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お題1-1:「冷たい風が頬を刺す」で始まり「やっと言えた」という台詞で終わります。1

挿絵(By みてみん)


冷たい風が頬を突き刺す。いや、冷たい氷剣が頬を貫くようなそんな寒さの中、一人の少年が道を歩いていた。


 彼の名は「リーナシア」伸びすぎた黒髪を後ろで束ねている。

たまに自分で切っているのか髪の先端はバラバラだ。


 細身で筋肉質、背納(バックパック)に革鎧とショートソードを装備している。容姿は可もなく不可もなくと言った所。十人並みと言えば良いだろうか?


 冒険者に登録したものの、日が浅く経験も少ない為、簡単な雑用仕事しか出来ないでいた。

次の昇級までは、まだまだ時間が掛かりそうである。


 週に一度広場で開催される武術訓練を受けるのが少ない楽しみのひとつである。



そんなMOBキャラをいや、彼を観察して行こうと思う。


1.

 今年の冬はのんびりと休暇を取る予定だったのだが、初の単独討伐依頼を失敗し、違約金と治療費で越冬資金を失った。


その為、定宿の宿『荒くれものどもの巣窟亭』から、小銭を稼ぐために都市の中央下部にある冒険者ギルドに、とぼとぼと向かっていた。


 しばらく歩いていると風が出始めて一気に空が曇り、ちらちらと雪が降り始める。


「……雪かよ…… くそ寒ぃ…… 早く帰りてぇ、何よりも天気変わりすぎだろっ」


 寒さでガクガク震える体を抑えながら、足早にギルドへと向かうが、だんだんと風が強くなり始め吹雪いてくる。


 「何でだよ。さっきまで良い天気だったろうが……付いてねぇ……何より面倒くせぇ……取り敢えず、帰りてぇが、呼ばれてるから、とっととギルドに行って暖まらなきゃな……」


 寒さで体が動かなくなってくる。まずい町中で遭難とか笑えねぇ。つか皆に笑われるし、いろんなモノをなくす気がする。


 たかが数百mの距離がとても遠く感じる。

 あと、少し…… 50m…… 前が見えなくなる程に吹雪始める。


……30m…… あと10m…… 寒い死ぬ……意識が飛びそうだ……

あと10cm扉を開けるだけだ……指が扉に掛かる瞬間


 ドガッと勢い良く扉が開き、衝撃と共に俺の体が中に飛んだ。


「!?ぶべらぁっ! おぇッ!?」


 突然の衝撃と縦に廻る視界。宙を飛んでるような感覚、

飛び散る鼻血が、吹雪の中で舞い踊る(美しく飛び散る)

そう、俺は流星になったのだ。お星様になったよ(キラーン)

……たぶん。


そして、「メテオ(メテオストライク)!?」ドガッと派手な音を立てて、壁に見事にめり込みながらの顔面からの着地。


 「あっ!? リーナ大丈夫かっ!?」

知ってる誰かの声、小走りに近付いてくる足音。

俺の意識は、そこで消失した。


2.


 何かに追われるような夢……何かのうなり声や、鳴き声が聞こえる。

石造りの通路を仲間と逃げている。追い付かれた仲間が激しい一撃を喰らって首が180度無理やり回転する。


 「……!!」


名前を読んだ筈が、ヤベェ……仲間の名前出てこねぇ。

つか、頭半分ねぇだろっあれっ!? 冗談じゃねぇぞ。


こんなのあり得ねぇ。いや、何よりそんなヤバい仕事を俺が受ける筈ねぇし。


 安全第一、情報収集し石橋を爆破してから渡れがモットーなのだから、恐らくこれは夢だ。夢なんだ! っと叫ぶ。

そして、次の瞬間()()()にぶん殴られて意識がぶっ飛んだ。


………


 パチパチと薪の焼ける音がする暖かい部屋で、


「!?ぷけらっちょ!?」


と妙な叫び声を上げて上体を起こし、そして、ベットから落下した所で、俺は目覚めた。


 「がぁっ!?身体中が痛ぇ。何よりここ何処だ……つか何で俺はここに居る?」


痛みに悶えていると暫くしてコンコンコンと三回ノックの音がし、


「リーナ起きてるかい? 入るよ?」


扉が開き見慣れた女性が入ってくる。


 髪は金髪ショートでスレンダーな体つき、

黙っていれば美人な残念な同郷の腐れ縁の女だ。


幼なじみとも言うが、英雄物語や、冒険譚のような、そんな甘い感情は無いと思う(残念な事に) 因みに彼女の腕力はトロールも赤子のような感じだ。


前に一度だけトロールの頭を素手で砕いたのを目撃してる。

村の英雄では有るものの流石にあの時は、ちょっと本気で引いた。


細身の体に化け物な腕力。何処にそんな筋力があるんだよ? 物語に出てくる勇者か何かか?


 「起きた……ようだね。床が好きなのかい? そんな所で寝ていて体は大丈夫なのかい? と言うか相変わらず、変な趣味でいて(縦回転で空を飛んだり)大怪我しないのだけは感心するよ」


 「アリアか? 何で俺は此処で寝てるんだ?」


俺は、失礼な言葉をスルーし質問で返す。

アリアに目を逸らされる。それを見て、


「つか、もしかして…… 

「立て続けに聞かれても困るな。取り敢えず落ち着こうか。茶でもご馳走しようじゃないか。飲みながらゆっくりと話そう。用意している間に服を着ると良い」


と被せるように早口で言い飲み物の用意をしに部屋を出て行ってしまった。


 「何もまだ言ってねぇぞ…」


………


 優雅にお茶を飲みながら、アリアはシレっと言う。


「……と言う訳で、ファストコロニー近くの冬の洞窟に一緒に行って欲しい訳なんだよ」


流石に意味不明なので苦笑しながら言う


「何が……と言う訳で……何だよ。説明をちゃんとしろよ。」

 

アリアは軽くうなずくと、


「うむ、わかった。はっきり言おうじゃないか。最近の異常気象の原因が冬の洞窟にありそうなんだよ」


悪戯っ子の笑みを浮かべて


「調査依頼が来たのだけれども、か弱い私には君のG(ゴk…ゴーレム)並みの生命力が必要なんだよ。楯役(肉壁)が必要なんだ。

端的に言おう。盾になってくれ」


呆れた表情で、


「今、ゴキって言おうとしたっ!? 扱いが雑っ! 雑過ぎんだろっ。断る! 何よりも面倒くせぇ」


と返事をすると、


「仕事無しで、冬越せるならどうぞ(微笑みながら)


アリアが優しそうな微笑みを(背中から立ち登る)浮かべながら(オーラが見える)言った。


こいつがどんな性格かを忘れていた。冷や汗がどっと出てく(完全に忘れていた)


「申し訳ありませんでしたっ‼️ 働かせてくださいっ!」


見事なまでの五体投地で、俺は叫ぶことになった。


……続けっ‼️


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