Re:月見バーガー
季節は秋になり秋のフェアメニューも始まった。
そんな中でも宅配とテイクアウト限定のハンバーガーやおにぎりもよく売れている。
宅配とテイクアウト限定のメニューというだけありまとめて買っていく客も多い。
要するに安くても採算が取れるメニューという事らしい。
「今回の届け先はどこかな」
「4番街のレベッカさんの家ですね」
「4番街だね、そんなに遠くはないかな」
「はい、行きますよ」
今回の届け先は4番街。
そんなに遠くはないのでさっさと届けてしまう事に。
「今回の注文は何かな」
「月見バーガーですね」
「月見バーガー?」
「はい、卵を使ったハンバーガーの事ですね」
「要するに卵を挟んだハンバーガーって事か」
「はい、卵の黄身を月に見立てているから月見バーガーなんだそうです」
「月見って事は、月を見る文化みたいなところから来てるんだよね?」
「ええ、お月見という文化があって、それになぞらえて月見なんだとか」
「卵の黄身が月のイメージ、なるほどねぇ」
「分かりやすく言えばチーズバーガーに卵を足した感じですね」
「でも月を見るっていうのはどういう意味なんだろう」
「その日は月が綺麗に見えるからとかじゃないですか」
「でも月見のメニューがいろいろ出るって事は、やっぱり食べる事がメインなのかな」
「そこはなんとも言いにくいですけど、月見というのは卵を使った料理ですからね」
「目玉焼きを乗せたり挟んだりするっていう事だもんね」
「ただ月見のメニューというのはコストが低めで作れるのは強いんでしょうね」
「確かに卵は原価が安いって聞いてるからね」
「だから卵を使った料理は比較的安く提供出来るんですよね」
「そういう意味では月見系のメニューって原価を抑えられつつ美味しいものが作れるのか」
「そういう事だと思いますよ、まあ卵を嫌いな人は少ないとも思いますし」
「確かに卵を嫌いな人って見た事がないかも」
「体質的な理由で食べられない人はいるとは思いますけどね」
「そういう特別な理由でもないなら卵を嫌いな人ってまず聞かないよね」
「だから卵料理は低コストかつ多くの人が好きな料理なんだと思いますよ」
「卵を使うっていうのはそれだけ便利なんだなぁ」
「お手軽かつ美味しいっていうのは強いんですよね」
「こっちかな?」
「二つ目の道を西ですね」
卵料理は比較的原価が安く、嫌いな人も少ない料理だ。
だからこそ月見系のメニューは比較的安く提供出来る。
月見バーガーもそんな秋の定番メニューでもある。
尤も異世界において月見という文化はないのだが。
それでも月見系のメニューは人気のメニューでもあるらしい。
やはり卵料理を嫌いな人は少ないという事なのか。
「でも卵の黄身を月に見立ててるのは面白いかも」
「それも満月に見立てているわけですからね」
「でも月見バーガーに限らずハンバーガーは美味しいよね」
「アレッシオさんもハンバーガーはお好きみたいですしね」
「うん、帰る時に持ち帰りで持たせてくれる事もあるけど、家族にも人気だしね」
「シンプルに肉とパンっていうのはやはり強いですからね」
「そこにある程度のアレンジの自由は利くもんね」
「ええ、だからこそ手軽に作れて手軽に食べられるんですよね」
「ハンバーガーとかサンドイッチみたいな料理はお弁当にも便利だしね」
「ええ、だから宅配とテイクアウト限定のメニューとはいえ、そういう目的で買う人もいますし」
「ハンバーガーやおにぎりは温かいうちに食べる方が美味しいのは確かだけどね」
「まとめて買っていけるのは強いですからね、人が多い職場とかは助かりますよ」
「そういう意味ではハンバーガーやおにぎりは宅配とテイクアウト限定でいいのかもね」
「それはありそうですよね、家や外で食べる事の方が多そうですし」
「こっちかな?」
「この先の道を北西ですよ」
そのまま4番街に入っていく。
レベッカさんの家はすぐそこだ。
「ここかな」
「すみませーん!キッチンハウスの宅配です!」
「はい!」
「お待たせしました」
「えっと、先に銀貨一枚と青銅貨二枚をいただきます」
「これでお願いします」
「ちょうどいただきます、ではこちらが月見バーガー三つになります」
「ありがとうございます」
「包み紙は行政区分に従って可燃ごみでお願いしますね」
「分かりました」
「ではまたのご利用をお待ちしています、それでは」
「さて、いただくとしましょうか」
月見バーガー、卵を挟んだハンバーガーだ。
基本的にはベーシックなハンバーガーに目玉焼きを挟んだものになる。
卵は原価が安いので月見バーガーも比較的安価で売る事が出来る。
なので月見バーガーもハンバーガーのメニューとしては比較的安価だ。
月見バーガーは秋限定という事もあり、意外と人気になっている様子。
基本的にはベーシックなハンバーガーなので、味の保証がされているのも強いのだろう。
「うん、これは美味しいですね、肉も卵もしっかりとしていて食べやすい」
「ソースは程よい酸味なのもあって、卵と合っていますね」
「パンもふわふわしていて、肉汁が染みるとまた美味しい」
「あとは焼いた燻製肉、ベーコンというのも挟んであるんですね」
「卵と肉、シンプルだからこそ美味しいんですね」
「しかしこのふわふわなパンは普通に上質なパンなのでは」
その頃のアレッシオ達は帰り際に休憩していた。
冷たい麦茶が体に染みる。
「ふぅ、冷たい麦茶は本当に美味しいよね」
「ええ、冷たい麦茶は体をリフレッシュさせてくれますよ」
「飲みやすいし、スッキリしてるのもあるもんね」
「ええ、ごくごく飲めるのはやっぱり強いですよ」
飲み物を飲んだらそのまま帰路につく。
帰ったらまた仕事である。
「ただいま戻りました」
「お帰り、はい、冷たいおしぼり」
「ありがとうございます」
「外は暑さも落ち着いてきた感じデスかね」
「うん、でもまだもう少しは暑い日が続くかな」
「秋服はもう届いてるから、必要ならそっちに変えていいからね」
「ありがとうございます、そこはこっちの判断でやりますから」
「本格的に涼しくなるのはもう少し先デスかね」
季節は秋になったが、本格的な秋の涼しさはもう少し先になる。
とはいえ秋になれば美味しいものも増えてくる。
月見メニューは秋の風物詩である。




