表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/43

1月12日(水) エメラーダ

 ツナのコンソメ煮、お前のだよな。うまかった。でも、もう少し胡椒を効かせた方がいいと思う。タッパーは洗って食洗機のところに置いてある。


 シャンデリアは確認した。危なそうなところにダクトテープを巻いておいた。これで修理が来るまでは保つはずだ。


 この寒さでホームレスの凍死者が増えたから、モルグも一杯になっているそうだ。昨日の晩も一人死体を客室から運び出したけれど、回収は明後日になるらしい。リネン室に仮置きしておいたら、暖房のせいでちょっと匂い始めたし、SR(編註:ストアルーム=用具入れ)に移してある(回収が来るまでの間、あそこの冷房を切らないようにって貼り紙を作っておいた)

 「ご自由にお持ち帰りください」って周知が来たけれど、殺したてならともかく、今の状態なら誰も引き取らないと思う。


 919号室のブランケット8枚、そのうち6枚が駄目になった。どうやらあの吸血鬼、部屋で生まれ変わり(編註:吸血鬼が人間を眷属として同族に変化させること。伝統的に満月の夜に行われることが多い)をさせるつもりらしい。アジア系の若い女性を連れ込んでいる。クロックにも報告したけれど、しばらく様子を見るって。シーツは新品を出さないようリネン担当にも話が行った。

 こんな場末のホテルで眷属を増やす儀式だなんて、あれはもっと厳粛な行為と思ってた。まあ、あの吸血鬼もどこの馬の骨か分からないような奴だし、女の子はこれから散々苦労することだろう。


 ピット大の子達、日程と場所は、俺はそれで構わない。サウスベイの方って、ここのところまた流行ってきてるみたいだ。前のブームは一体、何十年前のことだっただろう。たぶん、俺達がこの街へ来てすぐの頃か。

 そのCPの子、美人で気立てのいい子だといいな。この前のはやたらと引っ掻いてきて大変だった。爪をキリキリ尖らせてあったのか、一週間くらい背中へ痕が残って。

 でもあの子、絶対お前の方を狙ってたに違いない。リードするんじゃなくてされたいタイプ、とか言ってたし。気の強そうな子だったから意外だけれど。


 アルクディアは早く彼女さんと仲直りをするがいいと思う。いつまで経っても仮眠室を占領しているのは良くないし(予備用のテレビまで持ち込むなんてどうかしてる。あいつが荷物を広げまくってるせいで、仮眠を取るたび、あいつの部屋へお邪魔してる気分になって落ち着かない)喧嘩なんて長引けば長引くほど拗れるものだ。ポケットチーフも返してもらえない。あれは昔誕生日に母ちゃんが、俺にはネクタイを、妹にはスカーフをって贈ってくれた奴をリメイクしてくれたんだ。借りパクされたくない。


 ルームチェンジしたイエティの部屋だけど、冷房は問題ない。だがそれでも暑いとクレームが付いたから、バーやレッドスナッパーにも頼んで氷を運び込んでる。彼のチェックアウトは来週末だが、それまで氷は品薄だから気をつけた方がいい。


 1105号室の客、2週間分を前払い。弁護士と、チェリー・コークって名前の女性以外は連絡が来ても繋ぐな、尋ねてきてもいないと言えと。ますます怪しい。そうでなくても最近人死にが多くて、警察やエクソシストの注意を惹きやすいのだから、余計なトラブルはいやだ。

 1009号室の吸血鬼はチェックアウトしたけれど、奴が血を吸い取った人間については今朝警察が来たらしい。俺は仮眠中で詳しくは知らないが、型通りの話だけ聞いて帰ったそうだ。でもまだ油断はできない。


 事務所が寒くて耐えきれない。事務所ではダウンジャケットを着ている。ユニクロはいい、安くて暖かい。嵩が低いのもいい。そりゃあ、昔ながらのガチョウの羽が入っているものよりは保温性が劣っても、会社で使うならそんな高級なものは必要ない。そうでなくても、今は金を貯めなければいけない時だから。



 

 ツナの件、今読んだ。悪い、気づかなかった。でもお前が肉じゃなくて魚を持ってくるなんて。


$3,902.00


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ