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沈む船  作者: みしまゆみ
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ある一人の放逐

皆さんは白い巨塔などの病院物を読んだことはおありだろうか。

主人公が最後は失脚して終わる物語が多いと思う。

この物語は一人の医師が立場を失いそれが引き金となって一つ一つが病院の滅びへと向かう物語である。

病院というものは一人の医師だけで開業しているとその医師が業務ができなくなれば一瞬で患者が放り出される。

特にクリニックという形態の病院では致命的なことになる。

この病院は医師が一人抜けても何人か代わりの医師がいる大きな病院だ。

しかし、柱の一部ずつが抜けていくとそれは大きなひずみとなる。

ひずみの結果、あわや廃院に追い込まれたこの病院の記録を書いて行こうと思う。

どんな組織でも起こりうること、ましてや病院でも何が起きるか背筋が凍る。


※この物語はフィクションです。

いかなる個人、団体とも関係ありません。

木の峰記念病院の医局長が開業するにあたり事務員と看護師を一人ずつ引き抜いたことが院長に知ることになり強制退職となった。

一部役職がある医師には開業時にスタッフを引き抜いてはいけないという条項が契約に盛り込まれていることが多いのだが、医局長もスタッフ引き抜き禁止条項が盛り込まれていたからなのである。あろうことか開業するということも院長に伝えらていなかった。


世間的に医師が開業する病院の物件は開業の1年前~半年前から探しておくのがよしとされる。開業準備に充てられる期間がその程度必要だからだ。

医局長が物件を探していることは院長の耳に入っていた。複数人医師が所属する病院には開業する医師がいてもおかしくはないのだが医局長は以前からそういう話をしたことはなく将来的には院長になるであろうと考えられていて院長の不信を買っていた。

院長は医局長を院長候補として育てた気持ちがあるのでより一層医局長に当たる気持ちが強くなるのだ。


医局長に強制退職を命じたものの医師というのは患者を持っているので別の医師に引き継ぐまでは医局長は出勤しなければならない。皆事情を知っているので非常に気まずい。

医療ドラマなら「この病院を立ち去れ!」と追い出されるものだが現実はさらに厳しい。


医局長の担当の患者はそれぞれ別の医師に振り分けを宣告される。

突然の宣告に従う患者、医局長が開業したらそちらに行くと言う患者もいる。不満を言う患者の中にはクレーマーが見られるようになった。

受付に陣取って怒鳴っている。

他の患者がクレーマーを不安げに見る。

この件はこれだけですまなかった。

SNS上に「木の峰記念病院が医局長を強制退職」と書きこまれすぐさま炎上したのだ。

木の峰病院の患者だけではなく関係ない世間に知れ渡ることになった。

木の峰病院の関係者ではない者からのクレーム電話やはたまた脅迫電話がかかってくるようになった。

このことが病院経営にも少しずつ影響してくるのであった。



クリニックの医師が倒れて閉院になった経験がありそこをモデルに書いています。

不快になられた方申し訳ございません。

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