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【 月狂犯 】〜届かない終幕と死者の貴方へ〜  作者: 伊東之俺
【第〇幕・ツバキ姫と主演者】
1/4

オープニング

生来、凡庸で素朴、特に卓越した才も無く、日々を漠然に過ごす、入学したてのピカピカの新高校生。それが俺、宇土原明羽うどはら あげは。




入学して数週間の昼下がり、今日の空は機嫌も良く快晴で、麗らかな太陽の微笑みが満遍なく渡る小春日和だから…まあ、格好を付けたくてつい詩的な表現をしてしまったがつまり、天気が良いから、とその日は友達の誘いを断って一人屋上で弁当を食す事にしたんだ。




屋上での食事って、憧れるよな、青春って感じするよな、ドラマとかでもよく見る。そこに居る人みんな賑やかでいいよな、けれど、液晶画面に映る屋上より、この学校の屋上は幾千倍汚くって虫もチロチロと居るし、偶に弁当をかっさらう悪知恵の効いた鴉も居るからあまり人が居る想像はし難い。




この学校はかなり歳を食っている、若い頃は多くの学生が訪れたのかもしれないが、今は。




それでも今日、ここを食事の場にした理由は俺にも分からない。普段は行くのさえ嫌がってちっとも来た事が無いのに。ただ、今日、ここで何か因果めいた、運命めいた、そんな、新しい友との出会いの予感のような物を勘が訴えるのだから、仕方なく来てみたのだ。




あと何よりも天気が良い、こんな天気なのに屋内で過ごすのは勿体ない。あれは友達を撒く言い訳じゃなかったのかって?言い訳じゃ無いぞ、今日は絶好の日向ぼっこ日和だ。流石にこんなに汚れた場所では横にもなれないけど、ほら今虫が地面を駆けてった。




塗装の肌が落ちて、コンクリートを露出させた壁に背中を預ける。




胸を踊らせヒノキ弁当の蓋から中を覗いてみれば、なんと卵焼きが弁当一面に敷いてあった。卵焼きは好きだ、特に、甘い味付けには思わず虜にされてしまう。




常に刺々しいが、時たま情に満ちる、世間にはツンデレと呼ばれる妹が朝日も昇りきらない時間にせっせと作ってくれた弁当だ。別に料理が特段上手い人間でも無く、寧ろ細かい作業を忌避するような人間だったのだが、この頃はなんと料理などを好んでやるようになってきた。何が理由なのか知らないが。




3ヶ月前の弁当は中身の殆どが炭と化していて、その炭の中に若干の甘みや(チョコチップクッキー)辛味 (チャーハン)を微かに感じられる程度の仕上がりだったのが、勉強してここまで成長している!卵焼きはちゃんと長方形の姿を取っていて、黄色の肌をしている。




嬉しいよ兄は、いつも氷のように冷たくて淡々としててトゲトゲしいお前にも熱中出来る物ってあったんだな。感動に震えつつ砂利の様な食感の、塩味に支配されたそれを噛み締めた。




その時だった、扉から人の影が現れたのは。




「誰?」




不協和音の声色、全身に黒の霧をぐるりと纏わせた謎の生物。




その時、くらり、と浮遊するのに近い感覚を覚える。




視界が霞む、間もなくして空の色が真っ青に染め上げられた。太陽が真っ赤に、遠くに見える木々が真っ緑に。世の全てが三原色に変態する。




「え…だ…い…?」




物の輪郭が不明瞭になっていく、頭は未だ痛覚を主張し続けている。止まない、止まない。




最後、ついに意識を手放したその間際、俺の鼓膜が小さく震えた、アレは、多分、






ブザーの音。
























「お集まりの皆様、今宵、アサイラム座で、不可思議で、優雅で、恐ろしく、感動的な喜劇を!




そして終幕カーテンコールには、月狂ルナティックになりつつも演じ終えた役者達に盛大な拍手を!素敵な大団円を共に祝いましょう!




この終わらぬリンカーネーションの中で!」






















演目︰月狂犯 (ルナティック犯)。


・主役:宇土原明羽


・女主役:


・副主役:



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.


︎︎ ︎︎
















・���:泡沫 雫

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