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1話 全てを賭けた退屈凌ぎ
目が覚めた時、ヨウリは真っ暗な牢獄にいた。
脱出も試みたが柵は鋼鉄、頑丈な壁ときたらどうしようもない。
目が慣れてきて頭も冴えてきたので、現状把握を試みたがどうにも思い出せない。
ヨウリ「ここはどこで、今何時ぐらいなのだろうか」
お腹の空き具合からするに恐らく一日以上は経ってると思うが、環境的に正確な時間を測ることは難しい。
ヨウリ「とりあえず、この状況を打破しなければ」
そう言いながら周りの壁や柵を探っている時、柵の向こう側からコツコツと足音が聞こえてきた。
足音と共に現れたのは、執事姿の白髪のおじさんだった。
執事「ヨウリ様、お目覚めになられたのでお迎えに上がりました」
そう伝えると執事はポケットから鍵を取り出し柵の扉を開けた。
ヨウリは特に慌てる様子もなく牢の外に出た。
執事「聞きたい事も沢山あると思いますが、とある場所まで少し時間がかかりますので、そちらに着く間にお伺い致します」
ヨウリが質問する瞬間を見計らったかの様に執事はそう答えた。
ヨウリ「わかった。案内してくれ」
執事「かしこまりました」
短い会話を交わして、ヨウリは牢を後にした。