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6月26日(日) アコーダンス

 リトル・ロムルスなんかクソ喰らえ。俺はあんな閉鎖的な街で腐っていくタマじゃない。例え皆がリーダーになってくれと頭を下げて頼んだところで、そんなのお断りだね。


 アズール曰く、デトロイトも20世紀とは違う物騒さだとか。最近は吸血鬼が昔の会社を買い取って、トランス・アニマルの肩身は益々狭くなってるそうだ。実家の筋向いの家が民泊になって、お袋と義父のソルト・リックは閉口してるらしい。兄貴は同居しないかと勧めてるが、兄貴の嫁さんのマヤと、何よりお袋自身が反対してるらしいから、しばらくは様子見だと。

 兄貴は市内だけで店を2軒、他にもマリオットでメニューの監修をしたり、精力的に働いてるらしい。娘達を2匹とも私立の学校に入れたから、どんどん稼がなきゃならないんだろう。結構な話だ。あいつは兄弟の中で一番現実的だったから、当然の帰結だと思うよ。


 お袋の様子を聞けたのはいいが、「2者面談」は概ね、心底クソみたいだった。何度席を蹴ってレストランを出て行こうと思ったか分からない(兄貴の店じゃない。ジャマイカ風シーフード専門店とかいう店で、美味いし値段も手頃だった。今度行こうぜ、お前なら絶対気にいる)


 姪っこのパナマ、今中学生らしいんだが、この前のモルナール家のパーティーの動画が学校でやたらとバズってるらしい。何とかって男娼が、吸血鬼評議会のミスター・グレープバインに血を吸われてくたばる一部始終を撮影した、例の余興の。

 俺はハイライトだけに編集されたショート・バージョンしか観てなかったんだが、完全版にどうやら俺が映り込んでたらしい。右手にアーリー・タイムズのグラスを掲げ、左手でコールガールの胸を揉みながら、見せ物を囃し立てるところがバッチリと。

 要するに、103歳にもなって落ち着きが無さすぎる、いい加減身を固めろという説教を、3時間近く言葉を変え繰り返された訳だ。


 あの野郎、自分が所帯持ちだからって、兄弟に説教を垂れても許される権利があると勘違いしてやがる。スターダストのリストランテへ修行に出される前はマリファナ所持で逮捕歴もある札付きのワルだったとか、マヤの前に付き合ってた婚約者を2回も中絶させた挙句、一方的に関係を解消したとか、俺が知らないと思ってんのか。


 自分のことだけに構ってろ、こっちはこっちで生活を満喫するのに忙しいと返してやった。俺は一瞬一瞬を楽しんでる。そりゃあ、今の仕事は最悪だが、目標だってあるしな。レストランを新規オープンしたいって兄貴のご大層な野望に比べちゃ、随分チンケなものに見えるんだろう。

 だが断言出来る。100年後、これまでの生き様を振り返った時、そのスリルと冒険にゾクゾクと背中を震わせることができるのは、俺の方だってな。


 会話の中でお前の話題が出て、今頃どこかの路地裏でくたばってるんじゃないかとかあいつが抜かすので、同じ勤務先で働いてるって言っといた。奴め、すっかり呆れてやがったよ。

 俺が食いたいって頼んだペミカンも作ってきてくれた。あいつが休暇でキャンプに行ったとき素手で仕留めたヒグマと、クランベリーが多めのレシピで。お前も好物だろう、明日事務所へ持ってくから、保冷バッグを忘れるな。


 エクソシストとのWEB面談は、俺はいつでも構わない。勤務中がいいな、どこか空室で、スマートフォンを使えばいい。

 水槽のネズミ達は今7匹、俺が出勤してきた21時間前は5匹だったんだが、1匹共食いして3匹追加された。

 この共食いだが、よくあるストレス反応だろうと思う。ゾンビ化ではなく。観察している限り、肉が腐ってきたり、不審な挙動を取っている様子はないが……

 ロベルタから、お前が昨日おやつに、1匹つまみ出して食ったって言ってたぞ。本当なら、金輪際やめろよ、今回ばかりは(彼女もミミズクだから興味のありそうな素振りだったが、絶対にやめとけときつく忠告しておいた)


$2,332.3

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