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6.雷使いと子犬

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 唖然とするベリー達の目の前で,更に数回雷が落ちる。

 慌ててクッキーの盾を頭上に出現させて,怯える『ゆめ』を抱え込んだ。


「……明るいねぇ」

「そんなポジティブなこと,よく言ってられますね!」


 諦観ていかんの笑みでそんな事を呟くベリーに,リリーナの呆れたような声が飛ぶ。

 リリーナは視線をベリーから逸らし,周囲に視線を巡らせた。

「……この雷,魔法ですね」

「……え!?」

 ベリーが驚いたように声を上げる。

 リリーナはそれに頷きつつ,いつの間にか黒雲に包まれた空を見上げ,一箇所に向けて光魔法を当てた。

 何もないように見えた虚空に,影が現れる。


「…………女の子?」


 影の正体は,リリーナより少し年下くらいの少女だった。

 暗闇と同化するような真っ黒な服に身を包み,色とりどりの宝石で飾られた杖を構えている。

 遠目でもわかる鋭い黒曜石のような瞳は激しい感情で揺れ,全身から膨大な魔力が滲み出ていた。


「……どうしてわかったの?」

 涼やかで落ち着いた声が響く。

 その声には,感情のたかぶりを抑えるような不安定さがあった。

「雷が落ちた時に,魔力の気配を探ったんです」

 リリーナは毅然きぜんとした態度でそう答える。

 ベリーは全く理解していないという表情で『ゆめ』を無心に撫でていた。

 盾越しにそれを見た少女の目が更に鋭くなる。


「……泥棒……! ……その子を返して!」

「…………え……? ……あ,もしかして……!」

 ベリーが目を見開いて少女を見上げた。

 その腕の中で,震えていた『ゆめ』が顔を上げ,小さく鳴く。

「……もしかして,この子の飼い主?」

 リリーナが怪訝けげんそうに問うと,少女は杖を構え直してから頷いた。

「……そう。前に魔物に襲われた時,行方不明になったの。いくら探しても見つからないと思ったら……貴女達が……!」

 怒りに震えた言葉を聞いて,ベリーは流石に誤解されていることを悟る。

「ちょ,ちょっと待って? 私達はこの子をさらったりしたわけじゃないよ?」

 慌てて盾を消して訂正すると,少女は一瞬目を瞬いた後,無言で雷を落とした。

「そんな事信用出来ない! ゆっちゃん可愛過ぎて攫ったんじゃないの!?」

「…………ん?」

 リリーナは勿論,ベリーさえも思わず真顔になる。

「……可愛過ぎて?」

 思わず繰り返した言葉に,少女は力強く頷いた。

「そう。ゆっちゃんの可愛さは世界征服出来ちゃうから……」

「真顔で言い切りましたね」

 間髪入れずツッコミが飛ぶ。

 確かにこの子は可愛いけど……と,ベリーは腕の中の子犬を見た。

 丁寧に整えられているのであろう毛並みに,つぶらで純粋な瞳。可愛らしく首を傾ける『ゆめ』は,あまり動物と触れ合ったことのないベリーでもわかるくらいには可愛らしい姿をしている。

「……それはそうとして,ちょっと言い過ぎじゃ……」

 そう小さく呟いた言葉が聞こえたのか,少女は眉を寄せた。

「そんな事無いけど……。それより,ゆっちゃんを返して。返さないなら__」

 少女が静かに杖を掲げ,空に亀裂が走る。

「わぁ……!? 返すよ!? 返すから!」

 ベリーが慌ててクッキーを生成して,空に向かってそう叫んだ。

 それと同時に,ずっと腕の中に収まっていた『ゆめ』が飛び出して,少女の方に駆け寄る。

「……ゆっちゃん!!」

 空に浮かんでいた少女は残像が見える程のスピードで地上に降り,駆け寄ってきた『ゆめ』を抱き締めた。

「……感動の再会だー……」

 離れてしまい,お互いの事を思い続けていた飼い主の少女と,小さな子犬の波乱を経ての再会。

 小さい頃絵本で見たことがあるなぁ……とベリーは諦観する。


 気づけば黒雲におおわれていた空に太陽が輝き,目の前の景色が変わっていた。

 真っ直ぐに続いていた筈の一本道が途切れ,霧に包まれた巨大な砦が見える。

 大きな門に描かれているのは,犬のような黒き獣。


 困惑気味にそれを眺めるベリーとリリーナに気付いたのか,『ゆめ』と感動の再会をしていた少女が門に視線を投げた。


「……此処が私達の故郷,神狼国ヴェステリエ。色々話したいから,ついてきて」


最後までご覧頂きありがとうございます。

一言:本格的な魔法がちらっと出てきました。クッキーで雷を防ぐのは多分現実では不可能です。

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― 新着の感想 ―
クッキー100枚重ねたら雷防げるやろ!? キャサ、、が出てきたね♡ ついに次びすてぇりあ?に行くんだぁぁ ベーリィワクワク(っ ॑꒳ ॑c)
2026/01/17 16:18 ベリー本人
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