開店準備
イギリス人の料理人アヌーク。
彼女は今異世界キッチンを開店するべく店の準備をしていた。
パートナーの隈山由菜もそれを手伝う。
異世界に繋げる前にまずは清掃である。
「由菜サン、そちらはどうデス?」
「うん、終わったよ」
この店舗に使う物件は閉店してテナントを募集していた元ファミレス。
アヌーク自身あらゆる料理が得意なので最適と思い契約ではなく、買い取った。
元々料理長をしていた時の収入がたんまりあったため安い買い物であった。
そして今は開店に向けて清掃中である。
「キッチンの方は業者がやってくれマシタ、あとは客席の掃除デス」
「それにしてもアヌークも突拍子もない事を思いつくよね」
「元々行動派なのデスヨ、考えるより行動!デス」
「それでこそアヌークだね、さて掃除しなきゃ」
そんな他愛もない話をしつつ掃除を進める。
すると頼んでいたものが届いたようだ。
「すみません、頼まれていた料理のメニューと必要な機材などをお届けに参りました」
「あ、はーい!」
「由菜サン、配置などを指示してもらえマスカ」
「分かった、とりあえずメニューはそこに置いて、機材の配置とかは今言うから」
「分かりました、ではお願いします」
そうして由菜がドリンクバーやセルフの水の機材の配置を指示する。
業者はそれの通りに配置などを進めていく。
アヌークは届いた料理のメニューに目を通して確認する。
本人の料理の腕もあり和洋中あらゆる料理を提供する予定だ。
そしてスープバーやドリンクバーも当然用意する。
さらに目玉として異世界の食材の持ち込みをやるのである。
持ち込み料を取る事になるが、持ち込まれた食材をその場で調理する。
何を作るかはアヌークのお任せではあるが。
そうしているうちに機材の配置などが終わる。
あとは動作を確認して業者に提示されたお金を払う。
業者が帰ったあとは掃除を一気に終わらせる。
キッチンの方も動く事は確認済みである。
ちなみにこの店舗は表向きは異世界に通じるが裏口は日本に通じている。
食材の搬入などはそこから行う。
買い取った物件という事もあり、日本の客を入れずとも成立する。
不動産屋には買い取ったという事だけ話を通すように言ってある。
「さて、掃除も終わり機材などの点検も完了デス」
「開店は明日からだよね?」
「ハイ、とりあえず異世界に繋げておきマスカ」
「えっと、これをこうやるんだよね」
秘宝を決まった通りに動かし異世界への扉を繋げる。
これで入り口が異世界に通じた。
いよいよイギリス人が経営し、料理も作るファミレスが異世界で開店する。




