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【第22話】激レア純金冠仮面の社会復帰は可能か!?


「それでは次の話だが、激レア純金冠仮面の処遇をどうするつもりだ」

 カイシーギルド長が俺に聞く。


「俺としては、悪さをしないのなら社会復帰させたいのだが、何か問題はあるか?」

「ワシとしては今度こそまっとうな金冠屋として安定した生活を送りたいと思っている」


 俺が答えるとすぐに、激レア純金冠仮面が言葉を続けた。

 こいつが今度こそ真っ当なと言ったのは、地球で金箔の偽物を高値でぼったくっていたことに対する言葉だろう。

 なにせ、今のこいつの金冠は、まごう事なき純金なのだ。


「ワシの金冠に値段をつけるとすると、この街ではいくらぐらいだ」

 激レア純金冠仮面は俺から返却された現在唯一の金冠をカイシーギルド長に渡し、価格の査定を要求する。


「ほう、重いな。

 これは中身まで純金か?」

「ああ、今のワシの金冠全て純金になる。

 もっとも、魔力がほとんど空っぽの今では、新しい金冠は作れない。

 だからそれは売り物ではないのだが、参考までに価格を知りたい」

「そうだな。

 重さ1キロはありそうだな。

 今の金価格は1グラムが2000ドンくらいなので、200万ドンくらいにはなるんじゃないか。

 装飾品として駄作でも、純金と考えればその価値は高い」


「なるほど、この世界では最低でも金の価値として普通に買い取ってくれるのか。

 価格は日本円換算で1グラム4000円くらいだな。

 どうする激レア純金冠仮面、売るか?」

 俺の問いに激レア純金冠仮面は激しく首を横に振る。


「これはワタル殿に返してもらったかけがえのない最後の1つ。

 売るなら魔力をためて新しく作った金冠を売る」


「そうか、それではいつぐらいに魔力は溜まるんだ。

 これの10分の1くらいの小さい物なら10日から15日くらいで何とかなる」


「それまでの食い扶持はあるのか」


「……ない」


「それじゃあ飢え死にしないか?

 明日までだとどれくらい溜まる」


「たぶん100分の1に満たないサイズだ……」


「それでも5gくらいはあるだろ。

 それだけでも1万ドン、日本円で2万円だ。

 小さくてもいいからそれで食いつなげよ」


 俺の提案に激レア純金冠仮面は

「しかし、大きくない金冠は金冠じゃない……」などとぶつぶつ言っている。


「まあ取りあえずこれでこいつの収入は何とかなるだろう。

 カイシーギルド長、悪いが冒険者ギルドか商業ギルドで買取を頼めないだろうか」


「まあ、装飾品としての価値を見込むなら商業ギルドだろうな。

 俺の方から商業ギルドのイーノーギルド長には話をとおしておくよ」


「ああ助かる」

「ワシのためにすまない」

 俺たちは礼を言ってギルド長室を出た。


 どうやら、何とか激レア純金冠仮面の社会復帰は可能なようだ。





 ユウと合流して、一緒に宿としている公爵家別邸に着いた俺たちは、激レア純金冠仮面に宿屋の位置を教えて向かわせようとし、奴が現在無一文であることを思い出す。忘れていた。

 奴は今晩の部屋が借りられない。

「ワシは一晩くらい野宿でもかまわない」と激レア純金冠仮面はいうが、奴の頭の冠を夜陰に紛れて狙う輩がいるかも知れない。


「それなら一晩、金冠だけ預かってくれれば」という激レア純金冠仮面だが、それだと夜の間に溜まった魔力で金冠を作って売るという明日の計画が台無しだ。

 激レア純金冠仮面は一つでも金冠を持っていればそれを触媒に魔力をかき集め、新たな金冠を作ることが出来るが、金冠が一つもないと、魔力の回復すら出来ないのだ。


 だいたい、こんな見るからに怪しい怪人が夜の町で野宿などすれば、見かけた一般人によって通報され、大騒ぎになることは容易に予想出来る。


 仕方なく、俺は宿代を貸すことにした。


「今日のところは俺が貸してやるからきちんとした部屋に泊まれ」


「何から何まで申し訳ない。さっきまで敵だったワシのためにありがとう……」


 涙を浮かべて宿代を受け取る激レア純金冠仮面にもはや悪人の面影は見当たらない。

 そうやら本当に厚生出来そうだ。



 激レア純金冠仮面とは朝の集合時間を決めて別れる。

 夕食をユウと食べた後、俺は町の巡回へと出立した。






 翌朝、一晩で溜まった魔力を使って作られた金冠は、どう見ても指輪サイズだった。

 しかし、その造形たるや、大きな金冠のときの凝ったデザインがそのまま縮小されており、緻密で美しい文様となっている。

 俺の朝の報告についてきた激レア純金冠仮面がギルドの買取カウンターに極小の金冠(指輪)を提出すると、金の価格で買い取れば1万ドンにしかならない量にもかかわらず、4万ドンの値がついた。


「うわー、すてきな指輪ですね!私が欲しいくらいです」と言っていた買取カウンターの職員の話では、店頭価格は10万ドンを下らないだろうと言うことだった。

 これを聞いた激レア純金冠仮面は、大きな冠を作ることは当面諦め、魔力をためる時間を調整しながら1号から19号くらいのサイズの指輪を一日1個から2個生産するようになる。


 目標は金冠と指輪の店のオープンだそうだ。

 激レア純金冠仮面の社会復帰は何とかめどがたった。







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