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読み聞かせにもぴったりなオリジナル童話シリーズ

まくらのなかの ゆめこうじょう

作者: 有馬 泉貴
掲載日:2026/04/29

   1

 「おやすみ」


 「おやすみなさい」


 まちじゅうを よるが、すっぽりと つつみこみ、

 それぞれのいえから そんなこえが きこえてくるころ…


   2

 まくらのなかの ゆめこうじょうは、おおいそがし!

 

 「あまのがわのクレヨンはどこ?」


 「そよかぜのにおいが たりない!」


 「いそげ! まにあわないぞ」

 

 こうじょうのなかを おおぜいの こびとたちが はしりまわり、おおいそぎで ゆめを みせる じゅんびを しています。


   3

 まさみちゃんの ゆめは、

 ひだまりの においに、はらっぱの かぜ。それから ラッキーの ふかふかな おなかの けを ひとつまみ……


 まほうのおおがまで ぐつぐつ にたら、

 はい できあがり!


 だいすきな いぬの ラッキーと あそんでいる ゆめです。


   4

 おとうさんの ゆめは、

 ぱりっとした シャツの においに、できあがった しょるい。それから きらりと ひかる うでどけいの はりを ひとつまみ……

 

 まほうのおおがまで ぐつぐつ にたら、

 はい できあがり!


 てきぱきと しごとをしていて、かっこいい!


   5

 おかあさんの ゆめは、

 あつあつの スープの においに、トントン ひびく まないたの おと。それから  まっしろな エプロンを ひとつまみ……


 まほうのおおがまで ぐつぐつ にたら、

 はい できあがり!


 かぞくみんなで おいしいごはんを かこんで うれしいね。


   6

 おばあちゃんの ゆめは、

 こうばしい おちゃの においに、さらさら こすれる きぬの おと。それから つやつやした ししゅういとの たばを ひとつまみ……


 まほうのおおがまで ぐつぐつ にたら、

 はい できあがり!


 きれいな ししゅうに かこまれて、のんびり おちゃを のむ ゆめです。


   7

 ラッキーの ゆめは、

 じゅわっと あふれる おにくの においに、ぶんぶん ふりまわす しっぽの おと。

それから おきにいりの ほねの おもちゃを ひとつまみ……


 まほうのおおがまで ぐつぐつ にたら、

 はい できあがり!


 おいしい おにくを おなかいっぱい たべている ゆめです!


   8

 きょうも、みんなに ゆめを みせられて ひとあんしん。


 「きょうは、これにて おしごとおわり!」


 こびとたちも、ふわふわの おふとんに ならんで くるまり、ゆったりと しあわせなねむりに つきました。


   9

 そんな あるひ。


 「おやすみ」


 「おやすみなさい」


 かぞくが ねる じゅんびを はじめ、

 「きょうも、はりきって ゆめをつくるぞ!」

 こびとたちが、まほうのおおがまを のぞくと、さぁ たいへん!


   10

 かまのそこに おおきな おおきな あなが あいているでは ありませんか!

 

 「なんてこった!」


 これでは、ゆめが つくれません!


 ながねん ゆめをつくりつづけてきた こうじょうちょうも、はじめてのことに すっかり こまりがお。


 こびとたちは、みんな うーん、うーんと かんがえこんでしまいました。


 そこへ、ひとりの こびとが やってきていいました。


 「こうじょうちょう、いいものを みつけました!」


   11

 こびとが ゆびを さした さきには、

 だいどころのコンロのうえに、よるごはんのおみそしるを つくった なべ が ありました!


 「でかした!あれなら、まほうのおおがまのかわりになる」

 

 さっそく、こびとたちがあつまり、なべをいただく さくせんかいしです。


   12

 まずは そそくさと、つくえの したを くぐりぬけます。


 「うわっ」


 「おとうさんの あしから、すごい においが!」


 「けいかいたいせい、けいかいたいせい!においに きをつけろ!」


   13

 つぎは、ささっと、コンロのしたに。

 だいどころでは、おかあさんが おさらを あらっています。


 こびとたちは、たていちれつに かたぐるまをすると、なんとか、なべへ てを のばします。


 「あと、もうちょっと…」


 そのとき!


 「きゃー!」


 おかあさんが、ひめいを あげました。


   14

 「なんだ、みつかったか」


 こびとたちが、あわてていると、


 「ゴキブリよ!」


 おかあさんが、あしもとを めがけて、おもいっきりスリッパを ふりおろします。


 スパーン、スパーン!


 そのしょうげきで、あっちへゆらゆら、こっちへゆらゆら。かたぐるまが、おおきく さゆうに ゆれています。


 「きゃー!」


 「なんとか、たえるんだ!」


 「ゆれがおおきくて、くずれちゃう!」


 とうとう ゆれに たえらず、こびとたちのかたぐるまはバラバラになり、みんな ゆかに ゴロゴロと、ころがって いきました。


   15

 しかし、その しょうげきで、なべも ゆかにゴロゴロと ころがってきたではありませんか!


 「しめた、やったぞ!」

 

 「はやく、こうじょうに はこびこめ!」


 こびとたちは、なべを かかえて、すたこらさっさと、こうじょうに かえって いきました。


   16

 さっそく、いそいで ゆめをつくり、かぞく みんなに とどけます。


 「これで、やっと ひとあんしん。ぼくたちも、そろそろ ねよう」


 こびとたちも、ほっとして ふわふわの おふとんに ならんで くるまり、ぐっすりと ねむりに つきました。


   17

 みんな、そのひのよるは なんだか ちょっぴり しょっぱい ゆめをみました。


【おしまい】

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