6日目(日曜日)
「映画どうだったか?」
「うーん。ぴんとこなかった」
「だよな」
背伸びして恋愛映画を見たのがいけなかったかもしれない。
普段は二人でアクション映画ばかり見ているのに。
「今度は家で見るみたいなやつ見ようぜ」
「そうね。それがよさそう」
今度……そう今度だ。
映画館なんていつだって来れるはず……。
デパートをでてゆっくり歩いていると、
健太が立ち止まっていった。
「手をつなごうぜ」
健太が手を伸ばしてくる。
「普通、自然につなぐものじゃないの?」
「いいだろ。昔は遠足でもつないだだろ?」
「どれだけ昔のこと言ってるのよ」
あたしは、仕方なさそうな振りをして手を伸ばす。
昔よりも大きな手。
昔と違うつなぎ方。
いつもは待ってくれないのに
今日は歩幅を合わせてくれる。
隣を見ると、ちょっとだけいつもより大人びて見える。
ゆっくりと心が満たされていくのを感じる。
「夕日綺麗だな」
「そうね」
あたしは進んでいく方向に沈んでいく太陽を眺めて、はっとした。
デートコースは、帰りのことまで考えていなかった。
慌てて、あたしは、自分の後ろを見た。
本当なら、影が伸びるはずなのに、影が一つだけ。
私の後ろに影はない。
「どうしたんだ?」
「ううん。なんでもない」
あたしは健太が振り向かないように気をつけながら歩く。
お願い早く沈んで……。
あたしがそう願いながら歩いていると、
向こう側から歩いてくる人が見えた。
「木下さん……」
健太が気まずそうに、視線をそらす。
木下さんは何も言わず、悲しそうに目を伏せて通り過ぎた。
通り過ぎてからしばらくして、
あたしが振り向くと木下さんがあたしたちを眺めていた。
なにも言わなかった彼女は、あたしの足元をじっと見つめていた。




