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【第7話】露見


「ワタルさん、あなたはカラフルブルーだったんですね……」


 ばれた。

 俺はしばし硬直する。


 しかし、そこで俺はある事実を思い出す。


 仮面ドライバーの正体は秘匿されてきたが、カラフル戦隊は正体を隠していない。

 大丈夫だ。ばれても問題ない。

 そんな俺の心を、ユウの次の一言が木っ端微塵にした。


「それに遠くてはっきりは見えなかったけど、さっき戦っていたのは敵と差し違えて行方不明という噂の仮面ドライバーZ3(ズィースリー)……

 すごいです。ワタルさん!

 二つの変身ヒーローになれるなんて!!!」


 まずい……。隠すべき秘密までばれている……。


「この件につきましては、内密にお願いします。」

 俺はやっと言葉を絞り出すことが出来た。


「それはかまいませんが、なんで内緒にしなければならないんのでしょうか?」


 ユウは意味がわからないというような戸惑いの表情で聞いてくる。


「仮面ドライバーは強力な力を持っている反面、変身出来る時間が短い。

 正体がばれると言うことは、変身していないときに狙われると言うことだから、基本秘密なんだ」

 俺は心の中の激しい動揺を抑えて何とか説明することが出来た。


「そうなんですね。わかりました。

 ワタルさんは命の恩人です。秘密は守りますね」

 ユウの言葉に俺は胸をなで下ろした。



「ワタルさん、その腕に抱いているモフモフはいったい何ですか」

 ユウが俺の腕の中で眠る子狐を見て目をキラキラさせている。


「ああ、こいつか。こいつはさっき襲ってきた魔獣を倒した後に拾った」

「それってあの大きな狐の子供ですかね」

「そいつはわからないな。

 ちょっと調べてみよう」


 俺は両目に力を集中して子狐を見る。


 名前  リトルナインスステイルフォックス

 レベル 1

 力   3

 魔力  6

 速さ  2

 素材 皮:防具、素材になる

    肉:食用可能 

 状態 テイム状態(テイム者:結城ワタル) 睡眠


「どうやらあの大きい狐の小型種か子供らしいな。

 俺にテイムされているらしい」


 まあ、親狐を正当防衛とはいえ殺してしまったことだし、ここは正義の味方として、こいつが独り立ち出来るまで面倒を見てやるしかあるまい。


「ワタルさん……、今何をしたんですか……?」

「何って、こうやってしっかり目に力を入れて見つめると、見たものの情報が見えるんだ」

「それって、鑑定魔法ですよ!

 すごいです。

 アイテムボックスだけじゃなくて鑑定魔法まで使えるなんて」

「そうなのか?」


 なにやらユウがとてもキラキラした目でこちらを見てくる。

「それに、変身ヒーロー2種類になれるし、間違いなくワタルさんはこの世界を救うために召喚されたんですね!」




『すいません。勇者はあなたで俺はただの巻き添えです……』

 瞳を輝かせているユウに心の中で詫びておく。

 そして俺は、髭男達から聞いた情報を元に大嘘にならない程度の説明をユウにする。


「いや、俺たちを召喚したらしい騎士達が持っていた水晶玉によると、俺は思いっきりはずれらしいぞ」

「それもラノベではテンプレ展開なんですよ。

 役に立たないはずの人が、実は世界を救う人だったって言うのは正にテンプレ展開です」


 どうやらライトノベルの感覚では、俺がこの物語の主人公だとユウは言っているようだ。

 正直迷惑である。

 俺たちを召喚した、あのいけ好かない髭男の顔が脳裏をよぎる。

 あいつらの言葉通りなら、ユウこそが勇者だ。おまけに過ぎない俺が世界を救うような展開があるのだろうか。


 確かに俺は変身ヒーローだし、人のために出来ることはしたいと考えている。


 しかし、髭男達のためには何かをしてあげたいとは思えない。


 俺が考え込んでいると、ユウは俺の抱えてるものを気にしているようだ



「ところでワタルさん。その子狐、飼うんですか?」

 ユウが質問してきた。


「ああ、親狐を討伐してしまったいからな。

 いずれは野生に戻すつもりだが、もう少し大きくなるまでは俺が育てようと思う」


「それじゃあ、少し抱かせてもらえませんか」

 俺はユウに眠った子狐を渡す。

 ユウは子狐を心ゆくまでなで回して堪能したが、狐は疲れがひどかったのかぐっすりと眠ったままだった。



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