と努力が必要不可欠。分かっているのに、私にはその三つが足りていないの。そのうち二つは、“我が輩の辞書”にのってすらないの。
言葉を紡ぐたびにね、もっと才能を持って生まれた人たちのことを考えちゃって、自信がなくなるの。才能があっても、やっていけるとは限らない世界なんだから。
でもね、やっぱりその創作をやってない自分が想像できなくて。私が進むのは、この道しかないんじゃないかって思うの。
思うけど、やっぱり自信なくて。
もう一つの道に行こうかと思うんだけど、もう一つの捨てたはずの道が後ろ髪をしっかり掴むの。
だから、捨てきれなくて。天秤はやっぱり同じ傾きを保ってるの。
全部が中途半端で、これといった強みもない。売りがないから、ほんと救いようがない。
優柔不断の中途半端。新しい物なんて作り出せない、頑固者。全部が全部、中途半端なんて。逆に清々しくすら感じるわ。
いつかは取らなきゃいけない天秤も、いつかは清々しく選べるようになるのかな?