【第33話】決戦 ラストボス
久しぶりの更新です。
まだ、待ってくれている人がいるのだろうか……
いると嬉しい安井です。よろしくお願いします。
ノースウインザーの北方平原にこの街の守備隊と冒険者達が警戒網を敷いたのは、俺達がカイシーさん達と話し合いをした翌日だった。
魔道具を使って刻々と入ってくる情報によると、反乱軍は2つの公爵軍を中心とした部隊が首都ゴードブルグ方面へ、新生魔王軍の本隊は魔王自らが率いて領都ウインザードへ、そしてそれらの部隊に先行するように、地球産怪人が主力となっている部隊がここノースウインザーへ向かっているらしい。
「すいませんなあ、ワタル殿。
ウインザー領軍は領都の守備、国軍は首都の守備に主力を投入している関係で、ここノースウインザーがもっとも戦力的に不安を抱えている状況で……」
参謀長ゴルドーさんが俺達に向かって申し訳なさそうに話しかける。
俺達は他の冒険者と一緒に怪人達を中心とした魔王軍別働隊を迎撃すべく、街の北門の外に集結していた。
「ゴルドーさん。
今回攻めてくる魔王軍の主力は、俺の世界の魔物や怪人が転生したもののようです。
俺の方こそ、俺達の世界の悪の組織がこちらに迷惑をかけているのを心苦しく思っています。
そういうわけで、俺達が手をかすのはむしろ当然のことと考えます」
「そう言っていただけると助かります」
俺達が話していると、背の高い冒険者らしき男が本部に駆け込んできた。
「報告、敵と思われる部隊が北の平原に現れました。
その数、およそ10000、距離10キロです。
後方の詳細が不明のため、実数はそれ以上かも知れません」
「来たか……、冒険者のみな、悪いがお前達の命を俺に預けてくれ。
ここがノースウインザーの最終防衛ラインだ。
俺も出る」
カイシーさんが依頼を受けて集まった冒険者に向かって叫ぶ。
「我ら領軍は少数とは言え本来我らが守るべきこの街だ。
冒険者に負けず、しっかりと任務を果たせ」
続いてゴルドーさんが防衛隊の兵士に向かって檄を飛ばす。
「「「「「うおーーーーー!」」」」」
冒険者や防衛の兵は皆決意を瞳に宿して雄叫びを上げた。
「ユウ、キュウちゃん、俺達も出るぞ」
「はい」「きゅう!」
「カイシーさん、ゴルドーさん、行ってきます」
俺は参謀長とギルド長にしばしの暇を告げると、キュウちゃんが変身したドリル付きトルネードスカイハイに乗り込み先陣を切って北へ向かう。
これまでの戦いでリトルが取れて成体のナインテイルスフォックスへと成長したキュウちゃんは、ユウと二人で乗っても余裕の広さのマシンへと変身できており、その移動スピードも格段に上がっている。
「きゅうー!」
低空を滑空するキュウちゃんは、前方に魔物の群れを視認すると警戒するように鳴いた。
10キロを3分もかかっていない。時速に換算すると200キロは出ているだろう。
「キュウちゃん、いけるか?」
「きゅう!」
俺が話しかけるとキュウちゃんは力強くなき、先端のドリルを回転させ始める。
「よし、このまま突っ込んで敵を分断し、一気にボスを叩くぞ」
「了解」「きゅきゅう」
俺の叫びにあわせてキュウちゃんはスピードを上げ、ユウは光の魔力を両手に集め魔法を放つ準備をする。
「チェンジ! カラフルメタモルフォーゼ! ブルー!」
ブレスレットの宝玉を回転させ、カラフルブルーへと変身する。
Z3は変身の際に周囲の魔力を吸収するので、キュウちゃんに載ったままZ3へと変身すれば、キュウちゃんや同乗しているユウの魔力を根こそぎ奪いかねない。
敵の数も多く、長丁場が予想される状況からも、短期決戦型のZ3よりカラフルブルーの方が状況に適しているのだ。
「ブルーエクスプロージョンアロー、スプリットショット」
魔物の群れが射程に入るやいなや、炸裂型の矢を敵に向かって放つ。
魔力の塊である青い矢はキュウちゃんのスピードを加えて発射され、ものすごい速度で敵にせまる。
敵の30メートルほど手前で10本の矢に分裂し扇状に斜線が広がる。
それぞれが手近な魔物に命中するとその場で爆発し、周囲の魔物を巻きこんで消滅する。
矢が命中したところを中心に直径10メートルほどの円形の空き地となる。
「ブライトショット、ダブル」
続いてユウが両手から光の攻撃魔法を前方に放ち、正面の敵を駆逐することで敵軍を左右に割る。
敵軍はかなりの混乱状態となり、浮き足だって進軍は止まる。ユウの魔法で焼き払われて、キュウちゃんの進行方向はかなり先まで無人地帯となっている。
両翼の生き残りモンスターが体勢を立て直すまもなく、一気に加速して敵の本陣へと迫るキュウちゃんに、前方から大きなエネルギー波が迫る。
「キュウちゃん!右へ躱せ!!」
「きゅうー!」
俺の指示に素早く反応し、キュウちゃんは進路を大きく右へ取り、先端のドリルを回転させて、敵左翼に展開していたゴブリンやオークを屠る。
このままユウとキュウちゃんが周囲を攪乱してくれれば、魔王軍の侵攻はかなり遅延できるだろう。
敵の本陣は目の前だ。
「二人はこのまま攪乱と雑魚の殲滅を頼む。
俺は敵のボスをたたく」
言うが早いか、俺はキュウちゃんから飛び降り、先ほど俺たちを攻撃した敵のエネルギー弾の通り道を逆走して一気に敵本陣に迫る。
すると、……
いた!
アルティメットジャアクドー仮面だ。
俺が記憶を失っていたときにカラフルレンジャーを破り、カラフルブルーを瀕死に追い込んだジャアクドーの究極怪人。
あのときはZ3の記憶を取り戻し、Z3の力で屠ることに成功したが、今再び、この異世界の地で相まみえることとなるとは……
そしてその思いは敵も同じだったようだ。
「貴様は、カラフルブルー!
よもや俺を追ってこの地へ来たのか!!!」
「残念だが、偶然だよ。
しかし、ここで貴様に会ったのも運命!
二度と復活しないように素粒子レベルまで粉々にしてやるさ、アルティメットジャアクドー仮面!」
「ふはは
今の俺様はアルティメットジャアクドー仮面ではない。
大魔王ハマカーーン様によって生まれ変わった俺は、ウルトラスーパーデラックスウルトラエクセレントアルティメットギガテラジャアクドー究極仮面様だ!
恐れおののくがよい!」
こいつもか……
あまりの名前の長さに辟易とする。
しかし、ウルトラが2回も入っているのはボキャブラリーの限界でも来たのだろうか?
そんなことを考えていると敵が攻撃してきた。
「くらえ、ウルトラスーパーデラックスウルトラエクセレントアルティメットギガテラジャアクドー究極パンチ!!!」
考え事をしていた俺だが、技の名前を敵が叫んでいる間に余裕を持って躱すことに成功する。
「おのれ、我が究極の一撃を躱すとは!!」
「いや、あれだけ長々と技名を叫びながら攻撃すれば、普通躱すだろ。
当たるのはでんでん虫くらいじゃないか?」
「ぐっ」
思い当たることがあったのか、ウルトラスーパーデラックスウルトラエクセレントアルティメットギガテラジャアクドー究極仮面は黙りこむ。と思ったら突然切れた。
「ええい、これでも喰らえ!!」
ウルトラスーパーデラックスウルトラエクセレントアルティメットギガテラジャアクドー究極仮面はハイキックを繰り出し、おれは両腕をクロスさせ十字受けで踏ん張るが、敵の圧倒的なパワーに押されて吹き飛ばされる。
転生前でも、カラフルレンジャーが5人がかりで敗れた相手は、やはり強い。
「ふはははっ、
弱い、弱いぞ、カラフルブルー」
「ちっ、やはりこのままではだめか。
ならば……」
俺は、カラフルブルーの変身を解除すると、あらためて丹田にパワーを集中させる。
「レディー、変身!セット!!」
魔力が集まりベルトへと姿を変える。
「変身!Z3(ズィースリー)!!!」
「ふはは、仮面ドライバーZ3となったか。
よかろう、今度こそ貴様を完膚なきまでにたたきのめしてくれよう」
以前敗れたZ3の姿を見ても、ウルトラスーパーデラックスウルトラエクセレントアルティメットギガテラジャアクドー究極仮面は強気だ。なんか疲れるんで、これからはジャアクドー仮面と呼ぼう……
「喰らえ!
Z3パンチ」
俺の必殺のパンチはジャアクドー仮面のボディに当たる寸前で、やつの左腕に阻止された。
「そんなものか、Z3。
今度は俺の番だ!」
ジャアクドー仮面は回し蹴りで俺の左側頭部を狙う。
俺は左腕でガードするが、やや差し込まれてバランスを崩す。
まずい。やつのパワーはZ3をほぼ互角のようだ。
「ふひゃはは、通じるぞ! 俺の力が憎きZ3に通じる」
ジャアクドー仮面はパンチにキックを混ぜながら、連続攻撃を放ってくる。
「このままでは……」
活動時間の短いZ3は長期戦を苦手とする。
まずい。いずれ時間切れで変身が解けてしまう。
「ふははは、どうしたどうしたZ3
いよいよ貴様も年貢の納め時のようだな」
自らの優勢を確信したジャアクドー仮面が挑発してくる。
「くっ、このままでは……」
「頑張れ、わたるー」
くじけそうになる俺の心に、ゆうの声援が届く。
「そうだ、今の俺(Z3)は一人じゃない。
仲間のためにも、なんとしてもやつを倒す」
俺は敵のラッシュを耐えるが、じりじりと押されている状況に変化はない。
変身前の状態の100倍にパワーを上げるZ3で押されるとは……
俺は焦る。
通常時に100のパワーを加えるカラフルブルーではなおのこと勝負になるまい。
んっ!?
通常時に100のパワーを加える???
そのとき俺の脳裏にある可能性がひらめいた。
俺はZ3の左腕を見る。
そこにはカラフルブルーの変身リングがあった。
これだ、これに賭ける!
俺は敵の攻撃の刹那を見切り、変身リングに手を伸ばす。
「チェンジ! カラフルメタモルフォーゼ! ブルー!」
Z3の形態を保ったままブレスレットの宝玉を回転させながら言葉を紡ぐ。
そう俺がひらめいたのは、二重変身だ。
能力を100倍にするZ3の変身に、更に100の能力をプラスするカラフルレンジャースーツを加えるのだ。
赤が主体のZ3ボディが青い光に包まれる。
光が収まったとき、Z3の赤い模様が青に上書きされていた。
成功だ!
あとはもくろみ通りのパワーが出せるかどうかだ。
「おのれ、青くなったからと言ってどうと言うことはない。
砕け散れー」
ジャアクドー仮面は渾身のパンチを放ってくる。
「Z3パーンチ」
俺は敵の拳にZ3必殺のパンチを合わせる。
ガキン
金属的な音を立てて拳がぶつかる。
さっきまでは俺がやや押されていた。
しかし、今は……
ぶつかった拳がじりじりとジャアクドー仮面の方へと押し込まれている。
もくろみ通りだ。
自力100倍+100の力で今度は俺が優位に立つ。
「グハッ」
ジャアクドー仮面の膝が崩れる。
「チャンスだ!
Z3ダブル反転スクリューキック!」
俺の必殺キックが炸裂し、ジャアクドー仮面は吹っ飛んだ先で爆発した。
勝った……
そう思って肩の力を抜いた瞬間、俺は背中に強い衝撃を感じ、前方に吹き飛んだ。
「ぐははは!!
油断したな、Z3!
なんだか青くなっているが、おまえのことは忘れんぞ。
日本での敵を取ってくれるわ!!!」
俺を背後から襲ったのは、ネオジャドーのラスボス、B級プチうまサワガニアルゴンレーザーだった。
リアルの仕事に先が見えない今日この頃……
多分あと2~3話で完結すると思われる本作ですが、それが何時かは分かりません。
すいませんが、気長に待ちください。
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最後の行の「ハサミザリガニー」を「B級プチうまサワガニアルゴンレーザー」に変更しました。4月4日




