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【第25話】キューちゃんの魔物狩り


「すごいな。

 キューちゃんもスライム程度なら倒せると言うことか」

「そのようですね」


 俺とユウは交互にキューちゃんを撫でて褒める。

「キュキューー」

 キューちゃんも嬉しそうだ。




 それからは、接敵する回数も増え、ユウとキューちゃんはそれぞれ光魔法とシッポの先の火魔法でスライムを倒しながら1時間ほどを過ごした。

 流石に魔物が増えていると言われている地区だけはあり、かなりの数の魔石が手に入る。

 スライムばかりではあるが50個を越える魔石が手に入ったところで、少しキューちゃんが大きくなっているように感じた。



 俺は魔石をくわえて帰ってきたキューちゃんを抱きかかえて両目に力を入れる。


 名前  キューちゃん(リトルナインスステイルフォックス)

 レベル 9←3

 力   21←9

 魔力  63←33

 速さ  20←8

 素材 皮:防具、素材になる

    肉:食用可能 

 状態 テイム状態(テイム者:結城ワタル)

 スキル 狐火 変化へんげ


 鑑定して見るとかなりレベルアップしていた。

 確か、夜襲してきたダブルテイルフォックスのステータスが……


 名前  ダブルテイルフォックス

 レベル 20

 力   58

 魔力  43

 速さ  40


 これくらいだったはずだから、力や速さは及ばないが、魔力はレベル9にも関わらず、成体のダブルテイルフォックスを越えていることになる。


 俺は過去の記憶から、ダブルテイルフォックスと成体のナインステイルフォックスのステータスを思い出しながら考える。


 名前  ナインスステイルフォックス

 レベル 59

 力   259

 魔力  249

 速さ  139


 確か、最初に倒した大きな狐はこんな感じだった。


 こうして改めて考えると、やはりキューちゃんは魔力がかなり高いのではなかろうか。

 このままレベルアップしていけば、間違いなく戦力として数えられるくらい強くなるだろう。


 そんなことを考えていると、草原の奥の方から複数の気配を感じる。

 小走りで近寄ってくるのは20人ほどの小柄な人の集団だろうかと見ていると、その顔面は緑色をしているようだ。


「たぶん、あれはゴブリンですね」

「ああ、そうだな」

 ユウのつぶやきに相づちを打ちながら観察すると、それは純金冠仮面などが召喚した戦闘ゴブリンとそっくりだが、布の腰巻きと棍棒くらいしか武装しておらず、明らかに弱そうだ。


「やれそうか?ユウ……」

「わかりませんが、やれるだけやってみます」


 俺の問いかけに、ユウはまた右手の指先に魔力を集め、迎撃態勢を整えるが、今回は今までに無い大集団だ。

 ここは加勢するべきときだろう。

 俺も剣を抜いて、接近してきた敵に対応する準備をする。

 万一の時は変身するつもりだ。


 あちらも俺たちに気がついたようで、敵意をむき出しにしてかけてくる。

「先手必勝ですよね……」

 そう言うとユウは右手の三本の指先から光魔法を放ち攻撃する。

 先頭を走っていた7体のゴブリンのうち3体の頭に風穴が空き絶命するが、残りの4体はそのまま突撃してくるようだ。

 後ろには少し離れて13体のゴブリンが棍棒を振り回しながら続いている。


 ユウは第二射のために再び魔力を指先に集めているが、先頭の4体がここに到達する方が早そうだ。

 俺は腰を落として剣を構える。


「きゅーーっ」

 そのとき俺たちの足下から青い何かが飛び出した。

 ブルーライトアースに変化へんげしたキュウちゃんだった。


 レベルアップによって車体も一回り大きくなっており、猛烈な勢いで先端のドリルを回転させながらゴブリンに突撃していく。


 ゴブリンは何が起きたのか理解出来ず、一瞬横に並んだ状態で停止した。

 それが奴らにとって致命的な事態をもたらすこととなる。


 キューちゃんが変化したブルーライトアースは一番右側のゴブリンの横でドリフトターンを決めて車体を方向転換すると、そのまま猛烈な勢いでジャンプし、4体まとめて左の脇腹から右の脇腹へ抜ける大穴をドリルで空けた。


 血を噴き出しながら、ゴブリン達はその場で絶命する。


 華麗に着地を決めたキューちゃんは、そのまま後ろのゴブリン集団に狙いを定め突撃していく。


『キュイィィィーーーン』

 先端のドリルが高速回転する音を響かせながらキューちゃんのブルーライトアースは更に加速する。


 ここでユウの第二射によって3体のゴブリンの頭が吹き飛んだ。

「ちょっと力加減を間違えちゃいました」

 ユウは威力を高めすぎたことを反省しながら、第三射の準備に入る。


 残りのゴブリンは10体だが、前から順に仲間がやられていく様に混乱が広がる。

 奴らの致命的な失敗は、その場に動きを止めてしまったことだろう。


 キュウちゃんは直線上に並んでいるゴブリンをめがけて再びジャンプし、4体のゴブリンをドリルで屠る。


 これで後6体だ。


 着地したキューちゃんのブルーライトアースから、9本の狐のしっぽが生える。

 魔力切れで変化が解けかけているのだろうかと心配したのも一瞬、9本のシッポの先端から炎のたまが出現し、ブルーライトアースがゴブリン達の間を駆け抜けるタイミングで、狐火がゴブリンを襲い焼き尽くした。


 俺も加勢しようとしたが、全く出る幕がなかった。

「ほとんどキューちゃんに持って行かれましたね」

 ユウの言葉に俺も頷く。

「ああ、変化へんげと狐火で14体のゴブリンを倒すとは……」

 俺が感心してみていると、キューちゃんは変身を解いて獲物のゴブリンをくわえ、引き摺って俺のところに運び始めた。


 スライムと違って光になって消えることはないようだ。

 狐火で焼かれた最後の6体はきれいに魔石と骨だけになっているが、他の奴はさばかなければ魔石が取り出せない。

 ゴブリンは食用に適さないと言うことなので、まとめて火葬し魔石を取り出す。

 ここでもキューちゃんの狐火は大活躍した。


 結局、夕方までゴブリンやスライムを倒し続けたが、俺の出る幕はほとんどなかった。

 というか、キューちゃんの独壇場と化していたと言っても過言ではない。

 集まった魔石はゴブリンだけでも100を越え、その内の約8割はキューちゃんが倒した。

 残りの2割がユウの倒した魔物だ。

 俺はキューちゃんとユウの攻撃をくぐり抜けて接敵したスライム1体とゴブリン2体を倒したに過ぎない。割合で言えば1%未満である。

 変身する必要は全く無かった。


 日が傾き始めたころに今日の討伐を終え、引き上げようとしたとき、ふとキューちゃんを見ると明らかに大きくなっていた。

 このサイズだと、最初に夜襲をかけてきたダブルテイルスフォックスくらいはありそうだ。秋田犬くらいの大きさになっている。


 早速鑑定して見る。


 名前  キューちゃん(リトルナインスステイルフォックス)

 レベル 19←9

 力   63←21

 魔力  138←63

 速さ  64←20

 素材 皮:防具、素材になる

    肉:食用可能 

 状態 テイム状態(テイム者:結城ワタル)

 スキル 狐火 変化へんげ 氷雨(NEW)


 これはダブルテイルスフォックスをしのぐステータスだ。

 レベルが更に10ほど上がり、新しいスキルまで使えるようになっている。

 このサイズでも名前にリトルがついていると言うことは、もっと大きくなると言うことなのだろう。


 そんなことを考えていると、キューちゃんがいつもの調子で飛びついてきた。

 だっこして撫でてと言うことなのだろうが、秋田犬サイズになったキュウちゃんを抱き上げるのは、変身していない状態ではほとんど無理である。

 結局前足二本で寄りかかられる形となるが、頭の高さが俺の肩の位置に来ており、身長はユウとほとんど変わらない。


「キューちゃん、この大きさでだっこは無理だよ」

「きゅ、きゅーー?」

 俺の言葉に首をかしげたキューちゃんは何か思いついたように少し離れると、ポフッという効果音とともに変化へんげした。


「小さくなりましたね……」

「ああ、小さくなった……」

 ユウの言葉に俺も同意する。


 どうやらキューちゃんの変化魔法は小型化も出来るようだ。


 俺とユウは小さいサイズにもどったキューちゃんを一通り撫で回した。


「それにしても、変化魔法って便利ですよね」

「ああ、車になれるだけじゃないってことだな。

 車の状態でシッポをはやして攻撃もしていたし、便利な能力だ」


 これは、成長したあかつきにはキューちゃんが最強になるかも知れないと思いつつ、帰路につく俺たちだった。







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