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むかしばなし⑧:かっこいいもの

家の中は、

夕方のテレビの音で満ちていた。


ひよりは、

床に座って画面を見上げている。


新しい番組。

大きな声。

派手な音。


画面の中で、

ヒーローが変身する。


光。

装甲。

構え。


「……かっこいい……」


思わず、

口からこぼれた。


自分でも気づかないうちに、

背筋が伸びていた。


そのまま、

目を離さずに見続ける。


——数日後。


ひよりは、

ママと二人でショッピングモールに来ていた。


人が多くて、

音も多い。


でも。


おもちゃ屋の前で、

足が止まる。


ガラスの向こう。


あの番組の、

変身セット。


同じ色。

同じ形。

テレビで見た、そのまま。


「……あれ」


指をさす。


「……ほしい」


ママは、

一瞬だけ見てから言った。


「だめ」


即答だった。


「同じようなの、

 もういくつもあるでしょ?」


「……でも」


「だめなものは、だめ」


ひよりは、

それ以上言わなかった。


ただ、

もう一度だけ、

ショーケースを見る。


その日の夜。


家のドアが開く音。


「ただいまー」


ひよりパパの声。


次の瞬間。


「はい」


差し出された袋。


中から出てきたのは、

見覚えのある箱だった。


「……!」


ひよりの目が、

一気に輝く。


「かっこいい!!」


箱を抱えて、

跳ねる。


「ほらほら、

 そんなに喜ぶ?」


パパは笑って、

スマホを構えた。


「記念だから」


動画を撮る。


ひよりは、

変身ポーズをまねる。


「……とう!」


その様子を見て、

ママはため息をついた。


「……ほんとに、甘いんだから」


でも、

どこか呆れた笑顔だった。


ひよりは、

夢中で遊びながら思う。


かっこいい。

つよい。

まもれる。


それが、

すき。


後になって、

分かることだけれど。


ひよりの特撮好きは、

だいたい、

パパの影響だった。

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