最後の日
「ん? どうしたんだよ」
「うん。ちょっと」
「こんなところに呼び出してさ」
あたしは健太を呼び出した。
屋上に。
学校で人が来ない場所はここしかない。
「ごめんね」
「なんのことだよ?」
後ろから飛び出してきた木下さんが健太を押さえてくれる。
「木下さん⁉ 何するんだよ」
「時間がないわ。急いで」
「健太、ごめんね。あたしがこんな呪いをしたばっかりに……」
あたしはバックからナイフを取り出した。
「おい。のぞみ。冗談だよな」
健太は顔を真っ青にする。
「健太はドッペルゲンガーなんでしょ」
「ドッペルゲンガー? そんなわけないだろ」
「嘘よ。だって健太がそんなに都合よくあたしを好きになってくれるはずないじゃない」
「信じてくれよ。俺はドッペルゲンガーなんかじゃない」
ドッペルゲンガーはみんなそういうのだ。
成り代わった人間の魂を奪うため。
皆を不幸にするために。
「今助けるからね」
あたしの所為だけど、
ちゃんとあたしが助けるから。
あたしは、ぐっとナイフを握りしめ、
健太を刺した。
ナイフを引き抜くと
健太は倒れ
ドクドクと胸から血を流した。
健太は死んだ。
「これであたしの影が戻って……」
こなかった。
「ど、どうして……」
どうして。
これで呪いは解けて、
本当の健太が戻ってくるはずじゃ……。
「あはははは」
笑い声が聞こえる。
近くから。
あたし以外にこの場にいるのはただ一人。
木下さんだけ。
木下さんの口角は信じられないほど上がり、
口を三日月のようにして笑っていた。
「あーあ、しんじゃった」
木下さんは、冷たく言った。
「こんにちは、私の本体」
ゆらゆらとまるで姿が影のように揺れていた。
「あなたがドッペルゲンガー」
「そうよ」
「どうして、あたしの望みを叶えてくれるはずじゃ……」
「願いは叶ったでしょう」
確あたしはここで願ったのだ。
『健太と恋仲にしてほしい』と
願いは今破局した。
なにも叶っていない。
「ふふふ、私はあなた以上にあなたのことを知っているもの」
「なにを?」
「あなたの本当の望みは、『彼女が消えること』でしょ」
木下さんの姿をしたなにかは言う。
「あなたは、彼女に勝てる自信がなかった」
「健太君は本当にあなたのことが好きだったのに」
「彼女がいる限り取られるかもしれない恐怖があったんでしょう?」
心の片隅で、木下さんがいなければって思っていた。
だけど、そんな……。
「これで健太君は永遠にあなたの物。よかったわね」
「ふざけないで!」
私は健太を刺したナイフを握りしめ、彼女に向かう。
ゴーン
お昼休みが終わる鐘が鳴り響く。
「残念でした。ごちそうさま」
言葉だけが残り、
あたしのナイフが虚空をかすめた。
彼女は文字通り、影も形もなくなっていた。
「あ、ああああ」
屋上に残されたのは、あたしと健太の死体だけ……。
あたしはふらつく足取りで、フェンスに近づいていき……。
そして……。
■ ■ ■
次の日の新聞
遠岸健太君は飛び降り自殺した北居のぞみさんが殺したと考えられている。
また北居のぞみさんのの死体に影がないことからドッペルゲンガーを使用容疑も疑われており、
行方不明の木下美雨さんにも関与していると思われる。
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