1日目(火曜日)
普通こういうたぐいの呪いをするのは夜ではなかろうか。
携帯にメモした内容を見る。
方法はこう書かれていた。
『太陽が一番高く上った時に、自分の影に沿うように地面水で濡らし、願いを言う』
それだけだった。
昼間に怪しげなことをして、怒られないのは、屋上しかない。
あたしは、しっかり鍵のかかっていない屋上への扉を開くと外に出る。
しっかりフェンスもあるので、屋上使ったらだめだなんてしなくていいのに。
「でも、だからこそか」
だからこそ、人は誰もいなかった。
「一番高くっていつだろう。でもどうせ昼休みしかできないし」
そう独り言をいいながら、呪いを実行する。
必要なのはペットボトルの水だけ。
わらと釘なんて怪しげなものは必要ない。
ダメで元々。
ぽつりぽつりと
立ったときの自分の影を確認しながら
丁寧に、水で地面を濡らしていく。
「おもったよりたいへんだなぁ」
指先で濡らしながら独り言ちる。
筆を持ってきた方がよかったかもしれない。
でも何ももっていなければ、見つかった時ペットボトルの中身をぶちまければいいので、言い訳はしやすかった。
結局、休み時間が始まってすぐ来たのに、もうすぐ終わるころまでかかってしまった。
寸分の狂いもなく濡らしたところが影に重なった時、
望みは神社で願いを伝えるように言った。
「健太と恋仲になれますように」
風が吹いた。
ただいつもと変わりはない。
特になにか起きた気がしない。
「こんなんでドッペルゲンガーが生まれるわけないか……」
普通に神社にお参りに行ったほうが良かったかもしれない。
あたしは何をしているのだろうか。
あたしは、ため息をついて、
学校の中にに戻ろうとする。
ゴーンと昼休みが終わる鐘が鳴った。
ふと足元を見る。
あたしの影がなくなっていた。




