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望みは影より来りて  作者: 名録史郎
8/9

7日目(月曜日)

話しましょう

木下美雨

090-××××-〇〇〇〇


 たったそれだけ書かれた手紙が置かれていた。


 電話をかけると静かな声で、喫茶店の場所を指定された。


 私が喫茶店にむかうと彼女は席で、紅茶を飲んでいた。


 あたしは、向かいの席に座って、同じものを頼んだ。


 あたしは、運ばれてきた紅茶に口をつける。


 ほろ苦く、あたしは好きではなかった。


 店員が遠くに言ったのを確認して、

 開口一番、彼女は言う。


「あなた、ドッペルゲンガーの呪い使ったでしょう」


 木下さんは、携帯の画面を見せてくる。

 あたしが呪いを見つけたサイトとおんなじサイトだった。


「健太君が本当にあなたを好きになったのなら私は諦めるわ」

 

 瞳に力があった。


「でも、あなたがドッペルゲンガーの呪いを使って健太君をドッペルゲンガーにしたのなら私はあなたを許さない」


 純粋な怒りに目をそらす。


「行方不明者が本当に何人も出てるの知ってるわよね」


「うん……」


「行った本人ではない人が行方不明になってるのよ」


 だって、そんな本当に呪いがあるなんて思わなかったのだ。

 つい出来心で……。


「いつなの? 呪いを使ったのは」


「先週の火曜日……」


「そんな。もう時間がないじゃない」


 木下さんは顔を真っ青にする。


「ということは7日目は今日。それなら健太君は……もう……使った具体的な時間は?」


「お昼休みが終わるころだったと思う」


 確かお昼休みの終わりを告げる鐘が鳴っていた


「厳密には、明日の昼休みまでということね」


 サイトには、七日間(168時間)と書いてある。


 木下さんが言う通り期日は、明日の昼まで。


 昼が来れば、健太はどこにもいなくなる。


 だけど……。


 もどってきたとしても、あたしを好きな健太はどこにもいないかもしれない。


「健太君が戻ってきたら、私を好きかもしれないし、あなたを好きかもしれない」


「あなたは美人だし、本当の健太は……」


「だってあなたはずっと健太君と一緒にいたのでしょう。私には思い出はないもの」


 木下さんが悲しそうに言う。


「私と付き合ってくれたのは数日だったけど、健太君はその間ずっとあなたのことばかり話していたわ」


 木下さんは、あたしのことが羨ましいという。


「私は健太君を助けたい。あなたはどうしたいの?」


 本当は楽しかったはずのデートも、影がないだけでビクビクしていた。


 後ろめたさがずっと呪いをしたあの日から付きまとっている。


 あたしだって、


 楽しさも、辛さも本当の健太と積み上げていきたい。


 それに、健太がいなくなってしまたら、何もできなくなってしまう。


「あたしだって助けたい……」  


「助けましょう、健太君を。恋のライバルとして戦うのはそれからよ」


「……うん」


 健太には生きていて幸せになってほしい。


 あたしと一緒の未来じゃなくても。

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