第17話 続いていく日々
それからの日々は、
区切りを持たずに続いていった。
朝、起きる。
学校へ行く。
席に座る。
それだけで、一日は埋まる。
ひよりは、
自分が「通えている」ことを、
少し不思議に思うことがあった。
休まず、
遅れず、
同じ時間に教室にいる。
外から見れば、
何も変わっていない。
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隣の席には、
ひかりがいる日と、
いない日があった。
理由は聞かなかった。
聞けなかった。
ひかりも、
理由を言わなかった。
「大丈夫?」
「うん」
そのやり取りが、
いつの間にか定型になっていた。
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今日も、
スマホが震えた。
短い通知。
ひよりは、
画面を開いてから、
すぐに伏せた。
今日も、呼び出しがあった。
理由は書いていない。
場所も書いていない。
それでも、
行く時間だけは、
自然と分かった。
ひよりは、
予定を一つ消して、
代わりに時間を空けた。
あそこでは、
自分が何として扱われているのか、
もう考えないようにしていた。
泣いても、
声を上げても、
彼らはそれを見ているだけだった。
助けは、来ない。
それだけは、はっきり分かっていた。
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学校生活は、
続いている。
授業は進み、
テストの話が出て、
行事の準備が始まる。
周囲は忙しそうで、
それぞれの毎日を生きている。
ひよりも、
その中に混じっている。
混じれている。
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ひかりと話す時間は、
少しずつ減った。
減った、というより、
増えなくなった。
一緒に帰らない日が増え、
連絡もしなくなった。
理由を作らなかった。
説明もしなかった。
それが、
一番楽だった。
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夜。
ベッドに横になって、
天井を見る。
明日も、
学校に行く。
今日も、
呼び出しがあった。
その二つが、
同じ重さで並んでいる。
ひよりは、
それ以上のことを考えない。
考えると、
朝が来なくなりそうだったから。
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こうして、
何も起きていないような日々が、
静かに積み重なっていく。
誰にも見えないところで。




