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45/56

45 諦めたくない

今日は45、46話の2話更新予定です。

「ちょ、ちょっと待ってよ、ふられたって……嘘でしょ!?」

「うそじゃ、ないよ……レヴァンは、僕にはもっと他に相手がいるだろうって……」


 思い出したらまた泣けてきた。

 あーあ、情けないな、こんなの……。

 クロエとサフィラは二人で顔を見合わせると、同時に立ち上がった。


「よし、襲撃だ」

「え? 襲撃ってどこに……」

「決まってんじゃん、レヴァンのとこに!」

「ええぇぇ!!?」


 驚く僕をよそに、二人は立ち上がって部屋の外へと出ようとしていた。

 行動早すぎるよ!


「ま、待ってよ! 別にレヴァンは悪くな――」

「いいえ、乙女の純情を弄ぶなんて重罪です!!」


 リアナ、君もか!

 君は落ち着いた子だと思ってたのに!!


「あんな思わせぶりな態度取っといてその言い方とか許せないじゃん!」

「そうです! でも……レヴァンさんは、どうして……」


 リアナが不思議そうに首をひねる。

 クロエも、腕を組んで考え込んでいるようだった。


「確かに、あいつどうみてもセリスにべた惚れだもんね」

「照れてうっかりそんなことを言ってしまった……とかなのかな」


 悩む二人を見て、僕は申し訳なくなった。

 ……二人は、僕が元は男だったって知らないんだ。

 レヴァンが、僕を受け入れるはずなんてなかったのに。


「ううん、いいんだよ」

「よくないですよ! セリスさん!!」

「ていうかさぁ、あいつの方が自分じゃセリスに釣り合わないとか思ってんじゃないの? そうだったらうざいけど」


 クロエが頬を膨らませながらそんなことを言う。


「そうだ! たぶんそうなんだよ!!」

「いや、違――」

「セリスもさぁ、一回振られたくらいで世界の終わりみたいな顔しなくてもいいよ。レヴァンなんてちょっと押せばころっといきそうじゃん」


 わぁ、とんでもないこというなぁクロエは。


「レヴァンさんはちょっと素直になれないだけなんですよ!」

「フィロ様の弟子なんでしょ? 惚れ薬の作り方とか聞いてないの?」

「そんなのできないよ!!」


 二人にわぁわぁとまくし立てられ、僕はしどろもどろになってしまう。

 でも、いつの間にか涙は引っ込んでいた。


「レヴァンのこと、まだ好きなんでしょ。諦めるなんてもったいないって」


 ……そう、なのかな。

 なんか二人にそう言われると、そんな気がしてくるから不思議だ。


「まだ好きでいても、いいのかな……」

「いいって! レヴァンが何考えてんのか知らないけどさ、あいつ……絶対セリスのことしか見てないし」


 そうだったら、嬉しいんだけど。

 でも、二人と話したおかげで僕の気分はかなり復活したみたいだ。

 レヴァンが好き。それは変わらない。

 だって、小さい頃からずっとレヴァンのことばっかり見てたから、今更他の人を探せなんて言われても急に「はいそうですか」なんて切り替えられないよ。

 レヴァンは僕にはもっと他の相手がいるなんて言うけれど、僕が好きなのはレヴァンなんだ。

 だから、無理は言わないから……まだ好きでいるくらいなら、いいよね。


 とりあえず落ち着いて再び席に着いたところで、外からサフィラの声がした。


「ただいまー! あー、いい匂い!!」


 バタバタと騒がしい足音が近づいてくる。

 元気いっぱいのサフィラと、どこか疲れた様子のレヴァンがそこにはいた。


「おそーい! もうレヴァン遅いからセリスをうちのこにしようとしてたところだったのに」

「なんだよそれ」


 苦笑しながらレヴァンも席に着く。

 なんだかその何気ない仕草までどきどきしてくるから不思議だ。


 ……やっぱり、好きだなぁ。



 ◇◇◇



 あの忌まわしい事件から、数日が経った。

 クロエの店から戻ってきたから、セリスはどこか上機嫌だった。

 クロエやリアナと一緒にいたことで元気を取り戻したのかもしれない。

 これはサフィラの采配に感謝だな。


「……今日、町の人が何人か薬を取りに来る予定なんだ」

「そうか」


 少しぎこちないが、いつものセリスだ。

 セリスはあえて気にしないように振舞っている。

 だったら、俺もむやみにセリスの傷をほじくり返すようなことはしたくない。


 さて、問題なのは……どうやってセリスの相手を探すかだな。

 エルフと同じくらい長生きで、セリスを大切にしてくれるような奴。

 男でも、女でもいい。

 そんな奴は……少なくともこの町にはいないだろう。


 フィロメラさんの留守を預かっている以上は、彼女の不在時にここを離れるわけにはいかない。

 彼女が戻ってきたらどこか他の場所に旅をしてみようか。

 あー、でもダンジョン攻略が中途半端だとサフィラが文句言いそうだな……。

 いっそ、そんな奴が偶然この町を訪ねてくれたら簡単なんだが。

 まぁ、そんなのは無理か。


 でも、そんなに急ぐことはないのかもしれない。

 じっくりと時間をかけて、セリスを大切にしてくれる奴を探さなければならないんだ。

 もし、そんな相手が現れたら俺は……ちゃんとこいつを手放せるんだろうか。


 上機嫌で薬を調合するセリスの背中を見ながら、俺はそんなことを考えていた。



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