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むかしばなし④:かくれんぼ

その日は、公園で遊んでいた。


すべり台。

ブランコ。

大きな木が何本も並んでいる。


「じゃあ、かくれんぼしよ!」


ひかりが言った。


「ひかりが、おにね!」


「いいよ!」


ひかりは、

ベンチの前で目を隠す。


「いーち、にー、さーん……」


その間に、

ひよりは公園を見回した。


すべり台の下。

ベンチの裏。

草むら。


「……」


ひよりは、

大きな木を見上げた。


枝が、たくさんある。


「……ここ」


ひよりは、

するっと木に登った。


手と足を使って、

慣れた動きで、

枝の上へ。


葉っぱの影に、

ちょうどいい場所。


「……よし」


しっぽを体に巻いて、

動かない。


「じゅう!」


ひかりの声がして、

足音が近づいてくる。


「もういいよー!」


ひよりは、

じっとしていた。


下で、

ひかりがきょろきょろしている。


「ひよりー?」


すべり台。

ブランコ。

ベンチの後ろ。


「……いない?」


少し困った声。


ひよりは、

木の上から見下ろした。


「……」


動かない。


ひかりは、

だんだん焦り始めた。


「ひよりー!!」


公園の端まで走る。


「……どこー!?」


五分。


十分。


ひかりは、

ベンチに座り込んだ。


「……いなくなった?」


その声に、

ひよりの耳がぴくっと動く。


「……それは、だめ」


ひよりは、

枝から、ひょいっと顔を出した。


「……ここ」


「え?」


ひかりが、顔を上げる。


「……え?」


次の瞬間。


「ええぇぇぇ!?

 なんで木のうえ!?」


ひよりは、

少しだけ得意そうに言った。


「……きつねだから」


「かくれんぼで

 それはずるい!!」


「……でも、

 みつからなかった」


ひかりは、

一瞬言葉に詰まってから、

大きくため息をついた。


「……ほんとに、

 みつからなかった……」


「……すごい?」


「すごいけど!!」


ひかりは、

指をさして言う。


「つぎから、

 木は禁止!!」


ひよりは、

少し考えてから、

こくんとうなずいた。


「……じゃあ」


「つぎは、

 ひかりも、登る?」


「登らない!!」


ひよりは、

木から降りてきて、

ひかりの隣に立った。


「……でも」


ひかりが、

ひよりを見る。


「いなくなったと

 おもったとき、

 ちょっと、こわかった」


ひよりは、

少しだけ間を置いて言った。


「……じゃあ、

 つぎは、

 すぐみつかるとこにする」


「……うん」


その日、

かくれんぼは、

「ちゃんと見えるところで」

続けられた。

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