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もしもの話⑧ ヒーロー着地は危険です

ひよりは、校舎の三階の廊下を歩いていた。


「んー……ひかり、どこ行ったんだろ」


用事はあるけど、急ぎじゃない。

ただ、見当たらないと少しだけ気になる。


なんとなく窓の外をのぞいて――


「あ」


中庭に、ひかりがいた。

クラスメイトと話している。


ひよりは、反射的に身を乗り出す。


「ひかりー!」


大きな声で呼んだ、その直後。


考えるより先に、体が動いていた。


ひよりは窓枠に手をかけ、そのまま外へ――


ひゅ、と風を切る。


そして。


地面に、すとん。


片膝をつき、手を地面につける。


ヒーローのような着地。


「……決まった」


小さく、満足そうにつぶやく。


中庭が、一瞬静まり返った。


次の瞬間。


「――ひより!!?」


ひかりの悲鳴に近い声。


慌てて駆け寄ってくる。


「なにしてるの!?

 三階から飛び降りるとか、正気!?」


ひよりは立ち上がって、スカートについた埃をぱんぱんと払う。


「え?

 だって、ひかり見えたから」


「だからって!!」


「近かったし」


「近くない!!」


ひかりは完全に怒っている。


「そんなところから飛び降りたら、危ないでしょ!」


ひよりは一瞬考えてから、首を傾げた。


「あ、そっか……」


ひかりが少しだけ安堵しかけた、その直後。


「パンツ、見えちゃうね」


ひかりは言葉を失った。


「……そこ!?」


「スカートだし。

 ひらってなった」


「そういう問題じゃない!!」


ひよりはちょっと困った顔になる。


「でも……

 ちゃんと着地したよ?」


「着地の問題でもない!!」


「ヒーローみたいだったでしょ?」


「自分で言わないで!!」


ひかりは頭を抱えた。


完全に、力が抜けている。


ひよりは、少し申し訳なさそうにしながらも、にこっと笑う。


「だってさ……

 ひかり呼んだら、

 早く行きたくなっちゃって」


その一言に、ひかりは深くため息をついた。


「……ほんと、あんたは」


呆れと心配が、半分ずつ混じった声。


ひよりは首を傾げる。


「?」


まったく分かっていない顔だった。


ひかりは、もう一度ため息をついてから、ひよりの腕をつかむ。


「次からは、ちゃんと階段使いなさい」


「はーい」


返事だけは、やけに素直だった。

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