【第20話】ギルドへの帰還
俺は変身を解くと、気絶した剣士ガークを激レア純金冠仮面に背負わせ、冒険者ギルドを目指す。
途中、激レア純金冠仮面が何か悪さをしないかと警戒していたが、奴は約束を守っておとなしく従っていた。
とっぷりと日が暮れ、辺りが薄暗くなり始めた頃に、俺たちは冒険者ギルドへと到着した。
激レア純金冠仮面には、余計なことを一切言わないことと、俺をワタルと呼ぶように念押ししておく。
ギルド内は激レア純金冠仮面の異様に一瞬静まりかえったが、背負われている剣士ガークと付き添っている俺を見ると、召喚獣か従魔の類いと思われたのか落ち着きを取り戻す。
俺としてはこんな異様な従魔は御免被りたい。
ちなみに、俺の本当の従魔のリトルナインスステイルフォックス、キューちゃんは、ユウに気に入られて彼女と一緒に魔法講習中級編に参加している。
名前は9本のシッポにあやかってユウが命名した。
俺は受付で報告するために列の最後尾に並ぼうとしたが、俺の姿を確認した受付嬢がすぐに自分の窓口を一時閉鎖して駆けつけてきた。
エリーさんだった。
「ワタルさん、ご無事で何よりです。
先に報告に来た冒険者達の情報で、急遽、救助隊を編成しています。
帰ったら、ギルド長の部屋へ最優先で誘導するように指示が出ています」
「わかった、同行しよう」
俺の返事に頷くと、エリーさんは俺の後ろで剣士ガークを背負った激レア純金冠仮面へ視線を移す。
「それで、そちらの方は、人間なのですか?
それともワタルさんの召喚獣か従魔なのでしょうか?」
俺は少し考えて、出来るだけ伝えられる部分は隠さずに伝えることにした。
「元々は俺の世界で悪さをしていた怪人だが、今は、俺の影響下にある。
取りあえず信用してもらって大丈夫だ」
「わかりました。
それではここに放置するわけにも行かないようですから、一緒にギルド長の部屋へ移動してください」
優秀な職員であるエリーさんは、俺の監視下からはずれた場合、激レア純金冠仮面がどのような行動に出るか予測出来ないと判断したようだ。
俺たちは冒険者達の注目を集めつつ、ギルド長室へ向かった。
奥の部屋のドアをノックし、エリーさんがギルド長の元へと先導する。
部屋の中には、ギルド長と侯爵軍の参謀を務めるゴードンさん、それに俺に助けを求めた冒険者グループが揃っていた。
「ひっ!」「うっ……」「ぐぅっ!!!」
俺たちの入室を見て、冒険者グループから声にならない悲鳴が上がる。
自分たちをさんざん痛めつけた激レア純金冠仮面がそこにいるのだ。当然の反応だろう。
「心配は無用だ。奴はもう安全だ」
俺の言葉に反論こそ出ないものの、3人の冒険者は疑いの視線を俺と激レア純金冠仮面に向ける。
場の空気が悪いのは自分のせいだと気がついた激レア純金冠仮面が口を開いた。
「先ほどは皆さんに大変ご迷惑をかけたことを謝罪する。
ワシはここにいるカラフ……、ワタルさんにこてんぱんにやられて改心した。
悪さはしないから安心してくれ」
こいつ、あれほど言ったのに、俺のことをカラフルブルーと呼ぼうとしやがった。
俺は『余計なことを言ったら二度と口を開けなくなるぞ』という思いを込めた冷たい視線で激レア純金冠仮面を見る。
奴の真っ黒なこめかみから冷や汗が流れる。
どうやら俺の視線の意味に気がついたようだ。
「それではこの黒い顔の男が今回の首謀者と言うことで間違いないな」
カイシーギルド長が冒険者3人に確認する。
「間違いありません。
その金色の冠に見覚えがありますし、容貌も特徴がありすぎるくらいありますので……」
「そいつと武装したゴブリンがたくさん襲ってきたんだ。
ゴブリンは何体か倒したけど、そいつが強すぎて、ガークが引きつけてくれている間に僕たちは……」
魔法使い風の男がしゃべっていたが、そこまで言って激レア純金冠仮面の背中に誰がいるのかに気づく。
「ガーク!
無事なのか?」
「大丈夫だ。
命に別状がない程度には回復させておいた。
意識を失っているだけだ」
俺の言葉にホッとした様子の三人を前にギルド長が指示を出す。
「それではトール達のパーティーは、気を失っているガークをつれて退室してくれ。
ここからは俺とワタル達だけで話す」
「「「はい、了解しました」」」
3人は声を揃えて返事をすると、ガークを引き取りギルド長室を退室した。
「彼らは当事者なのに立ち会わなくていいのか?」
俺の質問にカイシーギルド長が頷きながら返事をする。
「ああ、ここからはかなり機密性の高い話が混ざる可能性もあるからな。
必要最低限の人員でいこう」




