2日目(水曜日)
次の日の放課後、いつもの感じで健太が声をかけてきた。
「一緒に帰ろうぜ」
「だから、彼女がいるのに、もうファミレスは一緒にいけないって言ったでしょ」
恋人でもない異性と、ファミレスに行くのはよろしくない。
芸能人が世間であれだけ叩かれているのだ。
学校でどれだけ健太が酷いことをいわれるかわからない。
「そうだよな。彼女がいる奴が、他の女とファミレス行くのは変だもんな」
「うん。そう」
「だから、別れて来たよ」
「えっ?」
「ならいいだろう?」
「い、いつ別れたの?」
「昨日の夕方だけど、それがどうしたんだ?」
昨日呪いの儀式をやってすぐ……。
なら、今の健太は……。
健太を観察する。
跳ねた髪。
犬みたいに人懐っこい顔。
いつもと変わらないように見える。
変わったのは……。
「なっ? いいだろ」
健太は、私の肩に手を置いた。
距離感。
まるで恋人のような距離。
頬が熱くなるのを感じる。
「木下さんあんなに自慢していたのに」
「うーん。やっぱり合わなかったというか。のぞみが悲しそうな顔しているのに、耐えられなかったというか。家に帰って自覚したわけよ。俺が好きなのは、やっぱりのぞみだったって」
「うれし……」
私は自分の足元を見つめた。
影がなかった。
太陽を浴びた健太の影がいつもより濃く見えた。
私は固まってしまう。
「ははは、やっぱ、俺じゃダメか?」
健太は、困ったように、頬を掻く。
「そんなこと……」
ないと言おうとして、うつむく。
「ファミレスは行くだろう」
「うん……」
健太の影が笑っている気がした。




