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プロローグ:何度も

石壁に囲まれた、不気味な地下室。


地面には大きなおまじないの模様があって、幼子(ぼく)を中心にまあるく描かれている。


まんなかの(ぼく)は、初めて経験するおまじないの中で、感じたことのない苦痛にもだえていた。



ぱり、ぱり。

全身のひふの、そこらじゅうにちいさな裂け目ができているようで。


ふさごうとして動かしたうでに、長い長い一本のひびが走ったような気がして、おどろいて倒れこんだ。



─────どうして、みているだけなの。



おまじないの模様が、強くひかる。


身体中に大きななにかが流れ込む。

まるで、いっぱいのぐねぐねしたいきものが、(ぼく)の中を這い回っているようだ。


ちょっとでも息をつくと、(ぼく)のカタチがなくなってしまうような気がして、くるしかったけど、頑張って目の前の二人を見上げた。


一人(おとうさん)は、じっとおまじないに手をかざしながら、なにかをつぶやいている。

もう一人おかあさんは、その肩に手を置いて、まっすぐに(ぼく)を見つめている。


声を出したつもりだったけれど、うまく体が動かせなくて、動かないでいるのがせいいっぱいだった。



"或いは、逃げ出すだけの余力でも残っていたら何かが違ったのかもしれないが、そんな事を問いかけても、過去は答えなどしない。"



おまじないに、いっそう力がこめられる。


きらきらして、びりびりして、それがとても恐ろしかった。



ぬるり、と。

(ぼく)の中に、ぼく以外のなにかが流れ込む。



『風のように駆け抜けた草原』


『見事な星空を友と仰いだ夜』


『初めて人を□した両手の感触』


『愛する人が目の前で□□□□になる悲しみ』



しらない景色、しらない時間、どうと押し寄せる未知に自分が塗りつぶされそうになって、必死に(ぼく)のカタチを支えた。



『砕け散った岩の中から『ヒュッと若い木を薙ぎ倒すと『大空から見下ろす町は『濃霧を吹き飛ばして『友の背を借りて波を『頑丈な岩がずしりと『崖を一息に駆け上がって『荒々しい滝の流れに逆らい



─────ちがう。



『頑丈な『生い茂る『鍛えられた『奔流が『ぞくりとする『鋼鉄の『芯まで凍る『稲妻が瞬き『羽音に囲まれ『大地が揺らぎ『爆炎の中『手も触れずに『世界の頂点から


─────ちがう。


『湖の『風が『森に『海『頬を『眩し『光『妖し『波『轟『異音『手を『温『こちら『微か『眼が『斬り『星の『目の前『颯爽『重く『どくん『押しの『刃『闇夜『転が『背後『腕を『怒

─────ちがう。

『剣を『睨み『空『既に『焼け『命『契約『握った『騒がし『濡れ『拳に『緩慢『降る『壁を『夢に『貫『見『呪『道を『巨大『毒『聖な『水『反転『迷い『内側『城壁が『炎『ゆらり『霞む『雫『月『振り『痛『落ち『深紅『満ち『風『無尽『車輪が『泥『唱え『狙い『暗い『曇『叫ん『踏み

─────ちがう。

『爪が『黒い『明滅『緊張『深く『痣『喉に『見上げ『翼『惑う『笑い『灰に『翡翠『高く『太陽に『整っ『歩い『縄『確かに『後ろ『奏でる『信じ『遠く『影『追い『杖『刺し『狩る『抱き『蝋燭『毛深い『じっと『足元『疑『燃え『逆手『弓を『掴む『遥か『たなびく『山に『二つ『向こうに『駆け『地下『音も『するり『瞬き『散り『糸『綺麗『時『友『憎し『血を『朝日『傷を『捧ぐ『因縁『大樹『証『威光『望み『放たれ『畔『寒『崖『力『祈『魔『気『裏『静『熱『雪『岩『集『葉『灯『滾『色『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『


─────ぜんぶ、しらない。








"思えば、この時初めて、□□の□に触れたのだろうか。"








古傷をなぞった痛みで呼吸を思い出す。

もう何度目かも分からない、いつもの目覚め。

呼んでいただきありがとうございます!!!!!!!!!!!!

感想などあればぜひ。

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