13.多彩な魔法
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戦闘の始まりは一瞬だったが,決着までの道のりは遠い。
リリーナとキャサリンが僅かに劣勢だ。
「……何でこっちは二人なのに,あの女の人の方が強いの?」
ゆめが首を傾げて問うと,隣で観戦していたベリーは少し考えてから口を開く。
「……魔法を使った戦闘には,相性っていうのがあるってリリーナが言ってた」
実際ベリーの記憶は正しい。キャサリンが使用する雷魔法と,ウェルフィマが使用する大地を使った魔法は相性が悪いのだ。
ウェルフィマは暴風のように,大地を使う以外の魔法も使用出来る。
けれど今までは大地を使う魔法以外使用していない。
それは単純に,雷魔法に対して優位に立てるからだ。
「一つの魔法を極めるのも良いと思うわ。けど,多彩な相手と戦う為の方法は考えておかないと……この生存競争は生き残れない。違う?」
高らかに告げながら,ウェルフィマは一瞬,ベリーとゆめに視線を向ける。
その隙を見てキャサリンが雷を打つが,ウェルフィマの頭上を覆う土の板は魔力が通っているため,雷を遮断した。
「……勝てなかったらどうなるんだろう」
「その時は全力疾走だね」
ゆめ,が不安そうに呟くと,ベリーは拳を握ってそう笑う。
今はリリーナの防御魔法に囲まれているため,ウェルフィマの攻撃はベリー達に届かない。
けれどリリーナが敗北すれば,魔法は解除される。
その時はとにかく逃げるように教えられていた。
「大丈夫ですよ。そんな事態にはさせませんから」
会話が聞こえたのか,飛んでくる土の欠片を弾いてキャサリンを援護していたリリーナが答える。
「安心してゆっちゃん! あんな奴私が粉微塵にするから!!」
良い笑顔でそう言い切って,キャサリンは空中に浮かび,杖の先端を彩る宝石飾りに魔力を込めた。
周辺の空気が爆ぜ,青白い電流が杖を取り囲む。
「【雷の遠吠え】!」
曇り空を激しい電流が焼き焦がした。
犬の牙のように全てを噛み砕こうと降り注ぐ雷は,ウェルフィマの頭上を覆っていた大地を粉砕する。
驚いたように頭上を見上げるウェルフィマを容赦ない電流が襲い,周囲の大地が粉微塵になった。
「……驚いたわ。私の魔術を壊すなんて」
土煙の中からそんな声が響く。
「……驚いたはこっちの台詞。あれは私が五年かけて生み出した対人用魔法なんだけど?」
キャサリンが呆れたように呟いた。
ウェルフィマは,全くの無傷でその場に立っている。
外套が僅かに焦げているが,外傷は見られない。
「……確実に人間ではありませんね。魔王四天王ということは,魔族でしょうか」
リリーナが冷静に分析し,そう述べる。
ウェルフィマはそれに否定も肯定もせず,ただ一言だけ「人間ではないわね」と言った。
「さて。そんな大技を見せてもらったなら,こちらもお返ししましょう」
そう言ってウェルフィマは口の端を釣り上げる。
金の瞳が僅かに揺らめき,紺青の髪が存在しない筈の風に靡いた。
「【灼熱の道】」
徐ろに告げられた言葉に,キャサリンとリリーナが身構える。
次の瞬間,大地が沸騰した。
大地に走っていた亀裂から,溶岩が溢れる。
「わぁっ!? 熱い!」
防御魔法の内部には溶岩は届かないが,熱気が押し寄せた。
慌てて防御魔法を張り直し,リリーナは対物理用の防御魔法を次々展開する。
「……信じられない魔法規模ですね。どうします?」
リリーナが問うと,上空に避難していたキャサリンは少し考え込むように視線を伏せた。
「……これだけの魔法なら,術者の気が逸れれば解除されるはず」
「了解です」
キャサリンの答えに軽く頷き,リリーナは杖に更に魔力を込める。
「魔力だけなら無尽蔵にありますからね」
そう呟きながら,リリーナは無詠唱で杖の魔力を打ち出した。
基本的にリリーナは防御と回復に特化した治癒者だが,彼女の魔法の師は違う。
師に与えられた魔法には,攻撃魔法も少しだけ含まれていた。
何故リリーナは攻撃魔法を使用しないのか。
それは純粋に,適性がないからだ。
適正のない魔法は使えないし,威力も弱くなる。
けれどリリーナは,今回のように注意を引き付けるだけならば,申し分はないだけの魔力量を誇っていた。
「【安穏の枷】」
『治癒者の為の攻撃魔法』と言われるその魔法は,辺り一帯を巨大な光で塗り潰した。
最後までご覧頂きありがとうございます。
一言:魔法考えるのは楽しいですね。覚える気? 勿論全くありません。




