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1章 33. お待ちかねの報酬タイム

 療養中の1週間の出来事の内、最後はライノさんからの今回の事件の報告だ。


「おう、灯。気分はどうだ?」


「あ、ライノさん。まぁまぁですね。まだ右肩と左手の火傷が痛みます」


「そうか、タックスの話だと1週間もすれば治るらしいからな。それまで大人しくしとけよ?」


「分かってますよ」


 俺は現在、騎士団青軍本部の医務室のベッドで療養中である。


「で、今回の事件の後始末に関してだが、説明していいか?」


「はい、お願いします」


「よし。まず竜の蹄の連中だがな、生存者は全員捕らえて留置所に送られてる。今は判決待ちだが、恐らく全員牢獄行きだ。幹部であるライン付きについては、黄ラインの男だけ処遇が掴めなかった。多分洞窟が滑落した時に生き埋めになったんだろ」


「そうでしたか……。じゃあ竜の蹄は」


「ああ、完全に壊滅したよ。お前達のお陰だ!」


 ライノさんはニカッと歯を見せて笑いながら、俺の頭を乱暴に撫でてきた。


「これでクウもマイラももう狙われることは無いんですね。安心しました」


「ああ、良かったな」


 俺がこの異世界へとやってくる、大元の原因である竜の蹄は壊滅した。

 これで1つ大きな目標を達成したことになる。

 後はクウが安全に暮らせる場所と俺が元の世界へ戻る方法か。こっちは気長に考えるしかなさそうだな。


「で、次はクウ、マイラ、泥の魔人である、ぷっ、ドロシーの処遇についてだが」


「……何ですか?」


 ライノさんが次にクウ達の今後について話そうとした時、なぜかドロシーのところで吹き出した。

 絶対に馬鹿にしてる。


「わ、悪かったって、そう睨むなよ」


「じー」


 ドロシーのことで笑いを堪えてるのか、プルプルと震えていたライノさんだが、俺の視線に気づき即座に謝罪してきた。

 まぁ別にいいけどね。名前付けで笑われることなんていつものことだし。


「おい、そう不貞腐れるなよ。で、話を続けるが、まずクウについては、今後も灯に一任することになった」


「もちろん最初からそのつもりですよ」


「そうか、まぁ確かにあのドラゴンを1番懐いているお前から引き剥がすのは危険だという判断だよ。今後も頼むぜ」


「ええ、任せて下さい」


 クウの今後については、誰がなんと言おうと俺が引き取るのは、前もって決めていたことだ。

 元から譲るつもりは無いので問題ない。


「で、次にマイラだが、これは俺達も結構悩んだんだがな……」


「どうなったんですか?」


「灯、マイラもお前に預けていいか?」


「え?俺でいいんですか?」


 マイラは元々、騎士団が竜の蹄から保護していた魔獣の1匹だ。

 竜の蹄を壊滅させた今、アフターケアも騎士団がするからここでお別れだと思っていた。


「もちろん一般人である灯に頼むのは、おかしな話だったのは分かってる。だが、俺達で保護してると、いつまた脱走するか分からねぇからな」

「あー、アマネもいますしね」


 マイラと俺が出会ったのは、アマネが逃がしてしまったのが原因だからな。

 騎士団もまたマイラが逃げ出したら、捕まえるのが大変なのだろう。


「ははっ、違えねえな。で、それならもういっそ灯に任せようかと思ってな。灯も今後戦力がクウとプルムだけだとキツいだろうし、マイラ自身も灯に懐いてるから逃げ出すことも無い。だからこれが1番安全だと判断したんだが。どうだ?」


「むしろ嬉しいですよ。正直ここまで一緒に戦ってきたマイラと別れるのは辛かったので。こちらこそありがとうございます」


「そう言って貰えるとこっちも助かるよ」


 こうして俺はマイラも引き取ることになった。

 ということで目標1つ追加。マイラを故郷に送り届ける。


「最後にドロシーだな」


「あいつは敵にいたから牢屋とかですか?でも首輪のせいで利用されていただけですよ」


 奴隷として利用されていたとはいえ、ドロシーのお陰で今回の事件は色々と痛い目にあったからな。牢獄行きでもおかしくはないだろう。

 だが、それだと少し可哀想な気もするので、一応庇ってみた。


「もちろんドロシーが操られて、自分の意思とは関係なく俺達と敵対していたってのは理解してるよ。別にあいつのせいで死人が訳でもないし、お咎めはなしだ。ドロシーも被害者みたいなものだしな」


「そうですか。よかった」


「それに最後には、敵を倒す決め手にもなったしな。それでチャラにしておくよ」


「確かに強かったですからね」


 ドロシーの処遇がついては少し心配していた面もあるが、何も無しだと聞いて安心した。


「まぁもし灯が、その肩のことで訴えれば牢屋行きに出来るかもしれないけどな」


 俺が一安心していると、ライノさんが意地の悪そうな笑みを浮かべながらそんなことを言ってきた。


「ははっ、それは面白いですけど、そんなことしませんよ。ドロシーは一応恩人でもありますからね」


 最後にブラッドデーモンを倒した後のことだ。

 クウのお陰で川に落下出来たとはいえ、既にかなりの速度が出ていたので、何もせず川に落ちていたら命を落としていた危険もある。

 だが、ドロシーが泥で包んで衝撃を吸収してくれたおかげで、安全に降りられたのだ。このことは感謝してもしきれないだろう。


「そうか、今後ドロシーがどうするかは本人に任せることにするよ」


「そんなことしたら、また誰かに捕まりそうですけどね」


「ははっ!かもしれねぇな!」


 俺とライノさんは、ドロシーの捕まった理由を思い出して笑いあった。

 ちなみにドロシーに今後どうするか聞いてみたが、俺についてくるの一点張りだった。


「じゃあ最後にお待ちかねの報酬タイムだ!」


「え、ほんとに貰えるんですね」


「当たり前だろうが」


 騎士団と協力すると言った時、報酬の話もチラッと出たが、正直戦いがしんどくて忘れていた。

 そんなことを考えていると、ライノさんは書類を1枚取り出して、報酬の説明を始めた。


「今回の灯の報酬を説明するぞ。まず、マイラの保護料に10万ブルム。で、次に囮捜査とその時の被害込みで75万ブルム。敵の隠れ家の発見に10万ブルム。幹部の討伐並びに討伐支援で、1人50万ブルムずつの合計100万ブルム。そして最後に、今回の事件での最大功労者として、特別報酬で200万ブルム。合計395万ブルムだ」


「……はあ」


「ん?何だ随分と反応が薄いな。こりゃ恐ろしいほどの大金なんだぞ。ここまでの報酬は俺も見たことがねえよ。今回騎士団で頑張ったマリスとアマネですら100万ブルムなんだからな」


「と、言われましても、そもそもこの世界でお金を使ったことが無いのでどれくらいの価値なのか分からなくて」


「ああ、そういや魔道具屋でもタダで貰ったらしいからな。よし、俺が説明してやるよ!」


「お願いします」


 こうして俺はライノさんに、この世界でのお金の価値を教えて貰った。


 ライノさんの説明を纏めると、まずこの世界はブルムという単位で統一して取引が行われてるらしい。

 ブルムというのは、大昔最初に為替を作った商人がブルムという人だったからだそうだ。詳しいことは知らないが。


 で、肝心の1ブルム辺りの価値だが、簡単に説明すると、100ブルムでリンゴが1個買えるくらいの価値だそうだ。

 500ブルムで十分な食事1食分、3000ブルムで安宿に1晩泊まれるくらい。

 それで、この世界での平均日収は5000ブルムだそうだ。

 

「いや、多すぎません!?」


「はぁ、ようやく気づいたか。まぁその金は今後の旅費とでも思ってくれ」


「いやいや、それでもこんなに貰えませんよ!」


「ダメだ、これは嫌でも受け取ってもらう。出ないと俺がクビになっちまうんだよ!」


 さすがにこの金額は多すぎると初めは拒否した。

 だが、ライノさんに鋭い眼光で覗き込まれ、断ることも出来ず、ありがたく頂くことにした。


「これでお前も大金持ちだな」


「ははー……、盗まれないように気を付けますよ」


 ライノさんは早速ニヤニヤと冷やかしてきた。

 俺は今後、もしかしたら盗賊に目をつけられたりするのかと思うと、憂鬱な気分になりながら白い目で返した。


「じゃあな、あと数日安静にしとけよ」


「はい、わざわざありがとうございます」


 そうして、一通りの報告を終えたライノさんは去っていった。


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