1.プロローグ
はじめましての方ははじめまして。
はじめましてではない方は此方もご覧頂きありがとうございます。
冬桜美狐です。
この物語は長編となる気がしますが,何卒ご愛読願います!
なお,私の代表作は「〜アニメという名の異世界 実は裏設定が半端ない〜」ですので,こちらの更新は気長に待って頂けると幸いです。
誤字,脱字報告受け付けております。見つけた際は遠慮なく報告して頂けると幸いです。
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とある大陸の国の一つ「グラッセリア王国」__通称“お菓子の国”には,一人の王女がいた。
その名はベリー・グラッセ・ミエルベル。
キャラメルのような柔らかなウェーブがかかった髪は光を受けて黄金に匹敵する輝きを放つ。
年相応に明るく好奇心に満ちた大きな瞳は,深い蜂蜜を閉じ込めたような温かい色合い。
ふとした事で直ぐに笑みを作る表情の中で,琥珀色の瞳が揺れるように光る。
彼女は王女という立場にありながら,両親の方針で純粋無垢で好奇心旺盛な女の子に育った。
気になるものを視界に入れれば,すぐさま軽やかな足取りで駆けていく。
それを慌てて追いかける召使い達の姿も,王宮では日常となっていた。
けれど,そんな魅力溢れる国の光である彼女にも,欠点があった。
「今度こそ! 絶対成功させるんだから!」
王宮内でそこそこの面積を占めるその空間につけられた名は,「王女厨房」。
王女専用の厨房である。
「姫様,本日は何を?」
召使いが問うと,ベリーはふふん,と笑って答えた。
「ベリーね,『しょしんにかえる』をしようと思うの。リリーナが困ったときはそれが良いって」
そう言われて,召使いは共にベリーを見守っていた女性に視線を向ける。
リリーナ・リサイエリーべ。
若く実戦経験の少ない回復特化の治癒者で,グラッセリアにある教会の神官だ。
幼い頃から友人として,あるいは教師としてずっと傍にいる,ベリーが心を許せる人の一人である。
視線を向けられたリリーナは少し困ったように眉を下げたあと,淡い緑の瞳を伏せて苦笑を浮かべた。
「ベリー姫様はどうも……料理の基礎を分かっていないように見えまして」
召使い達に納得したような空気が流れる。
それにベリーは少し不満そうに口を尖らせてから,ボウルに何かの粉を入れた。
爆発。
沈黙が満たす。
「……ベリー? 今何入れたの?」
リリーナの穏やかな笑みが引きつっている。
「あ……えーとね,そこにあったやつ! 小麦粉かなって思って……」
しまったというようにベリーがそう言って台の上を示した。
「……姫様に初心に帰るのは難しそうですね」
召使いの声が絶望的なまでに響いた。
お菓子の国と称されるグラッセリアの国民は,皆一様に料理・お菓子作りが上手いと言う特徴がある。
それこそ老若男女問わず,勉学よりも料理を先に学ぶ子供までいる程だ。
そんな国にも関わらず,ベリーは全く料理ができない。
料理道具を手にすれば,焦げて溶けて割れて爆ぜて……。
だが,そんな彼女には得意なことがあった。
それが魔法だ。
この世界の人間の大多数は魔法も魔力も持たないが,由緒ある家柄の者や,力ある者,そして魔族は,魔力を持ち魔法を扱う。
ベリーは魔法を使える者が少ないグラッセリアでは珍しく,幼いながらも完璧に魔法を使いこなしていた。
勿論自身も魔法を使うリリーナの指導もあるだろうが,基礎のない者は大成しないし身につかない。
……ベリーの料理の才能のように。
お菓子作りは諦めて,ベリーは部屋に戻る。
部屋の外は此処最近ずっと騒がしい。
「……魔王軍の侵略,だっけ」
ベッドに座って,ベリーは呟く。
大きな苺の抱き枕を膝に乗せて,窓の外を眺めた。
騎士達が慌ただしく走り回り,避難してきた国民の列が見える。
魔王。
数年前に起こった魔族の戦争で勝利し,魔族達を従え頂点に君臨している。
やがて人類に牙を向き,人類の国々を侵略し始めた。
既に周辺の国々が幾つも魔王軍に蹂躙されていると聞く。
グラッセリアは建国以来最大の危機を迎えていた。
最後までご覧頂きありがとうございます。
一言:まずは挨拶的に主人公の説明です。
これからベリー共々何卒宜しくお願いします!




