7日目(月曜日)
話しましょう
木下美雨
090-××××-〇〇〇〇
たったそれだけ書かれた手紙が置かれていた。
電話をかけると静かな声で、喫茶店の場所を指定された。
私が喫茶店にむかうと彼女は席で、紅茶を飲んでいた。
あたしは、向かいの席に座って、同じものを頼んだ。
あたしは、運ばれてきた紅茶に口をつける。
ほろ苦く、あたしは好きではなかった。
店員が遠くに言ったのを確認して、
開口一番、彼女は言う。
「あなた、ドッペルゲンガーの呪い使ったでしょう」
木下さんは、携帯の画面を見せてくる。
あたしが呪いを見つけたサイトとおんなじサイトだった。
「健太君が本当にあなたを好きになったのなら私は諦めるわ」
瞳に力があった。
「でも、あなたがドッペルゲンガーの呪いを使って健太君をドッペルゲンガーにしたのなら私はあなたを許さない」
純粋な怒りに目をそらす。
「行方不明者が本当に何人も出てるの知ってるわよね」
「うん……」
「行った本人ではない人が行方不明になってるのよ」
だって、そんな本当に呪いがあるなんて思わなかったのだ。
つい出来心で……。
「いつなの? 呪いを使ったのは」
「先週の火曜日……」
「そんな。もう時間がないじゃない」
木下さんは顔を真っ青にする。
「ということは7日目は今日。それなら健太君は……もう……使った具体的な時間は?」
「お昼休みが終わるころだったと思う」
確かお昼休みの終わりを告げる鐘が鳴っていた
「厳密には、明日の昼休みまでということね」
サイトには、七日間(168時間)と書いてある。
木下さんが言う通り期日は、明日の昼まで。
昼が来れば、健太はどこにもいなくなる。
だけど……。
もどってきたとしても、あたしを好きな健太はどこにもいないかもしれない。
「健太君が戻ってきたら、私を好きかもしれないし、あなたを好きかもしれない」
「あなたは美人だし、本当の健太は……」
「だってあなたはずっと健太君と一緒にいたのでしょう。私には思い出はないもの」
木下さんが悲しそうに言う。
「私と付き合ってくれたのは数日だったけど、健太君はその間ずっとあなたのことばかり話していたわ」
木下さんは、あたしのことが羨ましいという。
「私は健太君を助けたい。あなたはどうしたいの?」
本当は楽しかったはずのデートも、影がないだけでビクビクしていた。
後ろめたさがずっと呪いをしたあの日から付きまとっている。
あたしだって、
楽しさも、辛さも本当の健太と積み上げていきたい。
それに、健太がいなくなってしまたら、何もできなくなってしまう。
「あたしだって助けたい……」
「助けましょう、健太君を。恋のライバルとして戦うのはそれからよ」
「……うん」
健太には生きていて幸せになってほしい。
あたしと一緒の未来じゃなくても。




