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16.蛇には危険かもしれない

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 大蛇の姿になったウェルフィマは,人間のそれとは似ても似つかない哄笑こうしょうを浮かべた。

「これが私の真の姿よ。貴女達如きに太刀打ちできる相手ではないと,その身を持って知りなさい!」

 高らかにそう告げ,七本の尾の一つが風を切る。

 切られた風が鎌のようにおそいかかり,キャサリンは慌てて避けた。

 しかし凄まじい速さで進む風は方向を変え,再び二人をおそう。

 ギリギリで避けたリリーナのローブの端が切れ,純白が暗がりに舞った。

「……防御魔法は大丈夫そうですね」

 慌てること無く冷静にそう判断し,歌い続けるゆめの周囲の防御魔法を強くする。


「こんなの魔法ですら無いわよ」

 大蛇ウェルフィマは得意気に笑い,別の尾を振った。

 周辺の空気がぜ,草原が燃える。

「……自然系を網羅もうらしてる感じ?」

 眉をひそめてそう呟き,キャサリンは尾の一つに雷魔法を打ち込んだ。

 大きいからか動きが遅く,雷が命中し,尾が千切れる。

 けれどそれは,瞬時に再生して元の長さに戻った。

 可笑おかしそうに揺れる大蛇を睨みつつ,キャサリンは思考を整理する。


「……尾が再生するなら,あっちかな」

 そう結論を出し,何の迷いもなく最高位の雷魔法を打ち込んだ。

「【一筋の閃撃(エクレトラール)】!!」

 大蛇の頭目掛けて,一本の鋭い雷が落ちる。

 轟音と共に周囲が抉り取られ,葉が揺れた。

「……そう来るってことは,そこが急所で間違いない感じですね」

 大蛇は頭上に土の壁を張って守っている。

 雷は,幾重にも重なったその壁の半分程で止まっていた。

「貴女達って本当に,野蛮で学習しないのね。私の急所がわかったから何だって言うの?」

 呆れたような声音が響き,二本の尾を振る。

 炎を纏った風の鎌が空中を踊り,リリーナとキャサリンが防御魔法を張って避けた。


「やはり学習しないのね。後ろが空いてるわよ」

 嘲るような声が響き,その金の瞳が二人の後ろに向かう。

 風の鎌が,歌い続けるゆめと,光を制御するベリーを守る防御魔法を削ろうとしていた。

「……!!」

 状況に気付いたベリーが驚いて目を見開き,手にしていた魔力が揺れる。

 何かを悟ったリリーナの表情が呆れを浮かべた瞬間,鎌が薙ぎ払われた。

「……ドーナツ,出てきちゃった」

 呆然と呟くベリーの手元に,回転しながら飛んできたドーナツ型の魔力が収まる。

 それを口にしながら,ベリーは説明を求めるようにリリーナを見た。

「いや,知りませんよ。後で絶対に勉強しますからね」

 リリーナはそう答え,視線を大蛇に戻す。

 困惑の表情を浮かべていたウェルフィマはハッとしたように怒りを浮かべ,尾が地面を叩きつけた。

「よくわからないけど,その人間の姫は危険ね。ここで始末させてもらうわ」

 地面が大きく揺れ,津波のようにベリー達を飲み込もうとする。

 恐怖で声が震えたゆめに笑いかけながら,ベリーは意識的に魔力をてのひらに集中させた。

「……えーと,【黄金の大地(フロマージュ)】!」

 何となく食べたくなったお菓子の名を叫ぶと,魔法として認識した魔力が姿を変える。

 おそいかかる大地の波を黄金の魔力が防ぎ,更に大地を飲み込もうと流れ出した。

 新たな津波となって大蛇におそいかかる黄金の波は,魔力であるためリリーナ達をすり抜けていく。

「……魔法の開発に才能があるんですかね」

 稀有けうすぎて伝説上の存在だと思ってました と付け加えつつ,呆然としていたキャサリンと顔を見合わせた。


「……どうせなら,ベリーも混ぜる?」

 そう尋ねるキャサリンは,既にそれが決定事項のように立ち位置を変える。

 リリーナがベリーの方を見ると,ベリーは少し逡巡した後,力強く頷いた。

 歌いながら不安そうな視線を向けるゆめに笑って見せ,ベリーは防御魔法の外に出る。

 途端に自分を守るものが消えた頼りなさを覚えつつ,ベリーは眼前の敵を見据えた。

「……何をしたって無駄よ。貴女達では私には勝てない」

 そう言って,ウェルフィマは七本の尾を同時に振る。

 炎を纏った風の鎌だけではなく,大地が裂け,局地的豪雨と岩が降り注いだ。

 突然の大技に驚きつつ,リリーナが新しくベリーの周囲に張った防御魔法が防ぐ。


「……簡単なことだからよく聞いてね。私達が今から大技を打つから,それに合わせて,ベリーが一番強いと思う魔法を使ってみて」

 キャサリンの簡潔な説明に,ベリーは蜂蜜はちみつ色の瞳を瞬かせつつ,何度か手を握ったり開いたりしてから頷いた。

「つまり,大きな技を三つ出して仕留めちゃおうってこと?」

「そういうこと!」

 わかった! と嬉しそうに笑い,ベリーは手に魔力を込める。

 同時に,リリーナとキャサリンも杖に魔力を込めた。

「……何をする気?」

 明らかに尋常ではない魔力の気配を感じ,ウェルフィマは慌てたように土の壁を増やす。


「じゃあ,行くね」

 魔力が溜まったのを確認したキャサリンが,そう告げた。


「【神々の怒り(ディオラ・フグリント)】!」

「【安穏の枷(ヴェイルーナ)】」

「……【銀の三叉矛(カトラリー)】!!」


 青白い巨大な稲妻と,銀の鋭い三叉の矛(トライデント)が無数に落ち,真っ白な光が草原を照らした。


最後までご覧頂きありがとうございます。

一言:ベリーの大技の名前をフォークを意味する「フォルケッタ」にするか「カトラリー」にするかを最後まで悩んでいました。

   ただまぁ,ベリーなのでこちらの方が良いかなと。

   あと多分蛇はお菓子を食べては駄目です。特にチーズとか。

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