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恋愛撃  作者: 柑橘ルイ
2/4

二発目

車で移動すること一時間、周囲が畑で囲まれたなかにあるミリタリー色の看板を潜る。


「おおー、ここがサバイバルゲームのフィールドかー」


 窓にへばりつく姫蝶の子供っぽい姿に、歩は小さく笑いながらに駐車場へと車を止める。


「まずは受付ですね、道具はそのままで大丈夫です」


「はーい」


 車から降りた二人は受付へ行き、代表が歩で受付を済ましたあと、レンタル品を借りて道具を出し、指定された机へ向かった。


「皆軍隊っぽい! やっぱり迷彩柄が多いね、借りた物も同じ」


 レンタルの長袖上着を広げながら目を輝かせる姫蝶である。

 軍服は格好よく、また米軍ロシア軍といった国、陸軍海軍はたまた年代など様々な違いが有るが、詳しく知らないと皆同じように見えるのだ。


「場所が合えば周囲に溶け込んで狙われにくくなる効果はあります、それが目当てで着る者も多いですね」


「お兄さんの格好は、ある意味異質だからけっこう目立つよね」


「折角非日常を体験するなら、服装も変わった物がいいですから」


「あ! そういう考えもあるんだね!」


「さて、あそこに更衣室が有りますので着替えてきてください」


 歩が指差した先には、しっかりとした更衣室があった。


「女性の参加者が増えてきたからでしょうか? 更衣室が設置されている場所も多いですね、ですが中には服を売る店のような簡易な更衣室もあったりします」


「男女関係なく、気になるものはやってみたいもんね」


 行ってくるねと手を振り更衣室へ入っていく姫蝶を見届け、歩も準備をする。

 ダッフルコートを脱いで茶色い薄手のロングコートを羽織り、ベルトをコートの上から締める。アフガンストールをゲリラのように巻き、帽子を被るがフィールドへ入るまでゴーグルはいしない。


「やっぱり渋い感じがいいなぁ」


「ありがとうございます、姫蝶さんもかわいいですよ」


 着替え終わると同時に姫蝶も更衣室から戻ってきた。

 レンタル品で迷彩柄の長袖長ズボンゆえに、小柄な姫蝶には若干大きく裾を巻いており、袖に関しては手のひらの中ほどまである、幼い感じが増したがそれがまた姫蝶には合っている。

 それを正直に歩が言うと、姫蝶は喜ぶような、はたまた不愉快そうな、何とも不思議な顔をするのだった。


「軍服着てるから可愛いと言われるよりか、格好いいが良かったかな」


「レンタルという特徴が少ない服着て、可愛いでも感想が出るのは凄いと思いますが……」


 歩が言うと姫蝶はクルリと一回転して、歩へ向かい合うようにピタリと止まる。


「かわいい?」


「ええ、特にその袖から小さく覗く手が愛らしいです」


「あ、愛らしい……えへ! じゃあいっか」


 姫蝶が機嫌良よく笑みを浮かべ、衣服以外の小物も着けていく。

 軍靴に滑り止めが付いたグローブ、そして帽子と顔全体を守るフルフェイス型のゴーグルである。


「むむ……ゴーグル越しだとちょっと視界が悪いし、口回りも覆ってるからちょっと息苦しく感じる」


「そこは慣れるしかありませんね、女性ですから顔は覆った方が良いですよ、すでに話しましたが前歯が折れることもありますし、当たった場所が1日赤くなります。ついでに撃つ側も細かいことが気にならなくなります、女性の顔を撃つということにやはり躊躇しますからね、互いに楽しむ為にも顔は守りましょう」


「りょうかーい、でもお兄さんは布で覆ってるだけだよね? それでもいいの?」


 歩の顔はストールで巻いてあるだけである、フェイスガードに比べると、とても防ぎきれる様子はない。


「もちろんいいですが、やはり当たると痛いですし、赤くなることもあります。口を開けると折れることもあるでしょう、なにもしないよりか良いといった程度です。それでも着けるのなら、いまいったことを理解した上で自己責任で着けるようにしましょう」


 姫蝶は頷いた後思案顔で歩をじっと見つめ、なにか気になるのかと歩が口を開こうとした瞬間、フィールドのスタッフから弾速チェックの声が上がった。

 弾速チェックとは弾の速度を計り、規定範囲内かどうか調べるのだ。法律でエアガンの威力は1ジュール未満と決められており、越えると当然使用禁止である。市販をそのまま使うならなにも問題ないが、改造を施したり、中古を購入したときに越えるものも稀にあるのだ。

 無事に弾速チェックも終え、後はルール説明のあとゲーム開始である。色々な銃や身に付けるものが多いと準備に時間がかかるが、歩と姫蝶はそれほど多くないため時間をもて余してしまう。


「そうです、今のうちにフィールドを下見しておきましょう」


「まだ始まってないのに入っていいの?」


「大概の場所はいいですが駄目なところもあるそうです、念のためスタッフさんに聞いてきましょう」


 近くにスタッフが見当たらなかった歩は受付へ聞きに行き、許可をもらって戻ってくると、姫蝶は隣の机に座っていた青年となにか話していた。


「姫蝶さん入って良いですよ、ゴーグルは着用して、30分後にルール説明があるので、それまでに戻るようにとのことです」


「P90のお話しありがとー、よし、お兄さん早速行こう!」


 姫蝶は手を振って別れ、歩の側に戻り気合い十分と拳を突き上げる。


「楽しげに話していましたが、もしかしてお知り合いでしたか?」


「違うよ、初めて会った人だけどP90っていう変わった形のエアガンを持ってたから、気になって話しかけたんだよ」


 初めてと聞いて歩は目を見開く、とても初見とは思えないほど和気あいあいと話していたからだ。


「ボクの特技は友達作り! 友達百人出来るかな? 余裕だね!」


「いつの間にか私ともこれほど仲良くなっていますし、素晴らしいですね」


 姫蝶は得意気に胸を張る。

 歩と会った時もいつの間にかエアガンを撃たせ、サバイバルゲームに連れてきているのだ、一人でいる方が好きな歩ですらこの状況なのだから、まさしく特技と言えるだろう。


「んー、お兄さんは特別かな、二人で出かけるようになったの一番速いもん」


「確かに出会ってからここまであっという間でしたね」


 満面の笑みを浮かべる姫蝶に歩も目を細めるのだった。


 フィールドに入る前にゴーグルをつけ、色々と二人並んで歩いていく。


「基本的にベニヤ板で出来ています、二階があったりトンネルがあったりと場所によって違いますね」


「狭く曲がりくねってたり、広くて長い直線な所もあるんだね、お兄さんはどうなってるか覚えてるの?」


「何度も来てますがある程度、といったところですね、やはり上手な人は把握してると思いますよ」


 鼻唄混じりに周りを見渡す姫蝶と対戦相手からどう見えるか予想する歩だったが、ルール説明をするというスタッフの声が聞こえたため、入り口近くへ二人は足を向けた。

 各自思い思いの格好をした参加者もゴーグルを着け、スタッフの指示に従い集まっていく。


「ルール説明を致しますが、サバイバルゲームが今回初めての方は居られますか?」


 スタッフ質問に姫蝶を初めとした数人が手を挙げ、それを確認したスタッフは事細かに説明をしていく、要点をまとめると以下の通りである。


 ヒットコール

 当たれば「ヒット」と大きな声と動作で当たった事をアピールする

 ゾンビ行為

 当たっていないと主張、または無視してゲームを続行する行為禁止

 ブラインドショット

 腕だけだして見ないで撃つ行為は禁止

 ナイフアタック・フリーズコール

 ナイフ等接近武器での攻撃、銃口を突き付け「動くな」「フリーズ」と言葉で撃ったことにする行為は禁止

 壁の乗り越え・動かし

 高い壁をよじ登って越えたり、動くからと動かす行為は禁止

 口論

 ケンカへと発展し怪我や場の雰囲気が悪くなるため禁止


 以上の行為をみた場合本人が注意するのではなくスタッフへ申告する事、スタッフが警告しても治らない場合は強制退場となる。


「跳ね返った弾も駄目って結構厳しいね」


「厳しいと言うよりも、当たった当たってないのイザコザが減少するからでしょう、説明でもありましたが1発2発あたったって気付かれない場合も、すぐさまゾンビ行為だ!と騒ぐよりも気づかなかったと解釈し、気付くまで撃つというのが正しい行為ですね」


 歩の説明になるほどと姫蝶は頷いた。


「では10分後に殲滅戦を開始します。赤チームは奥の教会から、黄色チームは手前倉庫から始めます」


 スタッフの指示に従い、セーフティーゾーンへ戻ってしっかり装備した後、二人は奥の教会へと移動した。


「いよいよ始まりますが、習うより慣れろということで、思いっきり好きに動いてください、初心者なので殺られて当然ですから、負けてもなぜ撃たれたかを考えて次に試す等するとより面白くなりますよ」


「うん解ったよ! あードキドキするー」


 悠然と待機する歩に対し、姫蝶は胸を押さえ待ちきれないようである。


「殲滅戦復活無制限、スタンバイ!」


「「スタンバイ!」」


 スタッフが声をあげ、答えるように参加者も返答した。


「3、2、1、スタート!」


 スタッフの掛け声と共に一斉に走り出す、各々最前線へ繰り出す者、高台へ向かう者、防衛しやすい場所へ陣取る者様々である。


「やほーい!」


 姫蝶も楽しそうな声をあげて走っていく、その様子を見届けた歩は悠々と進んでいった。

 そこかしこで射撃音が鳴り、時にヒットコールが響く、最前線近くにまでたどり着いた歩は足音を出来るだけ無くし、周囲を確認しながらゆっくり進んでいく。


(姫蝶さんがいない、といことは反対側ですか)


 激戦区は二ヶ所に別れ、姫蝶と歩は別れた場所での戦闘となった。

 歩は相手側を素早く覗き引っ込むと、数発の凶弾が襲いかかるが外れ、歩の後ろにある壁に当たり大きな音をたてる。


(あそこに一人ですかね?)


 障害物の少ない直線の道にある一番奥の壁にみえた、隠れる姿で予想をつけ、応戦を開始する。

 壁から少し離れショットガンを構えながら機会をうかがう、相手のからもこちらが見えていたと仮定し、素早く覗くと案の定凶弾が歩に襲いかかった。

 一瞬しか観察出来なかったが、歩の目前にある障害物が数発叩かれる、見えた人影と撃たれている状況から一人は確実にいるのである。

 身を隠しながら直ぐ撃てる体制にする、射撃が止み数秒間待機、再び覗くと引っ込む姿が目に入った。

 今度はこちらの番と隠れた場所に標準を合わせ、歩を見た瞬間に引き金を引く、僅かな時間で隠れたため外れるが歩は体制を変えず構え続ける。

 覗き込んだ瞬間引き金を引くが、相手も馴れたもので結局外れてしまった。


(電動ほど連射が出来ないのは歯がゆいですね)


 歩は苦々しく思い眉間にシワを寄せる。

 電動なら相手が顔を出すと予測して撃ち、外れた瞬間に顔を出されても次が撃てるが、ポンプアクションがある分ショットガンは連射に劣るのだ。

 攻守が変わりながらしばし膠着が続いたが、歩が顔を出した瞬間に額に着弾、ヒットと宣言して大人しくスタート地点へ戻る。


(あー増援来てしまいましたか)


 着弾する瞬間に見えたのは別人の銃口である、撃ち合っている間に相手側へ助けが来ていたのだ。2対1という状況は非常に不利であり、勝つのは容易ではなかった。


(もっと突っ込みましょうか、真正面から撃ち合うのは駄目ですね、側面から襲えるように移動して……)


 誤射されないようヒット通りますと言いながら戻り、そしてどう動くか思案しする、カウンターを押して復活したところで歩に声がかかった。


「お兄さんも撃たれたの? やっぱり上手い人は上手いね! 撃たれたけど何処からか分かんなかったもん」


 フルフェイスゴーグルで表情が分かりにくいが、姫蝶の声は非常に楽しげであり、動作も加えて楽しんでいるようすがよく分かる。


「遠くから、しかも細い射線を通してきますし、隠れるのも上手いですからね、今までやってきた経験と努力の賜物でしょう」


 姫蝶の意見に歩も同意し頷く。


「よーし、もう一度突撃だ!」


 意気揚々と駆けていく姫蝶を見て、歩はふと気になった事があり、姫蝶の後ろを着いていく。

 姫蝶は最短距離を突き進む、撃ち合いが激しい場所にたどり着くと壁に背中を付け、呼吸を整えると突撃銃を構え直ぐ様打ち出す、隠れることなく、相手を牽制するように延々と撃ち続けた。


「姫蝶さん、そのまま相手を釘付けにしてください」


 頷きと一点を集中し始めたため聞こえたと理解した歩は動き出す。

 射撃の音等で相手の位置をおおよそで把握し、右に左に曲がりながら一気に駆け抜ける。

 直線に身をさらす時間を極力減らし、音を頼りに敵へと向かい、呼吸が荒くなってくるが一時も立ち止まることもなく、素早く迅速に走り抜けた。

 壁一枚挟む位置までたどり着き出来るだけ息を整え、すぐさま撃てるよう銃を構えながら焦らないよう心を落ち着かせた。

 反撃されないよう素早く体を翻し照準を合わせ、驚きに体が固まっている敵を撃ち貫く。


(思った通りですね、姫蝶さんの長い連射に気を取られていました)


 姫蝶の射撃がいつ止まるかと気を配りすぎていただろう、銃口を下げて止まるまで壁に背を付け、耐えていたようだった。

 そこへ歩が襲いかかったのだ、基本的に互いに撃ち合う形になることが多く、突っ込んでくる者は少ない、故に至近距離というのは意表を突く事が多いのである。


(さて、どう伝えましょうか……)


 敵を倒した後歩の顔に汗が一滴垂れていく、いまだに姫蝶の射撃は止まっていないのだ、普通に顔を出せば間違って撃たれるのは明白、戻って伝えると折角押さえたこの場所が無人となってしまうのだ。


(……戻りますか)


 悩みに悩んだ末結局姫蝶の元へ戻る、今回は殲滅戦でとにかく敵を倒す事が最優先である、味方が来るまで待っていても何時来るかわからないうえに一人で防衛は危険であったためだ。

 それからの二人は強かった、姫蝶が延々と弾を吐き出して敵を封じ込め、歩が6発同時のショットガンで強襲する、単純だが非常に効果的であった。

 殲滅戦は一区画抑え、敵陣に攻め込みシンボルを取るフラッグ戦では防衛と大きく活躍する二人であった。


「お疲れさまでした」


 本日のゲームは全て終わり、歩と姫蝶は参加者に挨拶しながら荷物を持って駐車場へ移動する。


「今日は大活躍だったね!」


「ええ、姫蝶さんの援護が非常に頼もしかったです」


 そんなと照れ笑いする姫蝶だが歩は本気で言っていた、正直これからも二人で組んでいたいほどである。


「すっごく楽しかったー、またはやりたいな!」


「そうですね……次に参加する前に色々買いに行きますか」


 足で拍子をとり興奮冷めやらぬ姫蝶と同じように歩も体の熱がいまだ籠っていたのだった。


 





「こんなところで売ってたんだ」


「専門店で売っている印象はありますね」


 ガラスケースに並ぶエアガンを歩と姫蝶は二人で眺める、一区画はエアガンなどサバイバルゲームに関する物が揃っているが、少し離れるとミニ四駆やフィギュア、鉄道模型などが置かれていた。


「うーん、どれにしようかな?」


「一気に揃えなくても、何度も参加して足りないと思ったものを足していく、という方法もありますよ」


 あちこち歩き回る姫蝶にアドバイスする歩だが、本人は一気に揃えていた、結果使わないとタンスの肥やしになっている物のそこそこある。


「だよねー、それじゃあ……あった!」


「え? 本気ですか?」


 姫蝶が迷うことなく手に取ったのは白黒チェック柄のアフガンストール、しかも歩とまったく一緒の物である。

 顔に被弾すると痛く跡が数日残ることもあり、歩としてはあまり薦めたくなかった。


「ボクとお兄さんはもはや相棒も同然! なら分かりやすく同じ物を着けた方がいいよね!」


「ええ……まあ……」


 身を乗り出す勢いで顔を寄せる姫蝶に歩は思わず一歩下がってしまう。

 実際に二人で戦えば強く、都合が合うなら組める時は組んでいたいと思っている歩である、相棒と言われ否定できずにいた。


「えへへ、服も一緒にしようかと考えたけど、タンスでカビ生えそうなのがあったんだ」


 歩が否定しなかった事が嬉しいのか、姫蝶は跳ねるような足取りで歩き出す。


「靴って必要なの?」


 姫蝶が立ち止まって見ているには軍靴であった、底が厚く足首まで紐で結ぶようになっており、激しい運動にも耐えれるような作りである。


「必要かと問われればそうでもないですね、スニーカーの人もいれば安全靴も、服に合わせて革靴とい方もいましたね、一言で言えば服に合わせて、でしょうか」


「服、服かー」


 歩の返答に姫蝶は目を閉じて唸る、歩としては合うかどうか助言をしたかったが、まだ見ていない為何も言えない、姫蝶の服は大きな鞄に詰め込み持ってきているが、後のお楽しみと言って素早く車に放り込んでいた。


「ちょっとは兵隊っぽいものもほしいかな」


 小声で自問自答しながら姫蝶は黒の軍靴を手に取る。


「後は……」


「ゴーグルは買っておきましょう」


 周りを見しながら定まらない歩き方の姫蝶に歩は促しながら進んだ。


「うわー、結構色々な種類あるんだ」


「フルフェイスのグラスタイプは一つ持っていると何処でも使えます、場所によってメッシュが駄目、眼鏡型は駄目というのがあります、ですが今いった物が駄目というのは聞いたことはありません」


 歩が手に持っているのはロボットのような見た目の安いやつであったが、姫蝶の口がへの字に曲がる。


「そういうタイプは息苦しい感じがしてなんか嫌だ」


「それならこんなメッシュタイプもありますよ」


 次に出したのは金属質な網目のマスクである、横は両頬まで伸び上下は鼻の付け根から顎先まで覆う、ゴーグルにも合う形になっており行く場所によってゴーグルはそのままで付け外しできる。


「これなら……必要なフィールドだけしか使わないと思うけど……」


 固いものが口を覆うのが嫌なのだろう、姫蝶はは吟味することなく適当に手に取っていた。


「服、帽子、ゴーグル、マスク、靴……あとはグローブだっけ? 服とセットで手袋あるけど買った方がいいかな?」


「滑り止めがあると銃を持ち変えるときに便利です、あとは手に被弾したときの怪我の軽減と言ったところですね」


「それなら大丈夫かな?」


 頷いた姫蝶は手に持った品物を見ながら指を一本ずつ曲げていき、再び頷きレジへと向かう、同時に歩は流れるように品物を姫蝶から全て抜き去る。


「荷物持ちますよ、行きましょうか」


「あ、ありがとう」


 歩の自然な動きに、一瞬呆然とする姫蝶だったが次には両手を合わせるのだった。

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