【第32話】急転直下
久しぶりの更新です。
間が空いてすいませんでした。
魔石を回収した俺達は、現在ギルド長室にいる。
議題は、クマの魔物の後に現れたガーゴイルと、召喚された怪人達についてだ。
俺達の他に商業ギルド長のイーノーさんも参加している。
「それでは、君たちはこの一連の騒動が魔王の指示を受けたワタルの世界の怪物が原因だと考えているんだな」
冒険者ギルド長のカイシーさんが言う。
「ああ、そうだ。
別々の案件として考えるにはあまりにも一連の事象が連続している」
「ではワタル殿はどのような意図があるとお考えか?」
俺の言葉に商業ギルド長のイーノーさんが発言する。
「ああ、俺の私見だが……
おそらく、このノースウインザーに魔王軍がせめてくるための先遣部隊と言うことではないかと考えている。
まずは強力な魔物で周辺を混乱させ、対応する部隊の戦力を測る。
町の戦力が留守になれば、別方向から強力な怪人や空を飛ぶ魔物を使って町を攻める。
ある程度成果が出れば、いよいよもっと大規模な占領部隊を投入してくる。
こんなところじゃないかと思うが……」
「ワタルの考えは十分あり得る。
そもそも熊の魔物が7頭という規模で森から出てきたということが、普通ではないからな」
カイシーさんは顎に手を当てながらゆっくりとした口調で同意する。
俺達がこれからどうするか、名案がないことに悩んでいると、この場に欠けていた町の重要人物が現れる。
ウインザー侯爵家の執事長兼参謀長を務めるゴルドーさんだ。
「やあ、みなさんお揃いですな」
「ああ、ゴルドー、遅かったな」
ゴルドーさんの挨拶にカイシーさんが軽く返すが、カイシーさんの表情はゴルドーさんの厳しい視線を見て一気に硬くなる。
「ゴルドー、冒険者ギルドから報告した内容以外に何かあったのか」
「はは……、相変わらず鋭いですな、カイシー殿。
いいニュースと悪いニュースがあるのですが、どちらから聞きたいですかな」
カイシーさんは俺達の方を向いて、視線で意見を求める。
俺は、お任せしますという気持ちを込めて静かに頷く。
「では、いいニュースから聞かせてもらおう」
「かしこまりました。
いいニュースの方はワタルどの達の関連ですな。
勇者を送還する魔方陣のめどが付きました」
「何、ホントか!」
カイシーさんが叫ぶように言うが、これには俺も驚く。
「それが本当なら、俺もユウもとても助かります。
詳しく聞かせてもらえますか」
「はい、アルテーシア様が、かねてからペリーヌ様と調べられていた魔方陣の時間跳躍に関する研究が一定の成果を納めたのです。
何でも、強いイメージを持って空間を指定するときに時間も同時に指定することが肝要と言うことです。
時間のイメージ抜きで空間だけイメージすると、そのときイメージした空間の様子に近い時間軸なら、どこに飛ぶかわからなくなると言うことでした。
もっとも、イメージできないほどの過去や未来に飛ぶ可能性は低いと言うことですから、たとえ時間がずれても数ヶ月と言うことのようです」
「なるほど、分かりました。
それでは、俺達が召喚されたときの時間と場所をイメージして魔方陣を起動させれば、その場所と時間に近いところに帰れるということですね」
「そうなりますな」
頷きながら答えるゴルドーさんの表情からは、優しい感情が読み取られる。
「それで、悪い方の知らせとは何だ」
カイシーさんはゴルドーさんに続きを促す。
「悪い知らせは、先ほどのよい知らせと関係があるのですが……」
ゴルドーさんは言葉を選ぶためかかなりの間を取って続ける。
「実は、この召喚騒動を起こしていたエールガ・ゴルバノフ公爵とゾールデ・ウラージル公爵の両家が反乱を起こしました。
おそらく、自分たちが召喚した異世界人の勇者を送り返される前に、この国を乗っ取ろうと言うことのようです。
異世界からの召喚被害者に対して、帰還の目出が立ったことを告知する立て札を、ウインザー侯爵家から国中に配ったところ、召喚事件の首謀者達が動いたといったところですな。
更に悪いことに、魔王軍が両侯爵家の叛乱に同調して魔物を動かしました」
「なっ……、なんだと……」
それまで黙って聞いていたカイシーギルド長が、最後の魔王軍の下りで始めて焦った声を上げる。
「まさか、公爵と魔王軍が結託しているのですか?」
イーノ-商業ギルド長が聞く。
「正直、現時点では分かりません。
違うと言い切れないのが辛いところですな……」
「それはつまり、別々に動いているにはあまりにもタイミングが合っていると言うことか?」
カイシーさんの鋭い言葉にゴルドーさんは頷く。
「そう、確証はないが疑いは濃厚だと言うことですな」
「そうか……
それで、各方面の動きはどうなっている」
「営為調査中ですが、現時点では二つの公爵軍が異世界召喚勇者を操ってウインザー侯爵領と王都を攻めるようですな。
魔王軍はこのノースウインザーに向かっているとの報告があります。
もしここが抜かれると、ウインザー侯爵領の領都ウインザードがゴルバノフ公爵軍と魔王軍に挟撃される形になります」
「それで、防衛体制はどうなっているんだ」
ゴルドー参謀長の説明に、カイシー冒険者ギルド長が問う。
「現在、王都はウインザー侯爵夫妻と嫡男のキャスバス様が、領都ウインザードはアルテイシア様とご友人のペリーヌ様が防衛の指揮を執っておられます。
正直異世界勇者といえどもアルテーシア様一人で何とかなりそうなのですが、いざというときはペリーヌ様の居城である変形人型決戦兵器を投入する準備もあるそうなので、問題ないでしょう」
「なるほど、だいたい分かった。
と言うことはここウインザードで魔王軍を迎え撃つことになるのは……」
「ご察しいただき恐縮です。
私ゴルドーが指揮を執り、領兵2000人で対応します。
住民の方には領都ウインザードへの避難命令が出ました。
アルテーシア様がいる以上、ウインザード以上に安全な場所はないでしょうからな」
ゴルドーさんの話から、侯爵令嬢であるアルテーシアさんの評価が異常に高いことが分かる。
「それで、俺達はどうすれば……」
俺は恐る恐る聞いてみる。
「冒険者の皆様には、以来という形で魔王軍との戦いに加わっていただける方を募集中です。
ワタルさん達は異世界への帰還の目途も立ったことですので、前線に出て危ない目にあわずとも、領都ウインザードでアルテーシア様と合流していただくことも可能です」
俺は少し考えてユウの方を見る。
ユウは真っ直ぐ俺の目を見るとゆっくり頷いた。
やはり、俺の世界の怪人達が中心戦力となっているこの世界の魔王軍をそのままにはしたくない。
「ユウ、俺は……、俺の世界の怪人がこちらで暴れるのを見過ごせない」
「僕はワタルの思った通りでいい。
一緒に戦わせて欲しい。
キュウちゃんがいれば僕もきっと戦力になる」
「きゅう!」
ユウの言葉にあわせてキュウちゃんが力強く鳴いた。
「ありがとう。
ゴルドーさん、カイシーさん。
俺達二人と一匹でその依頼受けさせてもらいます」
俺はこの場で戦いに参加することを表明した。
リアルの仕事がとても忙しくなってしまいました。
もう一本の連載作ともども、次にいつ更新できるか全く不明です。
現在、他サイトで更新が止まっていた胎児転生を、なろう版から微修正しながら週1回ほど更新しているのがやっとの状態で、申し訳ありません。
今の仕事に余裕ができましたら、連載作の更新を進めていきたいと思いますので、今しばらくお待ちください。




